最果ての離島「礼文」へ - 北海道旅行 2021 / 2日目
朝は北海道らしくソフトカツゲンを飲みスタート。
本日は稚内を発ち、礼文島を目指す。
稚内港より香深港へ
香深行きのハートランドフェリーが稚内港を出発するのは6:30。
宿を出る時刻はまだ辺りは暗かった。空が白んできた頃に稚内港に到着する。
ハートランドフェリーの自由席には予約という概念はなく、当日に乗船券を買う形になる。
このフェリーが礼文と本土を繋ぐ唯一の連絡手段(おそらく)であるのに加え、前日の便が欠航していたこともあってか、乗客は多めに感じた。
重要な交通手段の割に、冬季は時折欠航する。
この日の日の出は6:09。日の出から20分くらいで出発。
利尻島の北を通って、およそ2時間で礼文島へ到着する。客室で寝ていればあっという間。
見事な利尻富士。標高1721m。
前回利尻島に上陸した時は、一部が雲に隠れてしまっていたから、全貌をハッキリ見るのは初めてだ。
礼文島が見えてきた。昨年利尻島から見た時も思ったが、結構薄くて大きい。
礼文島上陸
看板が出迎える。あつもんは礼文町のマスコットキャラクターで、「レブンアツモリソウ」という礼文島固有の植物の妖精だそう。
花が有名なので初夏に来る人が多そうだ。
秋に来る観光客は少なそうだが、レンタカーショップに行く道中、観光目的の大学生と思しき集団を見かけた。礼文島に来るの、理解(わか)りすぎている……。
日産レンタカーでROOXをレンタル。ピカピカ。本土から時期限定で持ってきているようで、11月には本土に戻すそう。
普段はハイトワゴンにも軽にも乗らないのだが、今回は「走ればええ!」の気持ちで、一番安いものを借りた。実際乗ってみると、車格の割に車内は相当ゆとりがあるし、収納やちょっとしたテーブルなどの機能も豊富で、確かに便利だなあ……という感想。
離島でもきちんと整備されていてかなり走りやすいのがいいところ。観光地の巡り方はレンタカー屋のおじさんが丁寧に説明してくれたし、ナビにも代表的な地点がすでに登録されていたから、あまり下調べしなくても楽しめそうだ。
特に信号などもなく、ひたすら長い道が続いている。
礼文空港(休止中)
我々がまず向かったのは、観光地でもなんでもない礼文空港。一応、日本最北端の空港である。
この空港への定期便は2003年に廃止され、2009年からは空港自体が休止している。そのため、緊急搬送等の非常時以外で航空機が飛んでくることはない。
だいぶ廃れているが、一応廃墟ではないようだ。
札幌丘珠空港あたりから礼文空港まで飛行機が飛べば、観光の幅も広がりそうなものだが、実際採算が取れるかは怪しい。
かつて運航されていた稚内 - 礼文航路は採算が取れなかったのだろうし。(普通にフェリー乗るよね)
気象庁の礼文航空気象観測所が併設されている。こちらも休止中。
いつか飛行機が復活したら乗ってみたいもの。北海道エアシステムあたりに頑張ってもらって……
トド島展望台
礼文空港を後にして、礼文島の北限・スコトン岬を目指す。その道中にあった展望台に立ち寄った。
駐車場らしい駐車場はないが、道路が少し膨らんでいるので路駐できる。
トド島展望台とは「トド島にある展望台」ではなく「トド島が見える展望台」である。
奥に見えるのが海驢(とど)島。無人島であり、自分で船を出すなどしない限り行くことはできない。
よく見ると灯台があるのが確認できる。
岩がちなのもあって、海は透き通っていて綺麗。底が見える。
反対側には遥か利尻富士を望むことができる。
こう見てもやはり礼文島は薄いと感じる。隣り合っていながら、島の形は全く違うことがわかる。
向こうの利尻島は火山噴火で誕生したのに対し、こちらの礼文島は海底隆起で誕生したものだから、地理的特性が全く異なるのである。
この丸みを帯びた地形は「周氷河地形」というもので、寒冷地特有のもの。
北海道全土でよく見られる地形のようだが、とりわけ稚内の宗谷岬周辺や礼文島北部ではすっかり山が禿げているので分かりやすい。
最北限の地 スコトン岬
漢字では「須古頓」と書くらしい。
最北端ではなく最北限を標榜する。
実はここよりも宗谷岬の方が緯度が高く、さらに宗谷岬の近くにある「弁天島」が事実上の日本の最北端である。
ちなみに、政府の言うところの最北端は更に北であり、北方領土である択捉島のカモイワッカ岬になる。
行くにはロシアのビザが必要だ。(しかしビザを取って行こうとすると外務省にかなり嫌な顔をされる)
係争地は、距離的には近いのに、実際行くのは遠い外国よりもずっと難しい。
さて。
礼文島の最北端。見渡す限りの冷たい海と、岩がちな島を望む景色は、まさに「果て」という感覚がある。
晴れているとおよそ100km先のサハリンが見えることもあるようだが、この日はどうも見えなかった。
船泊湾を挟んで望む金田ノ岬。礼文空港があるのはあっちだ。
礼文北部の景色
草原が広がっており、所々に低木が生えている。年間を通して風が強く、植物が育ちにくいようだ。
車を借りるとき、風によるドアパンチ防止のため、駐車する際には必ず風上に向けよと言われた。
少し高い場所に上がればすぐ水平線が見える。やや枯れ気味で色の落ちた草原に、侵食された海岸の崖も相まって、荒涼とした雰囲気がある。
澄海岬
綺麗に弧を描いている湾なのだが、単焦点レンズを持ってきたせいで画角に入りきらなかった。やはり旅行の時はズームレンズが正解かもしれない。
茶色い海藻みたいなものは昆布だろうか。
利尻も礼文も昆布が有名で、先ほどスコトン岬にあったお店で二袋ほど買って自宅へ郵送した。
島を南下
適当に走りつつ、景色のいいところで止まって写真を撮りつつ。
桃岩展望台駐車場より
桃岩が見られる桃岩展望台までは、駐車場からまあまあ歩く必要がある。あいにく時間があまりなかったため、今回は見送った。
ここに限らず礼文島には歩くスポットが豊富で、島の西側には長い長いトレッキングコースがある。
地蔵岩
礼文島は行ってみると結構大きい島で、人もだいぶ住んでいる感じがした。やはり特産があるのは強いのかも。
飛行機に乗るため利尻へ
さて、あらかた周ったところで、飛行機に乗るために利尻島へ向かう。前述の通り礼文空港は休止中なのだが、利尻空港はきちんと丘珠空港(札幌飛行場)まで定期便がある。夏季はさらに新千歳までの定期便も運航しているらしく、利便性は抜群。
時間がなくて北のカナリアパークなどいくつか行けなかった場所がある。次に来るはもっと時間を用意しよう。
ハートランドフェリーも利尻の飛行機も本数が少なく、島を出る時刻は自ずと一択に絞られた。まだ午後一時半ごろで、まだ滞在したい気持ちはあったものの、これを逃すとまた稚内に戻るしかなくなる。するとまたサロベツ耐久が始まる。流石にお腹いっぱいってことで…
礼文島を後に。実は後で重大なミスが発覚するのだが、この時私はまだそれに気づいていない。
鴛泊港に到着。ツアーをやっているのかバスが何台も止まっている。
空港まではバスで移動する。鴛泊港からまあまあな距離がある。
利尻島もかなり大きな島で、実はまだ鴛泊の反対側にある沓形の方までは行ったことがない。
失敗
先ほど言った「失敗」に私はバスの中で気付いたのだが、結論から言うと財布を礼文島に忘れた。
「レンタカーの収納が多くて便利」が伏線で、その収納に財布をぶち込んでおいたらまんまと忘れたのである。
幸い、今回は一人旅ではなく、加えてApple Payで最低限決済は可能であったため事なきを得たが、カードや現金をまるっと失ってしまったため、かなり焦った。
フェリーは一日一本で、この日のものは終わってしまっていたから、礼文島に戻ることもできない。急いでレンタカー屋に連絡したところ、私の自宅に送っておいてくれるとのこと。親切な対応に感涙するばかり。
旅行中の現金は同行している友人に頼りっきりになってしまったが、手元に返ってくるだけ不幸中の幸いである。
RIS - OKD
気を取り直して、飛行機に搭乗。
昨年機材が更新されて、12席ほど増えた。前回もそうだったが搭乗率は高い。
私個人としては更新される前のSAAB340Bのルックスが好きなのだが、実際乗ってみるとこっちの方が広々としていて快適だった。(非常用座席だったのもあるが…)
着陸・駐機するATR42をガッツリ撮影する気持ちでいたが、財布忘れ事件のせいでそれどころではなかった。
丘珠空港で降りた後は、市営地下鉄で札幌駅へ向かう。
ゴムタイヤで走る珍しい地下鉄だ。東京の「ゆりかもめ」や「日暮里舎人ライナー」みたいなもので、鉄道にはない独特の音と乗り心地がある。
ホテルに荷物を置いて夕食へ。
小樽の寿司
小樽は札幌から近い。近いと言っても電車で50分強かかるが、北海道基準では近いと言えよう。
小樽では寿司を食べる。
大手チェーンと比べ少しお高めの回転寿司。北海道らしく、ニシンやホッケなど関東ではあまり見ない珍しいネタがある。色々食べてみたが、みんな美味しく、特段奇抜な味はしなかった。ホッケは焼きと結構イメージが変わる。
2日目はここまで。余すことなく書こうとしたら、内容がかなり長くなってしまった。礼文に滞在したのは半日程度だが、それでもだいぶ濃い時間を過ごせたように思う。
3日目は札幌を出て夕張を観光しつつ旭川へ向かう。北海道本土ドライブ編。
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