
焼き鶏と食文化と
コロナで出荷先が減ってしまった銘柄鳥の焼き鶏串を定期購入して、自宅で焼いて食べています。月に一度のお楽しみ。
鶏は美味しいし、電気製品の焼き台もセットだから、指示書通りに作れば、誰でも美味しくできます。焼き上げた後の薬味もセットになっていて、お店の味をご自宅に、と言うセットです。自分で焼くので、お手軽ではないですけれど。(;^_^A
最近、子供が「薬味や味付けも自分で選ぶ方がいい」と指示書のアドバイスに逆らい始めました。うん、その気持ちわかる。
お店で焼かれた鶏を、「これでお召し上がりください」と言われると、「そうか、これが美味しい取り合わせなのか」と思います。ですが、自分で焼きながら、焼き色や、脂がジュージュー行っているのを見ると、「これって、あれと合わせたら美味しいのでは?」と考える時間がたっぷりあるわけです。「皮までこんがり焼けた手羽先は、レモン絞ってかけたほうが、美味しそう・・」(もはや、焼き鶏ではなく、イタリアン的な?感じですが)
自分で作る人の方が、料理に一家言持つようになるのは、当然かなとも思います。美味しいものを目指して、真剣に料理しているなら、そうなると思います。時間に追われ、冷蔵庫の食材と、安売りの食材を組み合わせていたとしても、「少しでも美味しいものを」と思う気持ちがあるなら、色々考えますよね。
COOKPADや、主婦向け雑誌に、主婦からの料理の投稿が多いのは、そうした事情もあるのでしょう。主婦は、家族の好みを知り尽くしているという強みがありますから、家族にとって心安らぐ料理を作ることができるのです。
プロの料理人は、様々な嗜好を持ったお客様に向けた料理をつくるのですから、大変だと思います。まあ、お客様の方でも「この店の味が好み」とか「ここの○○が凄く美味しい」とか、選ぶのですけれど。
今は時短営業のため、料理人さん入魂の一皿を味わう機会が減っています。新たにできる店舗は、唐揚げ、焼き肉というような、肉のランクの差はあれど、料理人さんの名刺になるような料理を出す店ではありません。
自分の店を出したいという気持ちで、修業に耐え、資金をためてお店を出した料理人さん達の努力が、報われる日が来ますように。「あんな大変な思いをしたくない」と、料理人を志す若い人がいなくなりませんように。
料理は文化です。世界三大料理、フレンチ、中華、トルコは、すべて昔文明が発達していたところです。まあ、フレンチはイタリアのカトリーヌ・ド・メディチが嫁いでから発達したので、イタリアンの土壌に発達したとも言えますが。日本料理も、ユネスコの世界遺産に認定された独自のものです。
食文化と言う、誰でも体験できる広い門戸をもった文化を、当たり前に享受できる日が早く戻るよう、願ってやみません。