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Once Upon a Time ... in Kochi
この記事は #川村文乃アドベントカレンダー の11月25日(17日目)になります。いよいよラストスパートですね...。
こんにちは。「とても謙虚な人」という者です。
拙い文章になるかとは思いますが、お手柔らかにお願いいたします。読みにくいったらありゃしない文章をお届けします。
11月10日。アンジュルム 10th ANNIVERSARY TOUR 2024 AUTUMN 「ROOTS」、川村文乃最後の「凱旋」高知公演の翌日。
私は早い飛行機で帰る同行者を見送り、一人桂浜にいた。昨日の公演を反芻していた。
地方での公演で出演者がその土地の方言、名士にちなんだ言動をするというのはエンタメあるあるだ。例に漏れずアンジュルムメンバーも地方公演では必ずと言っていいほどご当地ネタを仕込んでくる。今回の高知公演ではマグロのポーズ?や川村さんを真似た土佐弁でのMCなどが見られた。みんなかわいい。
その中で私の頭から離れない言葉があった。
「アンジュルムの夜明けは近いぜよ!」
これは上記したように「ライブあるある」の地方サービスに過ぎないと思う。坂本龍馬が言ったとか言わないとかって言葉だ。いや多分言ってないけど。坂本龍馬オマージュには違いない。
でも、私は真に受けてみた。あまりにも澱みなくメンバーが言うもんだから。
私は全く疑いなくアンジュルムは真昼間にいると思ってた。あなた達は「キラキラ」と太陽のように輝いているではないか。私たちを照らしてるではないか。
「アンジュルムの夜明け」って一体どういうことなんだ。どういうことなんだ。
視線の先には坂本龍馬の像があった。
ここで突然私は思いついてしまった。
「川村文乃はずっと夜明けを待っている」のではないかと。
坂本龍馬も川村文乃も夜明けを待っているんじゃないかと。
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桂浜は大事な場所だったりする
桂浜からバスに乗り、20分ほど。
高知市の中心街に私は戻ってきた。
公演当日はなんやかんやで川村さんのいわゆる「聖地」を見れていない。日曜市のいも天を片手に私は「はりまや橋観光バスターミナル」に向かった。
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と、高知市出身の会社の先輩。
バスターミナルに向かったのはもちろん川村さんに思いを馳せるためでもあるが、実は私はこの目で確かめたいことがあった。ある番組で取り上げられていた事柄を。
このバスターミナル、実は高知城の堀(水路)を埋め立てた部分に作られているのだ。
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上の写真は街に置かれていた案内板。かつての高知の街をうかがい知ることができるのだが高知城の北側は江ノ口川、南側は鏡川が取り囲んでいる。そしてその南北の川を結ぶ水路が高知の街には張り巡らされていたのだ。
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で、はりまや橋観光バスターミナルはどこなんじゃいと言うとちょうど「堀川」と書かれている場所のあたり。はりまや橋から水路がカクンと曲がった先だ。
実際に現在の様子を見に東に向かって歩く。
BGMは井上陽水「女神」。
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そしてカクンと角度がついた先には!
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ぜひ地図アプリでも見て頂きたい。旧堀川上にバスターミナルはあることがきっとわかる!
しかし、このカクンと路面電車の線路のクロス、ロマンあるな〜。
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で、さらに面白いのがバスターミナルの先。
川村さん上京の際の「あの動画」を思い出してみて欲しい。
川村さんはどんな風景を歩きながらバスターミナルに向かっていたか...?
バスターミナルをさらに東に歩くと、かるぽーとが見えてくる。
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かるぽーとより少し先に行くと...
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川村文乃さんは実はバスターミナルに向かうあの映像でずっとこの旧堀川沿いを歩いていたのだ。
ここにはこんな掲示があった。
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ちっちゃくてよく見えないと思うがざっくり説明すると、かつてこの堀川含め高知城周辺の水路では水運業が盛んだった様子を表す絵図が表示されている。というのも...、
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実は高知の街は海→鏡川→堀川と城下町と海が直接繋がっている街で、港からの物資が船でバンバン城下町まで運送することができたのだ。もちろん人も。そう、坂本龍馬も!
坂本龍馬は生まれは高知城より少し西側だそうだが、浦戸湾近くの中城家という人と少年時代から面識があったらしい。脱藩後に土佐に戻った際は浦戸湾に船で戻り、中城家に潜伏していたと伝わる。
坂本龍馬は城下町生まれながら浦戸近くの家と交流があったということになるが、その際、船で堀川を下り浦戸まで遊びに行ったというのは納得出来る説だ。
...おわかり頂けただろうか。
あのバスターミナルは坂本龍馬が、川村文乃が、高知ではない、より広い世界に直接的に繋がるためのスタート地点だったのだ!
坂本龍馬は日本の夜明けを、そして川村文乃はまさに夜行バスが東京に到着する夜明けをあの場所で祈っていたのだ!
なんて粋な街づくりなんだ高知市!
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山に囲まれた地形がよくわかる景色が望めます
こうして私の超誇大妄想は高知を歩くことで膨らみ続け、「川村文乃も坂本龍馬も夜明けを待っている」説は強くなっていった。でももう一押し足りない。これじゃ川村さんは夜行バスに乗ってるだけだ。何かもう一つないか...。
......!?
「キラキラ」だ。
川村文乃さんは「キラキラ」が好きだ!
今まで川村さんが指す「キラキラ」とはなんなのか、あんまり深く考えたことがなかった。しかし振り返ってみると例えば「キラキラのペンライト」だって、「キラキラの衣装」だって「キラキラの天の川」だって、実は「暗闇」があってこそだ。アイドルと観客がいる場所が同時に完全明転することは珍しい。「暗闇」を背負うことで輝きは増す。「いとしいとしとSay My Heart」の「キラキラ」も「Sister Sister」の「キラキラ」も個人的には街のネオンや、ブロードウェイや映画館的な「夜のキラキラ」を私は連想している。
川村文乃さんは「ペンライトでキラキラと照らしてくれてありがとう」と仰ってる気がする。
川村文乃さんにとって「キラキラ」は常に自分の「周辺」や羨望の眼差しの先にある世界であるように感じる。
川村文乃さんはその「暗闇」を照らす「キラキラ」をずっと追いかけているんじゃないだろうか。
夜行バスに乗る時も、過去を捨てたいほどの覚悟で加入したハロプロ研修生も、突然のサブリーダーも、きっと「お先は真っ暗」だと感じてしまうこともあったはずだ。でもその先の「キラキラ」から視線を逸らさなかったから、「キラキラの未来」を見逃さず「お先はまっキラ」だと信じ続けてくれたから。こんな素晴らしいアイドルに、人物に川村文乃さんはなってくれたのだと思う。
川村文乃さんは11月28日にアンジュルムを卒業し、芸能界を引退する。
春の高知公演で「遠回りだったけどその先でアンジュルムと出会えた喜び」を語っていた。引退についても細かな言葉は異なるが「『アンジュルムとの出会い』というアイドル人生最上の喜びがあった以上、ここを終着点としたい」という理由だと解釈している。
もうこれ以上、川村文乃さんはアイドルとして「キラキラ」を追い求めなくて良いのだ。
「キラキラ」を追いかける「夜」は終わるのだ。
そしてそれこそが「アイドル 川村文乃」の終着点であり、彼女が追い求め待ち続けたものだ。
「アンジュルムの夜明けは近いぜよ!」
川村文乃さんが待ち続けた「夜明け」はもうすぐそこに迫っている。
その最期の刹那、どんな「キラキラ」が彼女と私たちの視界に広がっているのだろうか。
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魚がよく跳ねていた、頭をぐるぐるさせるにはいい場所
以下はエピローグとして。
一人で歩く高知の街、私はとにかく頭がぐるぐるしていた。そのぐるぐるをなんとか文章にしたが伝えられる自信がない。あなたの頭もぐるぐるして感じて欲しい。
旅の最終盤、喫茶デポーに行った。
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本当は同行した方とその日のモーニングに行くはずだったが私は寝坊してしまい、食べられなかった。(無礼を反省するばかりです。)
ならばと、高知を発つ前の食事に選んだ。
窓際の席に座り、オムライスを注文。
窓からは京町商店街の入口が見える。時刻は17時過ぎだっただろうか。アンジュルムヲタクで溢れた昨晩と打って変わり、「普段の高知」の営みがそこにある。
店の一番奥がおそらく川村さんが座った席だろうか。もちろん川村さんはいない。
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オムライスが運ばれてきた。
そして涙が出てきた。
川村文乃さんがずっと過ごしてきた「普段の高知」に少しだけお邪魔させてもらえた気がして、それは川村文乃さんをまた知れたような気がして。
でももう川村文乃さんに言葉で、空気を震わせて、この体験を、思いを、お礼を伝えられないと気づいて。
このオムライスを食べ終えたら「高知公演」が終わって、高知県が、川村文乃さんが遠くに行ってしまう気がして。
泣きながらオムライスを食べた。美味しい。
今度は笑けてきた。こんな経験初めてで、いま文章にしても意味がわからない。笑ってしまう。
だって全然知らない、本当は川村文乃さんのこと。知り合いでも友達でもない人だ。
なのにその人のことを一日中考えて、一日中歩いて、最後泣いちゃうって、「おもしろい高知遠征でした!」
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本当にたまたまで乗ってから気づいた
楽しかったり、幸せなことがあると私はその思い出をいつか忘れちゃうんじゃないかと怖くなってしまう。
だからいまこうして文章に書いた。
むかしむかし、高知に「川村文乃」というまっすぐなアイドルがいたこと。
むかしむかし、その「川村文乃」に導かれ高知を訪れた秋のこと。
きっと未来の自分は今の私の感情を忘れるから、そうすればこの文章に会いに行けばいい。
では、またその時まで。
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高知の街の話はこの辺を大いに参考にしました!
そしてなにより「ブラタモリ #85 高知」!
バスターミナルと水路、水路と坂本龍馬のくだりはこちらの放送で取り上げられていました。