藤井厳喜著『フォーキャスト2025』~素人書評&感想
間もなく2024年が終わり、新たな年、巳年の2025年がやってきます。
この一年が個々人にとって良かったにしろ悪かったにしろ、新しい年を前に「来年はこういう年になるといいな」という希望は誰にでも湧いてくるものではないでしょうか。
しかし、その希望や期待にかなう年になるのかどうかは、世界情勢や日本社会の状況に影響される可能性も否定はできません。
そこで、わたくしが一番信頼している国際政治学者であり、先般の米大統領選挙予測においても、ハリスとトランプの票数までピタリと当ててしまったすごい方、藤井厳喜先生が今年も出された『フォーキャスト2025』(ワック)について、大変僭越ながら、素人書評と感想を書いていこうと思います。
![](https://assets.st-note.com/img/1735352003-TObpSsmA5cPvKUE0BuWZVh6G.png)
『フォーキャスト2025』書評
先ほども書きましたが、著者の藤井厳喜さんは国際政治学者であり、年間20万円という『ケンブリッジ・フォーキャスト・レポート』を40年近く発行されている実績があります。
世界情勢に大変詳しく、投資家、経営者・実業家らからの信頼も高い人物です。
そんな藤井厳喜さんが書かれた『フォーキャスト2025』では、11月の米大統領選挙で圧勝したトランプ次期大統領によるアメリカの行く末を筆頭に、ロシアとウクライナによる戦争の今後、下降をたどる中国の経済情勢など、全7章に渡って書かれている予測書となっています。
特に、トランプ政権による強力なアメリカ・ファーストの政策が実現することで起こりうる世界のできごとについては、その背景も含めて4章に渡るボリュームで書かれていて、投資家、実業家の方々はもとより、我々一般の会社員、社会人にとっても必読の内容と言えるのではないでしょうか。
本書の後半はEU、中国、そして日本の今後について評されていますが、前半ほどの読みごたえはない印象です。
ただし、予測という意味ではありませんが、特にイギリス、そして中国の「思惑」という点に関しては、それらに詳しい人でもあらためて「なるほど」と膝を打つ内容になっていますので、最後まで通読されることをお勧めします。
本書のキーワード
さて、書評の最後に、わたくしがピックアップした本書のキーワードをふたつ、ご紹介します。
①タックス・ヘイブンネットワーク
「タックス・ヘイブン」とは、映画やドラマなどにも出てくるのでご存じの方も多いと思いますが、預け人の情報が一切表に出ない口座のことです。
よく、そうしたエンターテインメント作品では、大富豪の家族を誘拐したグループや、秘匿情報を握っている犯罪組織などが「〇〇の口座に振り込め」などというセリフが出てきますが、この「〇〇」には「スイス銀行」や「ケイマン諸島」という単語が入りますので、聞いたことがあるでしょう。
ただし、リアルな世界でのタックス・ヘイブンの中に、スイス銀行はもはや含まれません。その理由は『フォーキャスト2025』で藤井さんが解説されていますので、ご興味のある方はぜひ本書で確認してみてください。
②英国守旧派
藤井さんはこれを『英国の旧エスタブリッシュメント』であり『タックス・ヘイブンネットワーク」を牛耳っている』と解説しています。
この「英国守旧派」または「英国の旧エスタブリッシュメント」というワードは今後注目されていくのではないでしょうか。
読了後感想
昨年、『フォーキャスト2024』を読んだ時、藤井さんが2013年に書かれていたご著書の内容が10年の時を経て現実になっている、または近くなっていることに驚いた記憶があります。
今回の『フォーキャスト2025』では、その2024年版とは違う驚きを得ました。それは先ほどの「キーワード」としてあげた「英国守旧派」という存在についてです。
トランプ次期大統領が発言したことで話題になった「ディープステート(DS)」は現在も「陰謀論」「ガセ」などと言う人が少なくありません。
しかし、以前よりもその存在は明らかになり、海外各国の愛国保守系の人々にとっての「敵」と見做されています。
わたくし自身はDSの存在を数年前に知ったのですが、その時点から「確かにあるのだろう」と思ってきました。それは、ダボス会議などに代表される世界的規模の経済ネットワークとは明らかに対峙する大きな動きが稀に起こるからです。
たとえば、いまだ続くロシアーウクライナ戦争や、イスラエルとハマスの戦い、そして、最近起こったシリアの内戦など、いたるところで「戦争屋」と呼ばれてもおかしくない人々の動きが垣間見えることからも明らかではないでしょうか。
わたくしは政治や世界情勢には全くのド素人で、根拠を示せといわれても完璧な根拠を示すことはできない人間です。しかし、世界各地で起こっている、フェイクではない、確かな動画やニュースを見るにつけ、藤井さんの分析やご発言、著書などに触れて「やっぱりそうなのか」と思うようになりました。
そんな「やっぱり」や「なるほど」が、今回の『フォーキャスト2025』にはたくさん詰まっていましたが、なんだかまとまりのない感想になってしまったので、次回以降、本書内で気になった箇所を詳細に見ていきたいと思います。
ここまで読んでくださったあなたには、感謝以外ありません。
ありがとうございました。