見えなくても映画「ブラインド・マッサージ」が見たい
中国の小説で「ブラインド・マッサージ」という作品がある。
作者は盲学校に勤めていたことがある作家で、タイトル通り、目の見えないマッサー
ジ師たちの群像劇である。
ブラインド・マッサージ - 白水社
https://www.hakusuisha.co.jp/book/b239500.html
障碍者を扱った作品はどうしても感動ポルノに陥りがちだけど、これは実にリアルで
面白かった。
視覚障碍者の中に入ったことがある人だからこそ書けた作品だと思いました。
映画化もされたから、きっとどこかで音声ガイド付きで見られるだろうと当然のよう
に思っていたら、視覚障碍者関係のどこの団体からもスルーされ、しかも吹き替えさ
えなかったので、私は未だに見られていません(涙)
15禁か何かで、聞くところによると結構グロいシーンもあるとか。
原作はよくても映画はいまいちというケースもあるし何とも言えないが、視覚障碍者
や盲導犬が出てくる映画は軒並み取り上げられている中、この映画だけ見事にスルー
というのはいかがなものか。
とにかく小説は面白かった。
視覚障碍者の世界は閉じた生態系なので、小さいころから一緒だった者同士が一緒に
マッサージ院を経営したり、狭い人間関係の中で男女がくっついたり離れたり。
見える人との微妙な関係とか家族との確執とか、あるあるのオンパレードでした。
その中で一人一人が喜んだり悲しんだり恋愛に苦悩したり嫉妬したり。
国籍も障害も関係なく、そこにはどこにでもある人間模様が繰り広げられている。
特殊な社会の中にあっても、普遍的な部分で多くの人が共感できたり考えさせられた
りできる部分が多いから、国内外で評価されたり、賞を取ったり映画化もされたのだ
と思う。
中国の作品なので、一人っ子政策の中の障碍者の立ち位置なんかも描かれていて、そ
こも興味深かったです。
この小説面白かったのに周りの視覚障碍者でもあまり読んだという話は聞かないし、
話題にも上りませんでした。
映画も需要は私だけなのだろうか。
訴えどころがないのでここに書いてみました(獏)
追記
その後、この小説を読んだ視覚障害者の友人を発見。
彼もやはり全く飾らない、リアルな
描写に共感したと言っていました。
映画もできるならぜひ鑑賞したいと言っていました。
いやー、私だけじゃなかったんだ!
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