あの頃のOPEN MIND
若かったあの頃…20代後半から30代にかけて、人に会うのが楽しくて楽しくて、なんだか敵なしって感じ。
ライブへ行くたびにできる友達、
友達の友達はみな友達だ。
昭和の人気番組で聞いたような現象が自分に起こっていた。
どんどん広がる交友関係に行動範囲、
誘われて、足を運ぶの繰り返し
乾いたスポンジの様に様々なコトを吸収し、
自らもイベントを企画し、走り回っていた。
悪いことを考えている人には出会わなかったし、そんな人が居ることすら考えたことがなかった日々だった。
そんな日々はふとしたきっかけによってしぼんで行く事になる。
詳しくはまたの機会に書こうと思うが、ほんとうにOPEN MINDを表題にした、ブログも書いていて、出会う人、誰に対しても疑う気持ちも斜めに見る気持もなく、まっすぐに受け止め、私も投げ返していた。
その代わり、政治家や権力者のやることに深い意味も解らず反発していた。
自分のイベントスペースを閉じる事になり、生活の場でもあったその場所から30キロ程離れた、縁もゆかりも無いが、直感的に選んだ場所で新生活を始めた。
なんの取り柄もなく、大したスキルもない、その上、難聴者には、簡単に仕事が見つかるわけでなくかなり苦戦した。
様々な行政サポートを調べ、流れ着いた市役所の担当課で、ある仕事を紹介してもらった。
公共の施設で、待遇もいい、時間の自由も利く、とても良い職場に思えた。
しばらくは楽しく働いていたが、問題が起こる。
歳の近い女子4名で、1日に出勤するのは2名又は3名で交代で休み、シフトを回していたのだが、
ある1人が休みの日の度に悪口の標的にされ、その人をいじめだしたのだ。
怖いものでその中にいるとその異常性に気づかない。
自分も同じ様にいじめに加わっていた。
どんどんエスカレートして、結果的にその人を追い出した。
そして、次に入ってきた人材が75歳は過ぎてるおばあさんだった。
以前、その職場に長く勤めていたらしく、府職員の為、何ヶ所か移動があり、定年後もどこか違う所で働き続けていたようだ。
『私はお金のために来ているんじゃない。恩返しのためだ。』
それが口癖。
仕事にありつけず、正直、食べるのも困るほどだった時期もあった私にとっては、とてつもなく嫌な言葉と価値観だった。
(それなら、職を必死で探してる若者と代わってくれ。)心のなかでいつも呟いていた。
そのおばあさんの事を最初、他の2人も嫌がって居たのだが、いつの頃からか掌を返され、私だけが苦手意識を持ったまま色んな問題が起こる。
なんだか裏切られた気分の中で、その場に居るのがとんでもなく辛くなってきた。
何を我慢していて何が辛かったのかもう思い出せないけど
限界がきて辞める事を伝えた時に、1人の女性から怒鳴り散らされた。この女性とは共通の趣味もあり、とても仲の良い時期もあったのに、いつしか気を遣ってビクビクしていた。
『私があんたのこと、どんだけかばってあげたと思ってるんよ!!!』
人と出会うのが楽しくて楽しくて仕方がなかったあの頃と、真逆を体験した。
人の言葉が信じられなくなった。
仕事を辞めてしばらく引き籠もった。
人に会うのが怖くて、誰とも連絡をとらなかった。
そんな時に姉の容態が悪化し、結果的に帰らぬ人となる。
仕事を辞め、落ち込んでいた時に一緒にイベントスペースをしていた、仲の良かった姉をも喪った。
当時、姉は5歳と3歳の子どもを遺して逝った。
周りの大人は『こうであらなければ』というしきたりに合わせようとするばかり…
とにかくその子達の心だけは何としても守らなければ!
なぜか強い使命感を持って、子どもと一緒に色んな事をした。
今思えば、そうしていないと辛すぎた。
あれから7年目の夏を迎えた。
人との距離感が分からずなるべく深く関わらない様に、一定の距離を保つような最低限の付き合いを心掛けてきた。
嘘がつけない私はバカ正直に
嫌いな人には愛想笑いもできないし思ってない事を絶対に言葉にはしない。
面倒くさいタチやけど、それはもう仕方ない。
理由もなく好きも嫌いもあり、それは本能的な直感が何よりも大切だから。
そんな自分の本心で付き合うほどの距離にならなければいいんだと考え、それを守ってきた、この数年だった。
それなのに…!
先日、古い友人の紹介であるお店を訪れた。
なかなか勇気の居ることだったけど、毎週通う手話サークルの場所からもたまたま近いこともあり、意を決して、1人で行ってみた。
古い建物を改装したカフェは、よくあるけれど、こちらはなんだかそれだけじゃなさそう…
入店してすぐに
店員らしき人に聞こえにくい事を伝えると、OKOKと、身振りでしてくれ、席に案内してくれた。
Y子ちゃんの紹介で。というのも伝えておいた。
ランチを注文し、食べていると、先の店員が賄いランチを手にしてここ座ってもよい?と私のテーブルに座るじゃありませんか(笑)
だいぶびっくりしたけど、全く嫌な気持ちはしない。
どんどん話し掛けられてどんどん応えていたら、先客の親子も話しに入っている。
また1人、また1人と、私の周りを取り囲んだ(笑)
なぜだか、その場にいた全員の6人で、わいわいと盛り上がっていた。(うち3名は店員だとあとから判明)
もちろん私は全部を聞き取るのはムリ。
最初の店員さん(名はIさんだと自己紹介までしてくれた)は、友達に聞こえない人がいると言い、私が持参した筆談ボードに事あるごとにさささっ!っと書いてくれ、他の人が話している内容を、分かるようにサポートしてくれた。
なんて素晴らしい人なんだ…感動を通り越して、長らく閉じていた私の心が開いていた。
そう、それが最初に戻る、
あの頃のOPEN MIND…
夢の中で怒鳴られて、その怒鳴り声で目を覚ます事もある、周りにそういう人が居なかったため、私にとってはそれくらい強烈な体験で、今でもフラッシュバックが起こる時もあるほど。
だけど、そこのお店でウエルカムな雰囲気で迎え入れてくれたお陰で
人と会い、人と話すのが楽しくて楽しくて仕方がなかったあの頃を思い出させてくれたのでした。