洋服お直し小話④裾上げテープで裾上げすると失敗しがちな理由
ミシンを持ってない方、お裁縫が苦手な方には便利な裾あげテープ。
しかし、「裾あげテープで裾あげして失敗した…」とお直し店に持ってこられるお客様もいらっしゃいます。
今回は、裾あげテープで裾あげすると失敗しやすい理由とそれを防ぐ方法をお伝えします。
よくある失敗集
シワが寄る
表にシワが寄るのは、「テープを貼るところの表と裏の幅が合ってないから」です。
パンツは、一般的には裾に向かって細くなっています。なので出来上がり寸で折りあげたとき、表側と裏側(縫い代側)の幅が合いません。大抵裏側の方が狭いです。
この幅を合わせないままテープで止めてしまうと、表にシワが寄ってしまいます。(縫って上げるときもですが…)
これは表と裏側の幅をあわせて裾あげすることで解消します。
裏に折り込む方の脇線を少しほどいて縫い直し、表側の幅に合わせます。ミシンで縫う方が丈夫ですが、ないなら手縫いで細かめに縫ってもOKです。
糊が表に出てきた、すぐ剥がれる
裾あげテープの糊と生地には相性があります。
付きにくい生地、付きすぎてしまう生地とあります。
薄地(ジョーゼットとかシフォン系)は糊が表に出てきやすいです。
ケバケバしてる生地は付きにくいです。
また、すぐとれるから、とアイロンでギュウギュウに押さえてしまうとテカリやアタリの原因となります。
素材によってはアイロンで溶けることもあります。
アイロンで溶かしちゃったんだけど元に戻せますか?と持ってこられるお客様が時々いらっしゃいます。残念ながら、溶けた部分は元通りにはなりません…
カットなしの裾上げは難易度高め
カットなしで裾あげしないといけない場合にも裾上げテープを使われることが多いです。
カットなしの裾上げって、縫って裾上げするときもテープでするときも難しいんです。
カットなしの場合、裏に折り返す部分が5~6センチぐらいならどうにかなりますが、10センチも20センチもあげるとなると難しいです。
理由は裾幅調整をする範囲が広くなるからです。
あまり分が多くなればなるほど、テープで止める(縫う)ところの表側の生地と裏側の生地の幅の差が大きくなります。
こうなると脇の縫い目を少し解いたぐらいじゃ幅は合いません。表側の幅で調整する必要が出てきます。結局ミシンが必要になるんですよね…
できればカットして裾上げされた方がキレイな仕上がりになりますよ。
余談:裾あげテープを取るのは面倒くさい
勤務先で、「裾上げテープでしたけど、やっぱり縫って裾上げし直してほしい」というご依頼が時々あります。
この場合、まずは裾上げテープを取らないといけないのですが、実はこれが大変なのです(;_;)
取り方は、貼り付けてある裾あげテープにアイロンのスチームを当てて、糊を溶かして少しずつ剥がしていきます。
これが時間かかるんですよ(泣)スチームでやけどしそうになるし、生地を痛めないようにゆっくり丁寧に剥がさないといけないので。
正直言って、丁寧に剥がしても糊は残ってしまいます。その上をミシンで縫うと、糊で針をダメにしてしまいます。なので裾上げテープで上げてるのを縫い直すのを嫌がる職人さんは多いです。
個人的には、縫ってある糸をほどくのより、裾あげテープを剥がす方が嫌いです(笑)
ほどき料金を通常の倍もらいたい位イヤですね…
ちなみに、手芸用ボンド(裁◯◯手)は一度くっつけると剥がせません。バリバリに固まってしまうので、上からミシンで縫うこともできなくなります。針が折れます。
まとめ:裾あげテープで裾あげするときの注意点
個人的には裾上げテープはデメリットが多いので、あまりオススメしません。
※裾上げテープは自分で自宅のアイロンを使って作業するものなので、お直し屋に裾上げテープで裾上げしてと依頼しても断わられると思います。私の勤務先でも断ってます。
しかしミシンがない方やお裁縫が苦手な方には便利グッズなので、失敗しないためのポイントをまとめました。
テープを貼る場所(縫い代を折り上げたところの表と裏)の幅を合わせる
素材にあった裾上げテープを使う(薄地用、厚地用を使い分ける・テープの色を生地に合わせる)
アイロンでギュウギュウに押さえつけない
絶対に失敗しない保証はできませんが、これらのポイントを押さえて上手に使ってください。