遺言書を書いて法務局に預けるその①遺言書の種類選び
私は遺言書を法務局に預けています。
行政書士試験の勉強中に保管制度のことを知り、試験合格後に遺言書を預けに行きました。
法務局での保管制度を利用するということ=自筆証書遺言です。公正証書での作成も考えましたが、費用と手間がかかること、まだ30代なので遺言書を作り直すかもしれないことを考えて今回は見送りました。
遺言書の種類
まずは遺言書の種類についてです。
遺言書は、民法で定められた形式を満たしていないと法的効果が認められません。つまり「無効」となり、単なる紙切れになってしまいます。
民法で定められた形式は7通りありますが、一般的によく使われるのは自筆証書遺言と公正証書遺言の二つ。秘密証書遺言はほぼ使われておらず、残りの4つは緊急時(危篤状態や遭難時など)のための方式です。
自筆証書遺言
自筆証書遺言は、全文を自筆で書いて署名・押印します。ワープロやパソコンで作成したものは無効となります。
何故かというと、ワープロやパソコンで打ち込んだ文章は誰が作ったかの証明ができないからです。筆跡で誰が書いたかの判別ができるように手書きが条件になっています。
ペンと紙があればどこでも書けるし、費用も安いのが自筆遺言証書の良いところです。しかし、訂正方法が間違っていたり、記載しないといけない事項が書かれていなかったりして遺言書が無効になるケースも多いそうです。書き間違ったら訂正せずに最初から書き直した方がいいそうです。
自筆証書遺言は検認が必要
自筆証書遺言は相続が始まったら家庭裁判所に遺言書を提出して、検認を受ける必要があります。
「検認」とは簡単に言うと、遺言書の証拠保全の手続きです。
検認は形式上の不備がないかの確認なので、遺言の内容が法的に有効か無効化の確認はしません。検認が通っても、遺言の内容が法に触れていて無効になるケースもあるようです。
検認を済ませた遺言書でないと、不動産の名義変更や銀行の払い戻しなどの手続きができません。
検認の手続きは戸籍謄本を集めたり、指定された期日に裁判所に出向かないといけなかったりと大変なようです。
自筆証書遺言でも、法務局の保管制度を使えば検認が不要となります。預かり時に法務局の遺言書保管官の方のチェックが入り、審査が通らないと保管されません。法務局の厳重なセキュリティのもと、原本とデータ化された遺言が保管されますので、改ざんや紛失のおそれがないからです。
法務局に出向く手間と手数料が3900円かかりますが、相続開始後の家族の手間を考えると使うべき制度だと思います。
※法務局では、裁判所と同じく遺言書の内容が法的に有効かどうかまでは見ません。遺言書の書き方の相談にも応じていませんのでご注意ください。
公正証書遺言
公正役場という、法律文書を作るための役所に出向いて作る遺言書です。
公正証書遺言の場合、遺言書は「公証人」という法律文書作成のプロに作ってもらいます。公証人は元裁判官・元検察官といった方々なので、形式的にも内容的にも法的要件を満たした遺言書を作ることができます。なので検認不要となります。
さらに、遺言作成時には証人2人が立ち会い、署名します。この署名により公的信用力がつきます。
この検認不要&公的信用力により、公正証書遺言だと相続手続きがスムーズに進むそうです。
これらの理由で、弁護士さんや司法書士さん、行政書士さん等に遺言書の相談をするとほぼほぼ公正証書遺言での作成をお勧めされます。
公正証書遺言は、公証人との打ち合わせや遺言作成で何度か公正役場に出向く必要があるのと、費用が少し高い(遺言書の内容によるが2万〜)のがネックになります。さらに遺言を変更・撤回するにも公正証書でしないといけないため、そこでまた手数料がかります。「確実で安心」をお金で買ってると思えばいいのでしょうが…
自筆証書遺言を作る際に注意すること
上にも書いた通り、自筆証書遺言は紙とペンがあればどこでもいつでも作れます。
民法の規定を満たしていなかったり、遺言の内容が法に触れたり遺された家族間の争いを招かないよう、まずは遺言書に関する本を一冊読むことをおすすめします。または、専門家に一度お尋ねしてみましょう。
保管制度が始まってから、各地の弁護士会・司法書士会・行政書士会などで遺言書の相談会が開催されています。お近くで開催されていないか調べてみてください。
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