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ZENONZARD懐古録”AWAKEN”

ゼノンザードサービス終了からしばらくが経ち、気づけば1周忌も間近というような時節柄になってまいりました。

時折エアプがTLを賑わかせるばかりではありますが、実際のところ皆さんはゼノンザードの対戦環境がどういうものだったか把握しているでしょうか?

ゼノンザードにおける当時の対戦環境を語るモノは非常に少ないです。
唯一の情報サイトであったgamewithは忽然と姿を消し、
動画投稿者はオリジナル構築の紹介を中心としたカジュアルなものや、ベースミニオンを4枚しか採用していないものが中心で勝率ランキングの上位10人すなわち”十傑”を目指すようなガチガチの対戦環境の実態を残す記録はほとんどありません。

これではエアプが湧いても仕方がありません。このインターネットが発達した現代においてこれほど素晴らしいDCGの記録が残されずに忘れ去られていくのはとても寂しいので、界隈屈指のエアプである私がその対戦環境を記憶にある内に懐古していこうと思います。

当時十傑を目指していたプレイヤーの方々には懐かしんでもらえたら、カジュアルにゼノンザードを楽しんでいた方々には実はカードゲームとしても面白かったということを知っていただけたら幸いです。

印刷してでもゼノンザードを遊びたいという方も是非当時の環境の参考にしてみてください。


第一章 AWAKEN~俺たちのアオバ~


AWAKEN期。ゼノンザードのサービスが開始したその日に登場したデッキ。そうアオバです。

アオバ1


このアオバが流行った理由、それは…


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ベータテストにて最強AIストライオ・ザナクロンが使用したからです。

…半分冗談です。ザナクロンが使用する以前から黄単アオバは強力なデッキとして認識されていました。強力だったからこそザナクロンが使用したというのが正しいでしょう。


ではなぜこのアオバが強力であったのか振り返っていきます。



ベースミニオンの弱さを理解する


このゲームはカードに色拘束が存在し、マナゾーンに色を要求するゲームです。
マナに色を用意する方法は移動権を用いてフィールドミニオンをベースに移動するか手札からベースミニオンを置くことが基本なのですが、
リリース時に存在していたベースミニオンはとにかくクソ雑魚でした。

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基本ベースミニオンにはブロックできないというデメリット効果しか無く、パック収録のレアミニオンにはターン終了時にアクティブになるという効果しかありません。

手札からマナに置くことしかできないこれらのカードを採用すると手札が1枚減ってしまうことと同義であり、採用するだけでディスアドバンテージを背負ってしまいます。

対戦環境、すなわちゲームに勝つことを目的とするとこれらのカードを採用する枚数は可能な限り少ないことが好ましいため色拘束を無視できるフォースキマイラの採用が必須でした。

キマ




常盤木効果の特徴


カードゲームではよく使われるため省略したキーワードが与えられた効果を常盤木効果と呼びます。
ここで各色に与えられた常盤木効果を振り返ってみましょう。

赤「襲撃」:召喚したターンにプレイヤーを攻撃できる。
白「再起」:自分のターンの終わりにアクティブになる。
緑「貫通」:ブロックされてもDP-1のダメージを与える。
紫「奪命」:ブロックされた場合、BPが負けていても相手を破壊する。
青「潜入」:同じコストのミニオンにしかブロックされない。
黄「飛来」:フラッシュタイミングで召喚できる。

お分かりいただけるでしょうか?

黄色以外の常盤木効果は攻撃しなければその意味が無いのです。

カードゲームで攻撃する時、というのは相手より自分が有利で攻撃する余裕があるという場合であることがほとんどです。

ゼノンザードにおいてもこれは同様で、相手に大きなミニオンがいればミニオンはブロックされ破壊されてしまいますし、返しのターンに大ダメージを受ける可能性も高まります。

カードの種類が少ない環境では常盤木能力しかもたないようなミニオンをデッキに採用する必要があるため、その能力が最も使い易い黄色が最強のデッキとして君臨しました。



加速するアオバ


強いデッキというのは自ずと同系戦が多くなります。同じタイプのデッキと戦うことが多いなら相手より速く動いてしまおうと高速化していくのがカードゲームのセオリーです。

ゼノンザードにはなぜか0コストで召喚できる

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あんなカードや

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こんなカードがなぜかリリース当日から存在していました。

これらのイカレたカードとミニオンを召喚すればアクティブになり連続攻撃ができるアオバと、

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コスト軽減で早期着地と連続攻撃をサポートするモノノベをガン積みすることで

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早期の決着を目的としたアオバハヤテというアーキタイプに派生しました。

アオバ2

無数のコスト軽減と踏み倒しで要求される複雑なリーサル計算は”アオバ算””ダスカ算”と呼ばれ多くのプレイヤーをゼノンザードというゲームの深みへと誘いました。




キマイラの可能性


高速化したデッキはその後減速していきます。全員が高速化すると高速化したメリットが一切無くなるからです。

それだけでなく、1点特化したデッキというのは不測の事態に非常にもろくなってしまいます。

よって、環境が進むにつれてデッキは鈍化していき対応力の高い構築へと変化していきます。
リリース当時の環境では前記の理由からキマイラが非常に強くアオバのサーチ能力もあり、他色のカードを取り込んだ様々な構築が試されました。


赤からは環境トップのフィニッシュ能力を誇るアロンダイが試され

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緑からはブロックされても3点を与えられ屈指の耐久能力を持つヤクーツォークが試され

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青からはバースト力が高く攻撃時の確定除去が便利なアレシャンドが試され

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紫からはフォースを直接破壊することのできるオッドアイが試され

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白からは当時最大のサイズを持ち確定除去ができるゼクスが試されました。

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こうした各色との混色化の末、

アオバ3

赤と混色化したアオバが誕生しました。

除去カードを増やし、対応力を増しつつも赤のビート性能で補強したこのタイプのデッキがアオバの最終系でした。



第二章 ネズミ襲来~Twin × Hayate~



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サービス開始から約1か月後、エクストラパック「魔術都市の9騎士」がリリースされました。

クラウンズガーディアンズとかいうルビが振られていることに調べていて初めて知りました。

このパックは僅か12種のカードしか収録されていない特殊弾で、今後ゼノンザードは基本パックと味付けの小型パックを繰り返すのかなと思ったけどそんなことも無かった唯一無二の謎パックでした。

しかし、僅か12種類の追加でありながら環境トップのアオバに牙を向けるデッキが誕生しました。



永遠の二番手


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豊富な除去カードを有しながら手札不足に苦しんでいた白は毎ターン1ドローができるホリィを獲得しやっとデッキとして成立しました。

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ベースが弱いからキマイラが強いという話を散々してきましたが、このデッキは強力なドローソースを採用することで、ベースを採用によるデメリットを緩和することに成功しました。

ただし、全ての弱点補完をホリィに頼っているため、ホリィを引けなかった場合、除去された場合の苦しさを爆弾として抱えていました。

この爆弾がしばらくの間白単を悩ませることとなりいまいち環境トップになれない期間が続くことになります。



フライトは仲間外れ


フォースが弱い環境にさらなる別アプローチをかけるデッキが生まれました。

無色

ベースが弱く、色マナを確保しづらいのであればそもそも色を要求するカードを採用せず無色カードだけでデッキを構築すればいいじゃない。

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オルトロスを採用することで3マナで召喚できるDP2であるツインは、ハヤテとのコンボにより最速後攻2ターン目に3打点を出すことのできるコンボで”無色アグロ”を成立させました。

しかし、このデッキもツインハヤテのコンボ以外の勝ち筋の細さからアオバを上回ることはできませんでした。


エクストラパックの追加こそありましたがAWAKEN期はアオバが終始環境のトップに君臨し続けました。

次弾BEYONDの発売に合わせてアオバは見るも無残な姿となるわけですが、ゼノンザードのリリースはアオバに始まりアオバに終わることとなりました。

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おまけコラム~フォースのマナレシオ~


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ゼノンザードの最大の特徴と言ってもいいフォース。このフォースについては”フェニックス一強”と言われ続けていました。
実際にフェニックスが一強なのかどうかそのコストパフォーマンスを見て考察していきます。

考察をするうえでやはり似たような効果を持つ他のゲームのカードを参考にするのが一番簡単です。

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MtGにちょうどいいカードがあります。ざっくりいうとターンの終わりにマナを全てアンタップします。コストは4マナです。

ケイローンはマジックのコストを2下げますが、

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同じくMtGにざっくりいうとマジックのマナを1コスト下げる2マナのミニオンがいます。
多色の生き物についている能力ですので一概に何コスト相当の効果とは言えませんが4マナよりは少し強いかなといった印象です。

自分のターンのみパワーを100上げていたサイクロプスですが、

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4マナに同じことを書いているカードがやはりあります。
ただし、これは超最初期にカードなので今ではインフレに波に置いて行かれてマリアナ海溝に沈んでいます。

自分のターンの終わりにトークン以外のミニオンをアクティブにするウロボロスですが、

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なんとMtGにもトークン以外を攻撃してもブロックできる状態にする置物がちゃんとあります。おまけで戦闘面まで強化します。
色縛りのきつさもありますがこの効果自体は2~3コスト程度の能力のようです。

ダメージを増減させるミノタウロスとオルトロスですが、MtGは攻撃力がそのままダメージとなるためDPに相当する概念がありません。
親戚であるデュエルマスターズにはブレイクするシールドの枚数という概念があるため探してみましたが、1枚増やしたり減らしたりというカードは未だに登場していないようです。

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がブレイクする枚数自体を操作できる置物自体は5マナで存在しているので4~5マナ相当になりそうです。

コスト5以下のミニオンが相手のターン中ミニオンの効果で選ばれなくなるスフィンクスですが、
選ばれないというテキストはカードゲームにおいて特に強力なテキストで、その上全体を選ばれなくするという効果は強力で優秀な比較対象が存在しませんでした。

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ゼノンザードの親戚のバトルスピリッツには条件付きで効果を受け付けなくするカードが4マナ前後から存在しているようです。
効果対象がとても狭いものばかりでしたが、効果範囲はスフィンクス以上なのでこれも4マナということにしておきます。

キマイラとペガサスにはそもそも比較対象がありません。
どちらもゼノンザードのオリジナルシステムである”移動”に深くかかわるものです。

キマイラなら移動により色の確保が、ペガサスはそもそも”移動権”を増やすものなので他のゲームと比較することができません。
これは後に追加されたセイレーンも同様です。

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カードプールが増えるにつれキマイラを使うことは無くなりましたが、
ペガサスもセイレーンも一部強烈に相性の良いテーマこそ存在しましたが、他と比較して特別強いとうことも無かったように思います。


以上比較してみたように、フォースのコスト換算は大体4~5コスト相当。2点のフォースは少しだけ弱めかなといった印象です。

フェニックスが一強と呼ばれるほど使用率が高かったのはゲームシステムとの相性がやはり大きいのでしょう。
常盤木能力のところでも説明したように防御的な効果の方が使用機会が多いのです。


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