動物愛護管理センター見学記(2022.3)
福岡市東部動物愛護管理センター、通称あにまるぽーと。福岡市東区蒲田の、小高い丘の上にあります。ここは毎月第2・4水曜の夕方とイベント時に施設見学ができます。
今回私は、「わんにゃん桜学校」というイベントに参加して見学してきました。
わんにゃん桜学校
わんにゃん桜学校とは、毎年春に行われている啓発イベント。
犬猫の飼い方相談会やトリミング教室、保護団体の譲渡会などが行われていました。
ピュリナの「ネコのバス」も来てました。
庁舎の前には広場があり、ここでワンちゃんを遊ばせることもできます(ノーリードは不可)。
ワンちゃんと一緒に来られた方も多かったです。
施設見学ツアー
センターの職員さんの引率で、庁舎内を回ります。
庁舎内は写真NGではなかったのですが、なんか撮ってはいけない気がして撮ってません。
なので、写真なしです。ご勘弁ください。
まず、玄関でセンターの業務内容について説明を受けます。
・犬猫の引き取り、譲渡、処分
・飼い方相談
・負傷動物の収容、治療
・地域猫活動の支援(不妊手術)
・狂犬病予防注射と犬の登録業務 etc…
福岡市には姪の浜にも動物愛護管理センターがあります。そこには犬猫の収容施設がないので、引き取った犬猫はすべてあにまるぽーとに移送されるそうです。
犬舎に移動して、検査室や手術室の見学をしました。
引き取られた犬猫はまず検査室に入れられ、感染症の検査や性格などのチェックをするそうです。
ここで病気や性格面で問題がなければ、不妊手術&マイクロチップの挿入後に後犬舎(猫舎)に移され、新しい飼い主さんを待つそうです。
病気や感染症持ちの子は一般の方への譲渡が決まりにくいので、愛護団体さんへ声をかけるそうです。
それでも引き取り先が決まらない子は、再度譲渡判定会議が行われ、譲渡に向けて世話を続けるか殺処分するか決めるそうです。
使わないのに電源が入っている殺処分機
殺処分機も見せてもらいました。
犬舎の奥に幅1mほどの廊下があり、犬舎の壁が動いて犬たちを廊下に押しやります。
その廊下の端にポッカリと空いた穴と蓋があり、廊下の反対側には可動式の扉があります。
この扉で犬たちを穴へと押しやり、犬たちがすべて穴に落ちると蓋が閉まり、ガスが流れ始めます。
そう、この穴こそが殺処分機。
現在この処分機は使われていないそうです。
(福岡市の動物愛護管理センターでは、獣医さんが麻酔薬を注射して安楽殺しています。ただし子猫は血管が細くて注射できないので、簡易処分機でガスを使います。)
ですが、毎日電源を入れ、定期的にメンテナンスもしているそうです。
なぜかというと、狂犬病が発生した時に備えるためとのことです。
現在の日本は狂犬病清浄国です。が、世界的にはまだまだ狂犬病が猛威を振るっています。外国から来た人や動物たちがウイルスを持ってくるかもしれません。今は日本国内での発症がないだけで、いつ狂犬病が発生してもおかしくない状況なのです。
狂犬病は治療法がなく、100%死に至ります。しかも狂犬病の犬に噛まれると人間も感染し、100%死にます。暴れ狂い、しかも噛まれると人間も命の危険がある犬に注射を打つのはほぼ不可能なので、ガスでの殺処分となるそうです。そのため、殺処分機は撤去できないそうです。
犬の登録と狂犬病予防注射は飼い主の義務
飼い犬は住んでいる市町村に登録の届を出して鑑札をもらい、年に一度の狂犬病予防注射をしましょう!鑑札と注射済票は首輪に付けましょう!!
うちは小型犬だし外に出さないから、と狂犬病の予防注射をしていない&鑑札をつけていない飼い主さんが増えているそうです。犬種や外に出す出さないは関係ありません。愛犬と自分を守るために、登録と予防注射を受けましょう。
正当な理由のない殺処分はしない
昔はセンターに持ち込まれた犬猫はすべて引き取らないとダメで、センターに収容されて4日目には全頭殺処分しないといけなかったそうです。
現在の収容期間は1週間(福岡市の場合)ですが、収容期限が過ぎてもすぐには殺処分していないそうです。里親さんが決まるまでセンターでお世話をするか、愛護団体さんに預かりをお願いし、正当な理由のない殺処分は行わない方針とのことです。
引き取りの理由は「飼い主の死」
犬舎(猫舎)に収容されていた犬猫がセンターにやってきた理由を聞きました。
そのほとんどが「飼い主の死亡や病気で世話をする人がいなくなったから」だそうです。
一人暮らしの高齢飼い主さんが認知症になり、飼っている犬に手を挙げるようになったため家族がセンターに相談して引き取った例。
飼い主が亡くなり、その方に身内がいないため後見人センターから相談されて引き取った例。
現在はセンターに引き取りの相談があっても、その場ですぐには引き取らないそうです。まずは飼い主さんの責任で新しい飼い主さんを探して下さい、と説明し依頼者さんと何度か話し合うそうです。
話し合いの結果、いろいろ策は尽くしたけれど、どうしても飼えない正当な理由があるとセンターが認めた場合のみ引き取ります。
でも、事前にきちんと対策をしていれば、この子たちはセンターに来なくて済んだはず。これからの時代はやはり、飼い始める時に次の飼い主さんの確保もセットで考えないといけないのではないでしょうか?
万が一の際は動物愛護管理センターや愛護団体がどうにかしてくれると思わず、飼い主さんが責任を持って備えておく。
この事をもっと知ってもらうにはどうしたらいいのだろう?
センターの敷地の一角にある慰霊碑に手を合わせながら、そう思いました。
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