トイレの中心で はぁ? と叫ぶ

役所内で働いていると、周りは本当に画一的な人ばかりしかいない。
もし事件が起きて、駆け出しのプロファイリング捜査官が来たら、多分泣くね。ってレベル。
大卒で、文章を書くことも読むことも苦としない、そんな人たちばかり。

書かれる文章も本当にしっかりとしていて、素晴らしい。
そう、素晴らしい。

でも、難しい。

採用されたばかりの頃、庁舎1Fロビーのお手洗いには、ある紙が貼られていた。
A4用紙にびっしりと音姫(トイレ用擬音装置)の使い方の説明が記載された紙。用を足し終えるまでには読み終える事ができないほどの長文。
タイトルは、『トイレ用擬音装置使用要領』だった。

トイレの個室で思わず はぁ? と言ってしまった。
私史上、最も力の入った はぁ? である。


トイレの個室で はぁ? と口にしたあの日から、
私は、文書について考えている。

どうすれば、読みたいと思ってもらえる文章になるのか。
どうすれば、内容がスッと入ってくる文章になるのか。
どうすれば、相手に伝わる文章になるのか。

行政文書は少々難しくてもいい。
でも、広く一般の方にとっても必要な情報が書かれた文書はそうじゃない。
申請に関する説明文だけでなく、基本計画の類も分かりやすい文章で書くべきだ。
わかる人だけが分かっていればいいものではない。行政が発信する文書はみんなのものだ。
職場でも批判されるのだが、
私は、中学3年生がわかるくらいの言葉で書くべきだと思っている。
国が義務教育で担保しているのは、中学3年生までだからだ。
音姫の使い方をトイレ用擬音装置使用要領なんて書いている場合ではないのだ。

まぁ、難しいけどね。









この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?