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オーストラリア旅行記②「僥倖」

そんなこんなで泣いて翌朝。朝チェックアウトをし、前日の反省を踏まえ、朝から宿探し。地球の歩き方に載っていたユースホステルを目指す。結論からいうと、「今日は空いてない、しかし明日からは空いている」とのこと。早速予約。その日に関しては別のホテルを探し泊った。問題は資金である。約1000豪ドルだから1日の予算はだいたい30ドル。しかし、二日連続で宿代が大幅にオーバーである。明日からはユースホステルに泊まれるとはいえ。そしてもう一点、私を悩ませたもの、それは食費である。

普通の旅行をする方々からすると大した問題ではないが、予算が限られた貧乏学生バックパッカーには切実な問題、なにしろ1日の予算が30豪ドルである。外食してしまうと、どうしても最低5ドルくらいかかってしまうし、ちょっとまともそうな食事だと当然10ドルは余裕で超えてくる。私はまた途方にくれてしまった。リアルに途方にくれ、とある公園のベンチでぼーっと座っていた。すると2人組の、胸元に黒いネームプレートをつけた青年2人が話かけてきた。ワッツアップ?的な感じである。当然警戒すべきだが、そんな思考力はなかった。お金がないの?ならうちの施設にくるといい。タダで飲み物や食べ物くれるよ、と。当然警戒すべきだが、そんな余裕はなかった。普通に考えるとここでホールドアップもありえそうだが、幸い彼らはキリスト教系の団体の人間だったらしい(あとでわかったことだが)。施設にはお菓子と飲み物が置いてあって遠慮なくいただいた。神様はほんとにいるのだ(ご都合主義)。

そこには日本人の方もいて、オーストラリア在住でこのキリスト教系団体の活動をしているとのこと。その方も昔バックパッカーされていたとのことでいろいろ教えてもらった。ユースホステル以外にも安いドーミトリー宿がたくさんあること、食事については自炊をすると安く上がること、そして、自炊のなかでもパスタが格段に安く節約になること、などなど。パスタの件など、一人暮らし勢からすると当たり前の話なのかもしれないが、当時19歳で実家通いだった私からすると僥倖だった。実際スーパーにいくとパスタが安い。日本の比ではない。はっきりとは覚えていないが、たしか500gのパスタが1ドル少し位だったのである。本当にこのキリスト教団体には感謝してもしきれない。私の人生の礎を築いたといっても過言ではないのである。それからの人生、このパスタは私の窮地を何度も救ってくれた(といっても日本は海外程の割安感はないんですけどね)。旅行中はパスタをゆでて、別にスーパーで買ったトマトやマッシュルームをいれ、それに塩を振って食べる、そんな感じだった。せっかくの旅行なのにもったいない、と思う方もいるかもしれないが、これはこれで旅の醍醐味といえる。

それからの私は安い宿、安い食事で済ます方法を身に着け、安定した旅行生活(?)を送ることが出来るようになり、旅が格段と楽しくなった。シドニーに数泊し、その後キャンベラ、メルボルンとバスで移動当然バスでかかる時間もかなりのものだが、それもまた旅の醍醐味である。途中グレートオーシャンロード(ミスチルのtomorrow never knowsのPVの舞台になったところ)なども観光し、アデレードに向かうことになった。そこで私もとある事象の初体験をすることになるのである。(つづく)

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