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真っ黒三つ編みアーティスト

雨だが、出かけなければいけない。
今日はそんな日。

ガタンゴトンと電車に揺られる中、目の前の女性がとても気になった。

私の趣味は人間観察ではないが、そんな私の目にもとまった気になる女性。
彼女の三つ編み。

まず、きっちりと編み上げられた三つ編みに目を惹かれた。こんな雨の日にもかからず、その隊列を乱さない髪の毛達。また、ゆるくほぐされている訳でもないきっちりとした黒い流れ。

初めはその美しい編み目に注目していたが、やがて気付いた。
そう、左右で編み方が違うのだ。

同じ三つ編みではあるが、向きが違う。おそらく彼女の利き手の問題であろうが、こんなにきちんと編まれているにもかかわらず左右が非対称なことにひどく面白さを感じた。

うろ覚えの記憶だが、東照宮はあまりにも美しく作られすぎたため、あえて柱を1本逆さまにしたという。
彼女の三つ編みには、それに似たある種のアートを感じた。

そういえば最近ガレージから鳴り響くグランドピアノの音にもアートを感じた。
その話はまた今度。気が向いたら。

美しさの中に一つ違和感が放られていると、不思議とその中にアートが見える。日常は思ったより彩られているらしい。
美しいものだけに囲まれているだけでは感性は麻痺するだろう。違和感の世界を精一杯見つめていきたい。

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