縫製業はまち針を(極力)使わない
今日は本業の話です。
タイトルどおり、縫製業ではまち針を極力使わずに縫います。
針混入防止と作業のスピードアップのためです。
縫製業の針管理
私の本業は縫製業です。洋服のお直しの会社で働いています。
店内や加工場で使う針の種類や本数はきっちり定められ、出勤時と退勤時には本数が揃っているか確認して針確認表にサインします。
作業中に針が折れた場合も、折れた針のかけらを全部回収して針の台帳に貼り付けます。
針の数が足りない、折れた針の破片が揃わないなんてことがあれば出勤者全員で針の大捜索が始まります。時にはお客様にご連絡することもあります。
それでも見つからない場合は始末書の提出です。
なぜここまでするかというと、針でお客様に怪我をさせてはならないからです。
服に針が混入したままお客様がその服を着られて怪我をされた場合、お店の閉店・会社の倒産にもなりかねない大問題となるのです。
なので、針管理はかなり厳しいです。
手縫い針・まち針の使用は最小限に
針の混入を防ぐため、手縫い針・まち針の使用は最小限にとどめるよう指導されます。
まち針は鈴付きのものです。万が一はずし忘れても、服を振ったらチリンチリン鳴るので気付きます。
針を使った後は、その都度針が揃っているか数えます。そして、「針揃ってます」と声だしするのがうちの職場のルールになっています。
まち針の抜き差しが地味に面倒くさい
まち針を使わない理由は、針の抜き差しが面倒くさいからでもあります。
まち針で止めると、ミシンで縫う時にまち針の手前で一時停止してまち針を抜くという作業が発生します。そのまま縫うとミシン針が折れます。
まち針を抜くのも面倒くさいし、ミシン針が折れたら折れたで破片を探さなければいけません。
なので、絶対にズレてはいけない場所以外はまち針を使わずに縫います。
ベテランはそこもミシンで仮止めしちゃいますけどね(笑)
お直しに出すときは洗濯バサミやクリップでお願いしたい…
洋服のお直しに出される際、お客様が自分で採寸して持ってきてくださることも多いです。大変助かります。
しかし、まち針で止まってるのを見ると内心では「やめてくれ…」と思っています。
前述したとおり、店内や加工場では使える針の種類や本数が決まっております。
店内に他の針を持ち込むことは絶対NGのため、受付の時に洋服からまち針をすべて外してお客様にお返ししなければなりません。
「処分して」と言われる方もいらっしゃいますが、そもそも店内に針を持ち込めないのでお返しするしかないのです。
お直しに出される際は、できれば洗濯バサミやクリップで止めてきていただけると大変助かります。
今回は縫製業の針事情について書きました。
お付き合いいただきありがとうございましたm(_ _)m