遅刻しても朝ご飯
私が高校生のころ、宮城県の高校は大半が男女別学でした。後年、県民大多数の反対を押し切り、当時の知事が公立の共学化に踏み切りました。何を考えてのことだったのでしょうか?
社会に出て仕事をするようになると、男性だけ、女性だけの仕事はほぼ無いと思いますから、人生の一時期、同性だけの学生時代を過ごすのも、楽しいものだと思います。
当時の私の母校には、井上ひさしの「青葉繁れる」の登場人物のモデルになったと噂のある先生がいたり、同窓会長に紹介された女性と結婚して「この学校の同窓会には、頭が上がらない。」という先生がいたりしました。
「新卒で採用された教員は、最初の赴任地が田舎の方で、転勤の度に仙台に近づいてゆく」という話で、母校には、あまり若い先生はいませんでした。そうしたこともあり、先生方は自分の娘を導くように、生徒に接してくださっていました。
朝、遅刻して教室に入ってくる生徒がいると(女子高ですから、女生徒です)、ジロッと顔をみて「朝ご飯食べてきたか?」と聞かれます。「はい。」と答えると席に着くのを許されるのですが、「いいえ。」と言うと、「お前たちは、日本の母となるんだから、朝食を抜くような、体に悪いことをするな。」とお説教されます。
社会人になってから、この話をすると驚かれました。高校時代の友人達も、やはり他人に言って驚かれたそうです。
若い素直な心で、先生方の薫陶を受けた私達は、今でも待ち合わせに遅刻はしても、朝ごはん抜きということはしません。「朝ご飯食べてきた?」「うん。」と声を掛け合うと、どちらからともなく、にやりと笑います。何も言わなくても、高校時代のあの場面が脳裏に蘇るからです。
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