見えなくてもどうにか時間をつぶしたい
会社に送れないよう、かなり早い時間に病院の予約を取った。
そうしたら1番に呼ばれて診察はとっとと終わってしまった。
これは薬局に寄ったとしても会社の時間まで1時間以上ある。
どうしたものか。
見えている人ならそこら辺でお茶していればと言うことになるけれど、見えないとど
こに何のお店があるか全くわからない。
会社のビルにもレストラン街はあるけれど、アレルギーもあるのでやたらな店には入
れない。しかもどこに何のお店があるかもわからない。その上忙しそうなビジネスマ
ンに邪魔にされるのも切ない。
できれば病院の最寄りでどこかお茶でも飲めるところがあればいいのだけれど、いつ
も病院にしか行かないので周りに何があるのかさっぱりわからない。
そこで思いついた。以前友達が進めてくれたあいなびというアプリを試してみよう。
ずいぶん前にインストールはしたものの、今やスマホの中のどこにあるかすらわから
ない。
画面が見えないので、一つ一つ右スワイプで探していく。これだけでもう5分くらい
ロストした。
siriに「○○出して」と頼むという方法もあるけれどいかんせん、ずっと使っていな
いアプリの名前を思い出せなかった。それにこの方法はいつも成功するとは限らない
。「○○についてウェブでこちらが見つかりました」と言われると更に時間をロスす
る。
「こういう時のために家の近くで練習しておけよ」という友達の叱責する声が聞こえ
たような気がした。
所で、私はどこになにがあるのかわからなくなってしまうので、スマホにはあまりア
プリを入れていない。アプリを編集してカテゴリー別にフォルダーを作っておけばい
いのだが、目的のアプリにたどり着くのとカードを出すのとどちらが速いか考えた時
に、私はカードを出す方が早いのではないかと思った。
失敗して立ち上げ直すなんてことをしていたらさらに時間がかかる。
ポイントカードもスマホに入れておけば余計なものを持ち歩かずに済むというのが一
般的だが、上記の理由で私はカード入れにいろいろなカードを入れて持ち歩いている
。
話は戻って道案内アプリ、とりあえず目的地に行くモードとお散歩モードと言うのが
あったので、近くの店を探すのだから、お散歩モードでいいのではないかと思い、そ
ちらを選択した。
とにかく使ったことがないのでよくわからない。
「近くの施設」というのがあったので、そこをタップすると、どうやらファミリーマ
ートとドトールコーヒーとタリーズがあるらしい。そしてそれぞれについて「何メー
トル先何時の方向」という指示があった。
とりあえずタリーズを探すことにした。
以前スイーツ女子の友人が、タリーズには卵と乳製品を使っていないデーツのブラウ
ニーがあると教えてくれたからだ。
ちなみに家の近くのタリーズにはなかった。
もしかしたらデーツのブラウニーにも出会えるかもしれない。
とりあえずアプリが教えてくれている方向に歩いて行った。
しかし言われたところには喫茶店らしき気配は見当たらない。仕方ないので行ったり
来たりしていたら声をかけてくれたおじいさんがいた。タリーズの場所を聞くと私は
どうやら全く見当違いの所を歩いていたようだ。
タリーズは私が進んでいる方向の真逆の駅の方にあると言われた。
駅の近くまで行って道を歩いていた人に聞くとなんとタリーズは駅の隣だった!!
今まで病院には10年位通っていたのに、駅の隣にタリーズがあったことを今の今まで
知らなかったのである。盲人あるあるだ。
聞いてみたら何とそこにデーツのブラウニーも売っていた。
あまり混んでもおらず、店員さんたちも皆親切で、席までの誘導はもちろんトイレの
誘導もしてくれた。ありがとう!!
私はブラウニーとコーヒーで1時間くらい朗読図書を聞いて時間をつぶすことができ
た。
スマホがなかったらどうしていただろうか。
きっと薬局の人に「この辺でお茶を飲めるところはありますか」と聞いてお店を探し
に行ったに違いない。
以前間違えて、1時間前に待ち合わせ場所に行ってしまったことがある。駅ビルをう
ろつくこともできなければ、椅子を見つけることもできない。その時は結構大きい駅
だったので駅員さんに聞いてどうにかスタバに行ったけれど、週末という事もあり混
んでいたのでかなり待つことになった。そうこうしているうちにお茶を飲んでいるほ
どの時間は無くなり、店を出た。
見えないと時間をつぶすのにもかなりのエネルギーを消費することをその時に実感し
た。
いずれにしろ不自由な事には変わりないけれど、スマホが少しでも負担を軽減してく
れるのはありがたい。
アイナビアプリ、今後はもうちょっと活躍させてやろうと思い、スマホの手で触れや
すいところに引っ越しをさせた。
とは言え、知らない所に一人で行く事はあまりないのでいまだに活躍の場がないのが
残念なところ。
練習もかねて知っているところに行くときにも使ってみようかな。