洋服お直し小話その②〜股下寸法はパンツによる〜
パンツの裾上げの際、「この前測ってもらったら股下〇〇cmだったから今回も同じで」とか、「このパンツがちょうどいいからこれに合わせてほしい」と言われることが多々あります。
実はこれ、履いた時に「丈が長かった・短かった」となる原因になるんです。
デザインやサイズが違うパンツは、面倒でも試着することをオススメします。
股上が変わると股下も変わる
まず、パンツの部位の説明をします。
股の縫い目をたどっていくと、縫い目が十字になっているところがあります。
ここからウエストまでを股上、裾までを股下と呼びます。ウエストから裾までを総丈と呼び、股上+股下=総丈です。
股上が浅い(短い)と股下は長くなり、股上が深い(長い)と股下は短くなります。
デザインが違うならパターン(型紙)も違うので、股上の長さが変わってきます。
なので、同じデザインの同じサイズでない限り「前回股下〇〇cmだったから」といって今回もその長さでOKとは限りません。
面倒でも試着した方がいいですよ。
総丈寸法は差異が出やすい
「じゃ総丈で合わせればいいじゃん」と思った方もいらっしゃるでしょう。
型違いのパンツでも総丈で合わせることはできます。しかし総丈の場合、採寸した人と実際に加工する人とで寸法に差異が出ることが多いです。
プロとはいえども、メジャーの引っ張り具合には個人差があります。この差異は距離が長くなれば長くなるほど大きくなります。
なので、基準点がはっきりしていて縫い目に沿って測ればよい股下寸法が一般的に使われています。
ウエストサイズが違くても丈が変わる
私たちお直し屋店員は、店頭でご試着される場合には必ずウエスト位置やベルトはされるのかどうか確認しています。
ウエストの上の方で履かれるのなら、持ち上げられる分股下が長くなります。逆にウエストの下の方で履かれるのならば、股下は短くなります。
ウエストが大きいものをベルト無しで履くと腰ばきになるので、ジャストサイズのものより股下が短めになります。
ベルト有りで履くなら、ベルトで締めた分ハイウエスト気味になり股下が長くなります。
パンツのウエストつめと丈つめを一緒に承る際は、二度手間になるけれど先にウエストを詰めてからの裾上げをオススメするときもあります。
あまりにウエストが大きいと、丈が決めにくいんです。
長い分はまた詰めればいいですが、短かった場合が怖いです…
まとめ
以上、パンツの股上と股下のお話でした。
見た目が同じような形のスラックスでも、よーく見ると股上の長さが違ってたりします。
裾を切ってしまうと、基本的には長くすることはできません。あとで「短い!長い!」とならないためにも、試着して決めることをオススメします。再加工も料金かかちゃいますし。