見えなくても振り替え輸送
少し前、会社に行く電車にまともに乗れたことがなかった時期があった。今日は乗れ
たと思ったら帰りのJRの駅でいつもよりたくさんの人がざわざわしていた。また人身
事故?
東京の真ん中を通る中央線は私のみならず利用者が多い。それなのにまだホームドア
が付いていない。
小田急線を利用している友人が言うには、まだホームドアの設置が不十分な小田急線
や京王線、中央線に飛び込み自殺が集中しているらしいとか。知らんけど。
それにしても最近の頻度の多さには驚きを隠せない。沿線のどこかに戸張を下ろして
大規模な呪術廻戦でも行われているのだろうかとも勘ぐってしまう。
人身事故のみならず、何が起こるかわからないので私は会社の始業30分前くらいまで
には最寄り駅に着くように家を出ている。けれどもそんなわけでその時は遅刻する事
は無かったものの、到着するのは始業10分前くらいになっていた。
見えないと慣れない駅での乗り換えは大変。
だから急行から各駅の乗り換えも、慣れている駅や同じホームの向かいならいいけれ
ど、各駅しか止まらない駅には各駅電車で行くことが多い。
しかし、人身事故などでダイヤが乱れると、時間を節約するためにホームを渡って快
速に乗らなければならない。
それだけならまだいいが、他の線での振替輸送となるともうお手上げである。なじみ
のない駅だとどんな電車が走っているかもわからなければ駅内の構造もわからない。
ましてや新宿、渋谷、池袋など大きな駅はアクシデントが起こると、ラッシュ時並み
に人が多くなる。駅員さんも忙しいから誘導をお願いするわけにもいかない。
これは私たち障害者だけではなく、外国人や高齢者など助けが必要な人たちには大き
な問題。
それでなくても最近は駅員さんの数も少なく、無人改札なども増えているので平常時
でさえニッチモサッチも行かない事がある。
以前あまりなじみのない駅で電車が止まってしまい、振替輸送になった。駅員さんも
忙しそうだしラッシュ時並に混んでいた。これはどうしたものかと呆然と立ちすくん
でいたところ、近くにいた女の人が誘導してくれてとりあえず事なきを得た。
その時はたまたまラッキーだったけれどいつもいつも誰かが助けてくれるとは限らな
い。
しかしこれは振り替え輸送ができる都会ならではの贅沢な悩みとも言える。
1種類の電車しか走っていない地域では、その電車が止まってしまったらバスかタク
シーでの移動ということになるだろう。
しかも電車なら振替輸送ということで費用は免除になるけれど、タクシーやバスでそ
んな事はできないはずだ。
ところでたまに「線路に人が入っている」という放送が流れることがあるが、これは
一体具体的にどういう状況なのかというのがいつも不思議である。
残念なことだけれど、世をはかなんでしまう人はいつの時代にもいる。そして意図せ
ず線路に落ちてしまう視覚障害者も今だに後を絶たない。
友人の中にも線路に落ちた経験がある人が意外と多いのには驚かされた。
見えないとホームドアがあるかどうかもわからない。あると思って勢いよく歩いてい
たらホームのへりに何もなくて焦ったりしたこともあった。
「ちゃんと確かめろ」としかられそうだけれど、思い込みや勘違いは誰にでもある。
ふつうは目で確認してわかるけれど、それができないと思い込んだままに試練の道を
突き進んでしまう。
事故が起これば人命を失うばかりでなく事後処理にお金もかかり駅員さんにも余計な
負担をかける。さらに電車に乗っている多くの人たちが被るデメリットの膨大さタル
ヤ考えるまでもないだろう。
そんなこんなで大変だとは思うけれどこれは命の問題。一日でも早くホームドアの設
置をお願いしたいものだ。