「天皇が人間だったって知っちょったか?」
戦争から帰った義父が、友達に聞いた言葉です。
「当たり前じゃろ。人間で無いものはおらんが!」
と、答える人に
「だって、俺は天皇は神様と教えられたばい!」
この話は、義父を理解するエピソードだと思っていました。
しかし、当時は誰しも父のように教えられ、民は神に仕える者として仕立てられたのです。盲目的に信じた義父だけが、特異な存在とばかりは言えなかったのです。
それでも、力尽きて倒れた戦士が
「天皇陛下万歳」
でなしに、
「お母さん」
と呼んで亡くなった話を多く聞くと、人間の情感の方が教育に勝る事を深く実感できます。
しかし、ジャングルから九死に一生を得て帰った、横井庄一さんに
「恥ずかしながら、帰って参りました。」
と言わしめた教育の恐ろしさを忘れてはなりません。
義父も戦前の教育の被害者の一人だったことを改めて思い返す、8月の敗戦記念日が近づいて来ました。