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日本プライマリ・ケア連合学会学術大会に採択された演題の論文化率が低すぎる件について

初めまして、にゃんでもにゃ医といいます、よろしくお願いします😇
はじめてのnoteのお題はですね、タイトルの通りで、日本プライマリ・ケア連合学会(JPCA)学術大会に採択された演題の論文化率が低すぎる件についてです😇JPCA学術大会(以下JPCA)に採択された演題の論文化率、および国内の他学会の状況、世界の学会の状況について文献を引用しながら提示し、JPCAの演題の論文化率が低い理由の考察、および今後どうしていくべきかについて独断と偏見で語っていきます😇最後までお読みいただけるとありがたいです😇


JPCAってなに?

一言でいいますとプライマリ・ケア、総合診療、家庭医療の学会ですな😇詳しく知りたい方は学会ホームページをご覧ください😇なに、それらの違いがわからない??今回はそこはあまり関係ないので大丈夫です😇😇

ワイはその辺を専門にする医者なので、このJPCAに所属しているわけなんですね😇

ことの発端は…

なぜ今回このような記事をまとめようと思ったかというと、ついったらんどでこのようなツイートが流れてきたからなんですね😇

ほうほう、耳鼻科の学会では微妙な演題が多いのか…そういえばJPCAに採択される演題のうち論文化率が数パーセントみたいな論文を読んだことがあるぞ!となったんですね。そのことを呟いたらフォロワーさんが論文を教えてくれました😇

こちらは2010-2012年のJPCAに採択された演題の論文化率を調べたものです。

…3.8%だと??ちょっと低すぎないか😇😇😇
しかし国内の他の学会と比べてみないとなんともいえないよなということで、他学会のものを調べてみました。

他学会との違いが衝撃だった…

まずは日本老年医学会から。JPCAのと同じ著者が書いています。論文はさっとしか読んでないので許してね😇😇😇

え、、、23.6%だと(;゚д゚)(つд⊂)ゴシゴシ(;゚Д゚)…?!

そんなばかな…他学会も確認してみよう😇
こちらはACP日本支部のもの。こちらも同じ著者です。領域的にJPCAと被るところもあるが、さてどうなるか😇

12.1%…JPCAと比べたら3倍以上ですね😇😇

続きまして整形外科。

日本整形外科学会学術集会は25.5%、日本整形外科学会基礎学術集会は50%…すごすぎる😇😇😇

日本精神神経医学会はどうでしょう。

17.9%…もう驚かなくなってきましたね😇
さっと調べた限りでは日本のものはこんな感じでした😇ほかにもあればぜひ教えてください😇😇

世界的にはどんな感じ?

日本国内だけで語っても仕方ないですよね、世界標準で語らないと😇
全然知らなかったですが、コクランが定期的に論文化率に関するシステマティックレビューをしているようで、フォローワーさんにこちらの文献を教えてもらいました😇フォロワーの皆様、ありがとうございます😇

こちらのコクランのシステマティックレビューだと37.3%😇😇
それではJPCAに比較的近い領域である海外の学会ではどうでしょう😇

Society of Genearl Internal Medicineは47.4%😇

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28277049/

ノルウェーの総合診療の学会は42.5%😇

…もはや3.8%という数字が逆に誇らしくなってきたのはワイだけでしょうか😇😇😇


なぜJPCAでは論文化率が低いのか??

ということで、JPCAに採択された演題の論文化率は3.8%で、国内の他学会と比べても比較にならないくらい低いこと、世界的にみても同様ということがわかりました😇😇まあわかっていたことではあるけれでも😇
これからはなぜJPCAで論文化率が低いのかについて、独断と偏見で考察していきたいと思います😇😇

大学に所属していない医師が多い、大学に所属していない医師はそもそも論文化するつもりがない

JPCAの論文化率を調べた上記文献では、著者が大学に所属していることが論文化率と関連しているという結果でした(adjusted OR 2.35)。そもそも総合診療領域は大学に所属していない医師の割合が他領域の比べて圧倒的に多いです(エビデンスなし😇)。大学病院に所属する医師は学術的な活動を求められると思いますが、所属していない医師はそのインセンティブがあまりないことが想像できます。まあインセンティブの要素もあるし、そもそも当領域の医師の多くは論文を書く能力がないというのが一番の問題かもしれません😇😇😇人のことはまったく言えませんが😇

質の低い演題を採択している→そもそも論文化できる代物でいはない

JPCAは毎年のように演題提出期限を延長しています😇なので演題採択率が100%の説があります😇これでは論文化できないような質の低い演題が入ってくるので、当然論文化率は低くなりますよね😇質の低い演題は価値がないとのことでバッサリとリジェクトするのがいいと思いますが、家庭医療専門医の修了要件に学会発表があるので、そう簡単にもいかないですかね😇
あと、他学会の採択率はどんなもんなのでしょうね😇他学会も採択率100%だとしたらこの説では違いを説明できませんね😇上記文献も主要な要因ではないのではないかという論調です😇

そもそも論文化を目的にしていない「活動報告」という演題カテゴリーがある

JPCAに参加されたことがある方はわかるかと思いますが、JPCAには「活動報告」という演題カテゴリーがあります。これは「こんな活動をしてますよー」という報告であり、文献的な考察等も必要ありません。このカテゴリーでは医師以外の医療従事者が著者であることも多いです。なので、このカテゴリーの演題が論文化されるというのはほぼ皆無でしょう(将来の研究のタネにはなるかもしれませんが)。ただ、このカテゴリーはそれほど数が多いわけではないので、他学会と比べて圧倒的に論文化率が低い要因とは言い難いです😇

プライマリ・ケア、総合診療領域の論文を増やすにはどうしたら良いか?

ここではJPCAの論文化率を上げるためだけでなく、日本発のプライマリ・ケア、総合診療領域の論文を増やすにはどうしたらよいのか、ということを考えていきます。
当領域で多数の論文執筆をされている青木拓也先生は以下の論文で3つの点を挙げています。

  • プライマリ・ケア研究のインフラストラクチャーを整えるためにPractice Based Research Networkを普及・拡大させる

  • プライマリ・ケア研究者の育成と連携の強化

  • プライマリ・ケア研究における日本の背景を考慮した日本版尺度の開発

こちらは2017年の論文ですが、上記のことは着実に進んでますよね!尺度に関しても、最近でも金子惇先生の僻地の度合いを表す尺度の開発についての論文がでてましたね😇

JPCAの論文化率の文献も、2010-2012年の学会のものなので、今は以前より論文化率も上昇しているのではないかという楽観的な予想があります😇最近のデータを使って再度論文化をお願いしたいです😇😇

個人的には専攻医に研究や論文執筆について興味をもってもらうというのがとても大事だと思います。そのためには指導医が論文を書いている、指導できるということが必須だと思いますが、そういった指導医がいる家庭医療専門医プログラムはどれくらいあるでしょうか😇
そもそもまともな家庭医・総合診療医の指導医がいないプログラムもたくさんありますからねえ😇😇😇
学会としては、すでに研究・論文作成に興味を持っている人たちを支援するのもとても重要ですが、各プログラムの指導医たちの支援も重要だと思います。各プログラムで完結できれば最高ですが、それは難しいと思うので、青木先生も指摘されていたようなネットワークも重要ですよね。いずれにしても、研究・論文作成に興味がない指導医クラスへの働きかけは必要だと思います。ある程度の強制力があってもよいと思います(プログラム維持のためには指導医は講習に参加しなければならない、など)。いきなりプライマリ・ケア研究はハードルが高すぎですが、症例報告を海外ジャーナル(もしくはJGFM😇)に投稿するなどから始めることはできると思います。

まとめ

ということで、JPCAの論文採択率が異常に低い、それには複数の要因がありそう、徐々に状況は改善されていそうだがまだまだこれから、という話をしてきました。
偉そうに語ってきましたが、ワイはまともな論文を書いたことがありません😇😇😇ただ、ただ、当領域の学術的な価値を高めていきたいという野望だけはあるので、今後がんばっていきたいと思います😇😇

感想やご意見はぜひツイッターでいただければと思います、トップに固定しておきます(noteにそういった機能ありますか?😇)
最後までお読みいただきありがとうございました😇




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