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氷によせて
毎日、暑いですね。
暑いときには、冷たいものが嬉しいですが、昔は贅沢品だったのですね。
ローマ皇帝は、アルプス山中から奴隷に氷を運ばせ、溶けずに運べたら奴隷から解放する条件で、奴隷をひたすら走らせたとか。初めは大きな塊だった氷が、握りこぶし位になって届き、これを砕いてハチミツや、香料をかけて食べたのだそうです。シャーベットの元祖というところでしょうか。
北米や日本では、氷の塊を切り出し、氷室という冷暗所で保存し、夏の涼となっていました。
日本には、水羊羹、水まんじゅう(これは、漢字よりひらがなで書いたほうが、涼しそうです)、ひやしあめ(これは、飲み物です)といった、涼を演出するおやつがあります。ガラスの器に盛ると涼し気で、それ自体はさっぱりしているけれど、そこまで冷たくないおやつが、とても涼しい気分でいただけます。
日本の家庭向け夏家電のロングセラーって、かき氷機ではないでしょうか。毎年、氷を切る細かさや、角度を売り物にした家庭用が発売されています。そうそう買い替えるものではないけれど、小さいお子さんがいる家庭では、新たに購入なさるのでしょう。確かに、一人暮らしで、自分の分だけ氷を削っているという話は、聞いたことがありません。一人暮らしなら、コンビニでかき氷でもアイスでも買ってすませそうです。
家族のために、それぞれの好みのシロップをそろえ、氷を削って(時には、削り手を交代して)、かけたシロップが多いの、少ないのと言いながら食べるのが、家庭のかき氷のような氣がします。
昔の電気を使わない冷蔵庫ってご存じですか?木製で、扉が2つ、金庫のように内部と外部の間が4cmくらいあります。上部に氷入れがあり、その下に冷やすものを入れる部分があります。一番下に水受けをおくようになっています。昭和の初期位まで使われていたようです。
人から譲っていただいて、私も持っています。作りがしっかりしているので、湿気防止のため小麦類を入れています。小さいけれど、まだまだ現役を続けてくれそうです。
冷蔵庫として使うとなると、氷はどんどん溶けてゆくので、せっせと水を捨てなくてはならないようです。家族に冷たいものを、安全なものを(暑いと悪くなりがちですから)という想いで使われていたのでしょう。
氷は冷たいけれど、そこには暖かな思いやりがあったのですね。