見えなくても文字変換
私のような中途視覚障碍者が点字に苦労する一方、小さいころから点字で教育を受け
てきた「点字の神様」たちは今、漢字に苦労している。
今や視覚障碍者の世界も、パソコンができなければ就職できないと言われるほど、PC
スマホが主流である。
だから漢字なんて見た事もない先天盲の人も漢字かな交じりで文章を書かなければな
らない。
晴眼者は小中高と漢字ドリルや漢字テストに追い回された結果、今の漢字力を習得し
ているのである。
もう書けなくなってしまった字も多いけど、いくつか候補があれば、そのなかからそ
れらしい字を選ぶことはできる。
このプロセスも経ず、形のイメージもわからない状態で正しく漢字変換をしながら文
章を書くというのは、中途障碍者が点字を習得するのと甲乙つけがたい困難さであろ
う。
最近の音声ソフトは賢いのでかなり正確に変換してくれているけれど、細かい所を突
っ込まれると混乱してしまうようだ。
以前、盲学校の友達に「正義の味方」の「み」が「あじ」って言うじになっててびっ
くりしたと言われたことがある。
そんな事考えた事なかったけど、確かにここに「味」という字が使われるのは不思議
。
「身体」とか「見方」って書いてしまうと別の意味になってしまうけど、おいしかっ
たりまずかったりは関係ないよな。
「こうせい」というのもいろいろな字があるので、どれが正しいかわからなくなると
言っていた人もいる。
私のような中途障碍者もPCで文章を書く時、文字変換を音声で聞きつつも、一定の速
さで書いているので、一文字ずつ漢字変換を確認しているわけではない。
だからこうやって今書いている時も誤字脱字に気づかなかったりする。
ただの盛大な言い訳になってしまった(汗)
日本語の漢字かな交じり文は読む方もやばいのである。
最新の音声ブラウザは修正されたけど、前はビタミン豊富を「ビタミンとよとみ」と
読んだり「オール読物」を「オールどくぶつ」と読んだりした。
日本酒の「獺祭」は今でも「かわうそまつり」と読む。
なんかかわいいんだけど(笑)
特に固有名詞は難しい。
友達は作家の「百田尚樹」をずっと「ももたなおき」だと思っていた。
音声ソフトがそう読むからである。
中途障害の私も最近の言葉は音声からしか入ってこないので、「しばらくの間「コロ
ナ禍」は、アンダーコロナだと思っていた。
それにしても、ここまで複雑怪奇な日本語の漢字かな交じり文を音声だけで文章を書
けるレベルにまで改良してくれた技術者の方々には感謝感謝である。
OCRも始め英語とドイツ語しかなかった。
聞いたところ、やはり漢字かな交じり文は複雑すぎて読み取れないとの事だった。
日本語バージョンができた時も、始めは似たような形の違った漢字として読み取られ
ていた字も多く、意味不明の文章が読み上げられたりしていた。
今、スマホ用のOCRアプリがいくつかあるけれど、豆腐の賞味期限もワインのラベル
もかなりちゃんと読んでくれている。
とにかく技術の日進月歩に助けられている今日この頃です。
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