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海について

生まれた頃からずっと海がある街で暮らしていた。

家族でお弁当を持って泳ぎに行ったり、友達や恋人と行ったり。

高校時代は夏課外の後、よく海に行った。スカートをたくし上げて遊ぶのに夢中になっていたら、自転車のカゴに置いていた友達の財布が盗まれてしまったこともあった。コンビニで袋のかき氷を買って海で食べるはずが、着く頃には溶けてジュースになっていたり、失恋した友達が顔をぐちゃぐちゃにしながら泣いたのも海だった。

大学で県外に進学したが、海の無い県だったので休みはすぐに地元に帰った。夏でも冬でも、定期的に海が見たくなる。海外に行った日本人が米と味噌汁を食べたくなるのと似ているかもしれない。

海には不思議な力がある。家や学校では話せないことが話せたりする。誰かと行くのもいいが、ひとりでボーっとしたいとき、何かを考えたいときにも良い。
最近はいつも砂場を見ていたから、今日はきちんと海を見ることにした。

寄せては引く波を、いくつ眺めただろうか。ほんとうにいろんなことを考えた。実は波は動物なんじゃないかとか、私はどうやって死ぬんだろうとか。死んだら骨を海に撒いて欲しいと言う人の気持ちがよくわかった。私もそうして欲しい、とここに綴っておく。


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