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バイデン大統領就任演説での『聖書』(2021年1月)
トラ党の自分にはバイデン全然面白くない。つまらない、退屈です。「寝ぼけジョー」の就任演説に早速ケチ?をつけてみましょう。
興味深い注目点はトラちゃんと同じく旧約聖書から引っ張ってきていることです。
『日経』での全訳は引用の部分をあいまいにしていて、これは感心しませんでした。
『日経』演説全訳「聖書に書いてあるように、夜はよもすがら泣きかなしんでも、朝とともに喜びがくる」
該当は以下。
新改訳2017旧約聖書詩編30:5「まことに御怒りは束の間、いのちは恩寵のうちにある。夕暮れには涙が宿っても、朝明けには喜びの叫びがある。」
新共同訳2006旧約聖書詩編30:6「ひととき、お怒りになっても、命を得させることを御旨にとしてくださる。泣きながら夜を過ごす人にも喜びの歌と共に朝を迎えさせてくださる。」
しかし、注目される本命はこの部分の次に続くフレーズです。
新改訳2017「私は決して揺るがされない」新共同訳2006「わたしはとこしえに揺らぐことはない」
「何に対して」なのか、そう。このアメリカの分断と言える状況なのだろうし、ここが演説でのポイントでもあるのです。
さらに、聖書にも注目してみましょう。
カトリックであるバイデンが就任式で宣誓の際に手を置いた聖書は「バイデン家代々のもの」とだけ日経は報道しています。
これも甘ちょろい日本的な解説だと感じました。大統領がカトリックである点での大注目ポイントなのです。
APの報道によると、これは"Douay–Rheims Bible"という聖書です。
この由来がバイデンの系譜を物語るのです。これは元々4-5世紀にヒエロニムスがラテン語に訳した聖書(ウルガータ)を、英国教会(アングリカンチャーチ)が成立した英国から逃れたカトリックの聖職者たちが16-17世紀に英語に訳したものなのです。
バイデンたちの先祖のアメリカのカトリックは、英国国教会から追われる形で、米国に新天地を求めた経緯があります。米国でのカトリックのおかれた緊張的な立場の象徴でもあります。