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寿司とかまぼこ


私の生まれた宮城県の塩竈市は、日本で一番寿司屋密度の高い町だったそうです。単純に、人口を寿司屋の数で割った値が、とても低いということになるわけです。

それでもお店は続いているし、お客様もちゃんとやってくる。寿司屋一軒ごとの特徴があるわけなのです。「あのお店は高いけれど、いいネタがそろっているから、お客様を連れて行く時に」とか、「あそこは、奥に座敷があるから、小さい子供のいる家族連れでも氣がねなく行ける」とか「あそこのアナゴはとても美味しい」等の違いを出しているから、お客様の方で状況に合わせて使い分けをしているわけです。

市内のかまぼこ屋さんの数も多かったのです。「あの店のが、大きくて見栄えがいいから、お使い物に」とか「あの店の○○入りが好きだから」とか「親の代から、あの店だから」とか、様々な理由で使い分けしていました。

宣伝の上手い大手の店が、コマーシャルを流し、知名度を上げ、全国区になって行きましたが、地元の店も頑張っていたのです。後継者問題や東日本大震災で、状況は変わってきました。

そして今年、コロナの流行です。旅行する人が減って、おみやげ物としての需要は減ったでしょう。あちこちのサイトで、コロナで売る場所や機会の減った商品を紹介していました。お土産用のかまぼこは真空パックで保存がききますから、こうしたサイトも活用したのでしょうか。

お寿司屋さんもかまぼこ屋さんも、地元の方を対象としていた店の方が、お客様の利用頻度が減らなかったのではないでしょうか。日々の食事での利用でしたら、コロナが流行していようと需要はあります。お寿司屋さんなら、出前での対応もできますしね。

今年の年末年始、帰省を控える人も多いようです。郷里の味を求めてか、両行先で覚えた味を求めてか、JRの構内での地方の物産展には行列ができていました。地元では当たり前の、首都圏では入手しにくいものが人氣のようです。

コロナ流行の現在と、コロナ以降の状況がどうなるか予断を許しませんが、「日々の生活は続いている」という認識が、活路を切り開くように思います。いつもの味、いつもの暮らしを求めている人は多いのです。



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