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映画評「ハーフネルソン」ー相反を見つめる視点ー

製作 2006年 米
監督 ライアン・フレック
出演 ライアン・ゴズリング

あらすじ
暗闇の中、僕は一筋の光を見つけた。
ブルックリンの中学校で黒人やヒスパニックの子どもたちに歴史を教える教師、ダン・デューン(ライアン・ゴズリング)。型にはまらない授業で生徒たちの信望を集めているが、一方で自身はドラッグに溺れている。ある日学校のトイレの個室でドラッグを吸っている現場を、女子生徒ドレイ(シャリーカ・エップス)に見つかってしまう。彼女の兄は薬物を売った罪で刑務所におり、近所には多数のドラッグディーラーがたむろするような劣悪な環境で母親と二人で暮らしている。そんな彼女を何とかして救おうとするダンと、彼の秘密を知っているドレイ。二人の間に不思議な友情が芽生え始めるのだが――。
(アマゾン商品紹介より)

相反性理論?
冒頭、ゴズリング扮するダン先生は教壇に座り込んで世の中はすべて相反だと、歴史も相反で出来ていると、チンプンカンプンな事を中学生の生徒たちに語る。
校長先生には「公民権運動」について授業をしなさいと怒られるが、クソくらえと独自の授業を推し進める型破り教師。生徒にはそこそこ人気があるようだが、私生活ではコカイン中毒。
何に苦しんでるのか・・
別れた元恋人は結婚するらしいが・・
それだけではない何かもっと深い鬱屈を抱えている・・。
コカイン吸ってるところを女子生徒ドレイに見られたけど・・・
そのことを口止めするわけでもなく、生徒の方もそれに付け込んで何か求めるでもなくむしろ二人の間には温かい友情めいたものが芽生えていく・・・。
バスケの試合でドレイが相手チームにラフプレイされて、審判がファールを採らなかったのに真剣に怒ったり、売人だったドレイの兄の仲間の家に行って彼女に近づくな(巻き込むな)と言いに行ったり、昼間はいい先生なんだけど
夜になると、コカインキメテ、酒場に繰り出し、テキトーに女引っかけてパコパコやって、
朝になったら不機嫌になって追い出すというクズ男ぶりを発揮。
なるほどこの作品は人間の表裏を描くのがテーマかなと、薄々見えてくる。
ゴズリング扮するダン先生の裏の部分はいったい何から起因しているのか・・・
その1点の興味において作品に引き込まれるのだが・・
結局、最後までその要因は語られない。
僕の理解力がないのかもしれないけど、たぶん描かれていない。
だけど不思議と嫌な気はしなかった。
人間誰にだって表裏はある。理屈じゃないんだ。
そんな描き方だ。
ラスト。ドレイがダン先生に飴をあげる・・・
それだけですべてを物語るシーン。
わけもなく涙が溢れた・・・。
表は学校のイイ先生、裏ではヤク中。
表は外食禁止をお願いしながら、裏では会食する政治家や官僚。
表は爽やかな芸能人、裏では不倫。
そんな人たちをクズだと批判するのは簡単だけど・・・。
ではそんなお前はどれだけ清廉潔白に生きているの?
と、問われている気がした。






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