見えなくてもできちゃった婚

視覚障害者の友人がテレビに出るというので早速録画した。

障害者がよく出演しているバリバラというEテレの番組で、彼女は全盲麻雀プレイヤ
ーとして出演していた。

彼女は視覚障害者仲間と健康麻雀クラブをやっている人で、今回は小学生や芸人さん
と麻雀を打つという企画だった。
ちなみに麻雀は盲パイではない。パイに点字を貼っている。

私も以前麻雀に誘ってもらった事があるけれど、見えていた頃からオセロも将棋も勝
った試しがない。目が見えるとか見えない以前に適性が皆無なので丁重にお断りした
。


そしてその彼女、おしゃべりもとても楽しい人で、テレビの中でもサービス精神マッ
クスで大いに喋っていた。

以前はYouTubeもやっていたのだけれど、くそ真面目で面白みのない視覚障害者チャ
ンネルが多い中、彼女のチャンネルはばかばかしさでは群を抜いていたのに諸事情で
やめてしまったのが残念。
ここでも「見えない」壁が立ちはだかっていた。


テレビの中で彼女が話していたのは、自分は目が見えないから結婚もできなければ子
供も持てると思っていなかったという事。

そして激白!!テレビ、しかもEテレで、当時付き合っていた旦那さんに「今日は安全
日だから大丈夫」と嘘をついて妊娠したと日本全国に暴露。
本当なのかネタなのか?

芸人さんはびっくり、小学生はポカーンとしていた。それ以前にNHK、よくあそこを
編集しなかった!!

そんな彼女は今、成人した娘3人と、さらに孫も5人くらいいる。


見えなくなって驚いたのは、視覚障害者、思いのほかできちゃった婚が多いこと
私が厳しい女子校出身で、不純異性交遊は粛清対象だったから特にそう感じたのだろ
うか?


はじめは知識がないのか準備ができないのかと思っていた。
実際、鍼灸科の3年生で妊娠して中退した人とかの話を聞いた事がある。
免許を取る気があるのか?!ちゃんと明るく家庭計画しろよと当時の私は心の中で突っ
込みを入れていた。


今でこそネットショッピングがあるけれど、私が盲学校に行っていた平成初期は見え
ない人が避妊具を入手するのは大変だっただろう。


寮にいた高校生の女子が体を壊して一時期実家に帰ったと聞いた。しかし秘密にして
いてもうわさは3秒で駆け巡る。どうやら妊娠したから堕胎するために実家に帰った
らしい。

それから何十年もたってから、視覚障害者仲間と話していた時、たまたま彼女の話に
なった。
私はもう時効だと思い、妊娠の話をした。そうしたら彼女は何と中学生の時にも盲学
校の近くの病院で堕胎していたという新たな情報を得てしまった。
私は面白噂話を投下したつもりが更に上を行かれてしまった!!
恐るべし、閉じた生態系盲人ネットワーク!!

そんな話も聞いていたので、視覚障害者はバースコントロールにも壁があるのかと思
っていた。


しかし視覚障害女性の中には更に斜め上を行く人たちがいた。

自分たちは障害者で健常者以上に結婚のハードルが高い。
日常生活動作ができようが、収入があろうが、目が見えないという事で相手側の家族
からまず拒否られる可能性が高い。

私も以前全盲男性と付き合っていた時に、彼のお母さんに特に嫌われていたわけでは
なかったけれど、息子には見えない女性より看護師かヘルパーか、面倒見のいい健常
者の女性と結婚して欲しかったようである。当然の親心だ。

後で聞いた話では彼の母親が私の女友達に看護師の知り合いとかいないかと話してい
たそうだ。


テレビに出ていた彼女もご主人のご両親には結婚を反対されていたとか。


そこで女性が考えたのが既成事実を作ること。
子供ができてしまえば、まさか堕ろせとまでは言われないだろう。
結果、結婚も子供も一挙に実現だ。


私は彼女らと真逆だった。
見えなくなって唯一よかったのが、これでもう結婚とか出産とか誰からも言われなく
て済む事だった。

白い杖も、持って外に出られるようになるまでに、かなり精神的なハードルがある人
が多いと聞く。けれど私は目的地に早く安全にたどり着くために杖はなんと便利なの
だろうと思い、さっさと導入した。皆人の目を気にしているのかもしれないけれど、
田舎ならともかく、都会では私にそこまで興味がある人なんていない。


一方では知識もへったくれもない視覚障害者の話も聞いたことがある。

弱視女性と全盲男性のカップル、避妊具を手に入れられなかったからサランラップで
代用しようとしたと言う話。
ギャグではない。どうやらマジらしい。

全盲男子でブラジャーを触ったことがないという人がいたらしく、私の盲学校の後輩
が自分のを触らせてあげたと言っていた。


私は成人してから盲学校に行ったけれど、盲学校の中高の性教育ってどうなっている
んだろう。