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中国文化「拱手礼」をめぐる諸相

漫画「三国志」などで見られる中国の拱手礼(きょうしゅれい)は、中国の文化の一つですが、手の左右に注意が必要です。

男性は「利き腕である右の拳を封じます」という包拳礼で、右手の「グー」を左手の「パー」で包むが、葬儀など不幸のときは左右を逆にします。

女性は左手の「グー」を右手の「パー」で包み、葬儀などでは左右を逆にします。

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男が左手を、女が右手を表側にする理由は、古代の「礼」の美意識ということもあります。『老子』第31章に「君子、居れば則ち左を貴び、兵を用うれば則ち右を貴ぶ」とあります。右手は武力や暴力の象徴なので、君子は左手で右手を封じるということのようです。これに対して女子は、陰陽思想に基づき、男子と左右を逆にするようです。

しかし、新中国(共産化)になって以来いったんは廃れたようです。共産党にとっては封建時代の名残の邪魔な習慣に感じられたのかもしれません。(明確な禁止令があったのかは不明です)

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文化大革命

特に文革時代は「破四旧」(四つの古ぼけたもの…古ぼけた思想、古ぼけた文化、古ぼけた風俗、古ぼけた習慣を打倒)キャンペーンが大々的に行われ、古い文化は徹底して目の敵にされました。

拱手の礼などは当然抹殺で封建時代の名残を懐かしむ反革命分子と目され、命の危険もあったかもしれません。

拱手の礼が復活したのはいわゆる改革・開放の時代(80年代以降)になってからのようですが、もともとあった伝統が復活したにすぎないとも言えます。

さらに、最近のコロナ禍で、ソーシャルディスタンスということが注目され、握手の習慣に変えて、この「拱手礼」が台湾で多く見られるようになったようです。蔡英文総統が時折このしぐさを見せています。

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大陸側の指導者ではまだこのしぐさは確認できておらず、もしかしたら共産中国の「意地」なのかもしれません。

なお、日本では「手を拱く(こまねく」になり、「何もしないで手を下さないでいる」という悪い意味で使われています。

日中間で同じ漢字語ではあるものの全くニュアンスが異なる言葉でもある点が注目されます。



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