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カズオの運行日報 第27話 「昭和リバイバル!」 解説つき

今回はトラックドライバーの業務や車両は一切出てこないお話なんですが、コージの部屋の片付けの話から繋がって小さな会社でお金をかけずにする福利厚生(と言っていいのかどうかわかりませんが)のお話なので、番外編にせず続きにしました。


前回までのあらすじ


お母さんが病気で身体が不自由なため、部屋が散らかりがちになり無理していたコージでしたが、カズオたちの協力で片付けることに。
植松は青さんからその昔体験した怖ろしい話を聞いたことでコージに謝り普通に付き合うようになりました。
コージのお母さんの病気は大きな音や眩しい光に過敏になる病気なので、片付けの日は伯父さんの家に避難してもらっていました。
コージの家は古い家作ですが、果たして片付いたのでしょうか?
全13ページ。


マンガ本編



解説

「流し」とは?

まず、作中で若き日の社長がやっていたという「流し」というモノを若いかたに説明しますと…。

昭和の昔は、居酒屋やバー・パブ・スナックのようないわゆる「飲み屋」にギターを持ってフラっときて演奏し、店にいる客やマスターに投げ銭をもらう「流し」という商売がありました。
生ジュークボックスみたいなものですね。

おもしろすぎてマンガ本編を喰ってしまうので(爆)載せようか迷いましたが、コレがいわゆる当時の「流し」です↓

マンガ作中のKNロジ社長は焦げ猫の父(故人)がモデルなんですが、かつて流しをやっていてサラリーマンになってからも毎日家で弾き語りが習慣になってたとこまでまんまです。
違うのは時代とギターですね。
焦げ猫の父は北島三郎さんと同時期に流しをやっており、バッティングしたこともあったそうですから、フォークはまだない時代だったと思います。
ギターも父のはいわゆるアコースティックギターではなくクラシックギターかフラメンコギターだったようです(何本も持っていてムード歌謡をフラメンコ調に弾いていたのでよくわからんのです・汗)。

KNロジの社長は焦げ猫の父(戦前生まれ)より20歳近く若い設定なので、レパートリーやギターもそれなりにしてます。

カラオケの台頭で一旦流しはニーズがなくなりましたが、今はすでに「流し」が再興され、パリなかやまさんなどが大衆居酒屋メインで活動されているようです。

が、「ギター流し」にもいろいろ形態があり、飛び込みばかりでなくスナックやパブと契約していたりもあったようです。
焦げ猫の父はレパートリーからして哀愁漂う曲ばかりだったので、どちらかというとしっとり呑めるそういうお店に呼ばれて行ったことも多かったみたいです。

わたしも酒が呑める身体だったときに流しのかたの演奏を聴いてみたかったですね〜!


コージの秘密

前半でツーバスのドラムセットが出てきて「ありがち展開〜」と思われたかたもいらっしゃるかもしれませんが…。

「コージ」の名前の由来はコージー・パウエルさんです。
あとから知り合った子にドラムを演らせるというのは最初のプロットからありました。
ドラムセットのモデルは長谷川浩二さんのです(このかたもコージだ)。

今回描いたドラムセット


主人公カズオがジョン・サイクスさんやブルーマーダーのファンなのですが、かつてブルーマーダーに在籍した伝説のツーバスロックドラマーであるカーマイン・アピスさんの使ってるセットを最初から持っているというのは不自然なので。
(あ、スティックだけ練習再開後は替えています)

社長が書いた責任者の札で初めてコージの苗字があきらかになりましたが、「赤峰」の「赤」はそのカーマイン・アピスさんから取りました(カーマイン=赤)。
「あかみね」というと「赤嶺」のほうがポピュラーっぽいのですが、字が簡単なほうにしました(^^;)

また、焦げ猫が行ってた小学校では吹奏楽部(当時は学校ではブラスバンドという言い方はしなかった気が)のリズムパートがドラムセットで、ドラマー1人でこなしていました。
転入したとき「珍しいな」と思ったんですが、今は結構そういう小学校あるみたいですね。

お母さんが泣く泣く「音が辛い…」と申し出たときのコージの仕草は、シンバルをミュートしてるところを描いたつもりです。
それまで、アパートではないので深夜でない限り練習しててもあまり問題なかったわけです。
(こういう家に住んでたことがあります。安普請なので隣家に聞こえないわけではないのですが、離れてはいるので集合住宅よりは大声でのびのび笑えました)

第24話より。いわゆる「家作(かさく)」。借家として建てられた小さな平屋で、昔は都営住宅もこんな造りだったそうです


コージヒストリーと社長ヒストリーを描いたので、次は順風満帆に生きてきてそうな植松の話も用意してあるので描きたいと思ってます。

あ、カズオが「そう思える母ちゃんが羨ましいぜ」と言ってますが、カズオヒストリーは「グランジの神様」という別作品に描いてます。カズオは虐待サバイバーなのです。


こんなことも福利厚生?

従業員が楽しく働けるような環境整備も、社長は考えていたようですね。

社長は江戸っ子と九州男児の混血なので、曲がったことが大嫌いで怒りの沸点が低いです。
プロローグ作「グランジの神様」でも、安全講習中に居眠りしたカズオに激怒しています。

「グランジの神様」第9話より。今以上に絵が雑でした

なので今回もダメ元で言ってはみたけど怒られるかなとカズオは想像。
植松も入社したての頃のやらかしで相当怒られています(カズオの運行日報 第8話にて)。

焦げ猫の父も社内教育講義中に(父が講師)態度が悪い社員がいるとよくデスクのガラスを割ったそうです(^^;)
あまりに割るので最終的にビニール製に替えられたようですが。

こんなの今じゃパワハラと言われかねませんが、社会での人生経験が浅い若い子に対して「導ける大人がいないと」というポリシーのもと&マンガだから大ゲサ、と思ってください(^^;;

福利厚生ってなにも外車を貸し出すことや保養施設を持つことだけではなくね、小さな会社ならそれなりに、こういう小さなこともいいんじゃないかと思います。
(てか、会議室のある会社で会議室の後ろのほうがPPC用紙やトナーなどの事務備品置き場になってるのってあるあるかも・笑)


今回、ドラムセットやブラスバンド部の描き込みで苦労した中で、小ネタ紹介&またいろいろ新しい気づきがあったのでメイキング記事も書こうと思っています。

次回の「カズオの運行日報」は、またまたトラックから離れますが、番外編の予定です。
お楽しみに!

トラックドライバーの実話ドラマを描いてます「カズオの運行日報」のマガジンはこちらです↓


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焦げ猫
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