飼い主さんがいなくなった犬猫はどこへ行く?
もし自分が倒れたり、引っ越さないといけなくなったけどペットOKの物件が見つからないなどで一緒に暮らせなくなったときに愛犬愛猫を任せられる人がいなかったら…
その子はどこへ行ってしまうのか想像したことはありますか?
保護団体?猫カフェ?外に放たれる?保健所?放置?
保護団体や猫カフェでは引受条件を設けている
飼えなくなったときの引取先として、保護団体さんや猫カフェさんが真っ先に頭に浮かぶ方も多いと思います。
実際、保護団体さんや猫カフェさんへの引取要請は多いです。
しかし、無条件での引受をしているところは皆無です。引受に際し、所定の手続きや引受費用を求めるところがほとんどです。
保護するにもお金と人手の問題があります。自分たちでお世話をできる範囲を超えて引き受けると、多頭飼育崩壊を起こします。保護団体さんや猫カフェさんでそれが起きてしまうと、そこにいる猫たちが露頭に迷います。最悪の場合は保健所に収容されて命を絶たれてしまうことになりかねません。
「保護猫だから引き取ってもらえて当然」
「保護猫なのに金取るの!?」
「引き取らないなら保健所に連れていく」
などと言われることは多いそうです。
自分が飼えないから人にお世話を頼もうとしているのに、自分は身を切らないのは違うのではないでしょうか?
保護団体さんや猫カフェの敷地内さんに猫を置き去りにする例も多々あります。
これは当然ながら、動物遺棄という犯罪であり、そして「保護活動してるから見捨てないだろう」という身勝手極まりない行為です。
置き去り犬猫
飼い主さんがいなくなった後、家に置き去りにされる犬猫もいます。
親族の方が通ってお世話をしてくれている場合もあれば、完全に放置されている場合もあります。
完全に放置されている場合は、糞尿のニオイなどでご近所トラブルに発展することもあります。
行政や保護団体がレスキューに入るには、家主の許可が必要です。勝手に入ると建造物侵入罪になるのです。なので、犬猫を助ける前に家主さんとの交渉をしなければなりません。
親族関係が複雑だったり相続の関係で家主さんがわからない場合も多く、許可を得てやっと家の中に立ち入ることができた時には時すでに遅しということもあるそうです。
外に放たれる
「野良猫がいるんだから外でも生きていけるでしょ」と外に放たれる猫もいます。
確かに野良猫は外で生きています。しかし、野良猫は野良猫の世界があり、エサ場やテリトリーをめぐっての争いが絶えません。そこに人間からエサをもらっていた飼い猫が入り込む余地はなく、生きていくには過酷な世界です。
そして、世の中の人間すべてが猫好きとは限りません。中には毒餌をまいたり虐待する人もいるのが現状です。病気や怪我をしていても放置されるでしょう。車に轢かれて亡くなることもあります。
ちなみに犬は一匹で町中をうろついていたらすぐに保健所に収容されます。狂犬病予防法にて、飼い主がわからなかったり予防注射済みか不明の犬は保健所での抑留が認められているためです。
保健所・動物愛護管理センターの引取
どうしても新しい飼い主さんが見つからない場合は保健所や動物愛護管理センターに行くことになるでしょう。
動物愛護管理センターは、原則として犬猫の引取を求められたら引取を拒否できません。しかし、法改正により終生飼育の原則に反する安易な理由や周辺環境に影響を及ばさない理由での引取を拒否できるようになりました。
よって、単に飼えないという理由では引取拒否され自分で新しい飼い主さんを探すように言われます。(新しい飼い主さんを探すのは今の飼い主さんの責任と動物愛護法に明記してあります。)
センターに引き取られた犬猫のその後ですが、福岡市の場合は病気や怪我がひどくて治療の見込みがない子を除いて里親さんを募集したり、民間の保護団体さんに引き出してもらったりして理由なき殺処分はしないようにしているそうです。収容期間を過ぎたからという理由での処分はないとのことです。(見学に行った際にお伺いしました)
ここらへんは各センターによってかなり異なるようで、一定の収容期間が過ぎた子は処分となるところもまだまだ多いです。
愛犬愛猫が露頭に迷うかどうかは飼い主さんの備え次第
飼い主さんを失ったペットたちの行く末はあまり明るいものではありません。
しかし、飼い主さんが事前に備えておくことで最悪の事態に陥るのを防ぐ事ができます。
親族や親しい友人と約束しておいたり、保護団体や猫カフェの引受制度の会員になったりと方法はいくつかあります。
私も委託販売先の猫カフェ、CafeGattoさんの引受制度の会員になっています。
月々の会費はかかりますが、その会費が猫カフェの運営費となりカフェで暮らす子達の生活を支えます。そして、万が一私に何かあったときには猫はgattoさんへ生活の場を移すことができます。
gattoさんは元々、飼い主さんが飼い続けられなくなったときの引受先としてできた猫カフェです。
飼い主さんの死去や施設入所、病気などで離れ離れになった子や元野良猫だった子たち総勢約150匹が暮らしています。
gattoさんに限らず、引受制度を設ける保護団体さんや猫カフェさんが増えてきました。引受条件や引受費用は各々異なります。お家の近くにそういったところがないか探してみてください。(あまりに遠いところだと猫に移動のストレスがかかるので…)
犬の場合は、私が調べた限りだと保護団体さんや施設とペット信託契約を結ぶ場合が多いようです。対応しているところも限られている感じでした。これから増えてくるとは思いますが…
まとめ
人との暮らしを経験したペットは、人のお世話がないと生きていけません。
ペットを人間の暮らしに引き入れたのは私たち人間。そしてその暮らしから引き離すのも私たち人間。その時は年齢にかかわらずやってきます。
愛犬愛猫が冷たい檻の中や路上で命が尽きることがないよう、準備してくださる方が増えることを願っています。