『不思議の国の数学者』の感想

「自分が1番不幸だと思うだろ。自己憐憫は実に厄介な病だ。幸せに背を向け不幸に浸る。その方が楽だから。」これは作中に登場する脱北者のお爺さんが主人公に言った言葉です。

主人公は韓国の名門校に通う、落ちこぼれの男子生徒です。彼は10年前に父親が不慮の事故で亡くなり母親と2人で生きてきました。周りとの経済的な格差を感じ、この学校には馴染めないと諦めていました。しかしひょんなことから学校の夜間警備員で脱北者、堅物な雰囲気のお爺さんと知り合います。実はそのお爺さんが天才数学者なんです。そして彼との出会いから主人公の未来が180度変わります。

約2時間があっという間の作品でした。

私自身、脱北者の方の波瀾万丈な人生について興味があり何度か調べたことがあります。この映画を通じて感じたことは、脱北が成功したとしてもその先で幸せに暮らせるかどうかは別だということです。情報統制され常に行動が制限される国。言い換えれば井の中の蛙ですよね。それは悪い面もありますが良い面もあると思います。この作品中の登場人物で、脱北が成功して韓国に来たことを後悔する人物がいます。脱北者ということで喧嘩に巻き込まれたり。そして祖国へ戻ろうと海を渡りますが、その人の最期は悲惨なものでした。

1番最初に戻りますが、私自身かなり落ち込みがちな性格です。自分が1番不幸だ。自分が1番つらい。とよく考えます。ネガティヴ思考がポジティブ思考よりも楽かと言われたらそうではないと思います。ただ、「不幸であると過度に自分自身に思い込ませる」と身近に潜むささやかな幸せにも気づくことができなくなると思います。結果、ずっと負のループで自分の周りで自分を支えてくれる人に対して失礼な言動を繰り返してしまうのです。
自己憐憫というのは本当に厄介です。この思考から抜け出すのはなかなか難しいです。でもそのせいで幸せを逃すのもなんだかやりきれないですよね。もし私と同じような境遇で辛いなと思う方がいたら(今まで私的なことを書いたことがないので私の境遇を分かるはずがないのですが笑)ぜひ周りに潜む小さな幸せを見つけてみましょう!どんなことでもいいと思います。例えば、心に残る映画に出会えた!とか。

映画レビューなのに、途中から慣れない自己啓発的な文を書いてしまいました笑
最近みた作品の中ではかなり上位に入ってくるぐらい素晴らしい映画でした🎞️

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