顧客がほんとに欲しかったもの
週刊少年ジャンプにプロモーションカードとして付録される「バギー」が公開されました。
このカードに対する大抵のプレイヤーの感想は実際はこのような感じだと思います。
『環境外のテーマにTier1(ドフラミンゴ)を露骨にメタしたカード追加するな。』
当然な感想だと思います。今まで環境に現れてなかったリーダーが変な効果を引き連れて環境に現れそうだ…いい気持ちがするものではありません。
しかし、『バギー』の調整をしていたプレイヤーは
『10弾で追加されると思ってたカードが一足先にそのまんま来た!!』
という感想を持ったはずです。
このカードは露骨なメタカードなどではなく、デッキの不足部分を見事に補う良デザインのカードなのです。
『バギー』を調整していたプレイヤーがなぜこれほどまでに興奮しているのか理解していただけるよう少し解説したいと思います。
イラストがいい
まずはこのイラストを見てください。
クロスギルド代表として見栄を張ったバギーが、ミホークとクロコダイルに靴を舐めると言ったシーンを現したイラストなのは一目瞭然です。
…いや、脱いだ靴をなめるな!!
靴を舐めるは慣用句的な表現ですが舐めるにしても地面に這いつくばって舐めるのが普通だと思います。
にもかかわらず、海賊という靴を脱ぐことがなさそうな職業で相手の靴を持ち上げて舐めようとしています。
なんかハマーあたりがやってなかったか?
画風だけでなく、うすた京介先生らしさの落とし込まれたいいイラストだと感じました。
効果がいい
当然ですが効果が素晴らしいです。
『バギー』というデッキは、パワー2000以下を除去できる「クロコダイル」
制限なく大型を除去できる「バギー」の2種類のスタッツの良いキャラクターを有しています。
しかし、リーダー効果で10「バギー」を登場させたとしても5ドンは必要なため、5コスト未満のキャラクターを除去するわけにもいきません。
そのため4コストのキャラクターの対処が難しく、『バギー』を使ったプレイヤーはジャンプでワンピースが連載されるたびに、黄猿が海軍をやめてクロスギルドに加入することを期待していました。
その穴を見事に埋めるテキストを持って現れたのが7「バギー」です。
一度登場すれば除去できないコスト帯のキャラクターを全て無力化します。
黄猿が海軍をやめる必要がなくなりました。
また当然ですが、6以下の《クロスギルド》を登場させる効果も素晴らしいです。
現状の『バギー』はリーダー効果で7コストの「クロコダイル」を登場させる以外の選択肢が無く、「クロコダイル」で登場させられない「ジュラキュール・ミホーク」は採用が見送られる場合も多い1枚でした。
7「バギー」はそんな「ジュラキュール・ミホーク」を登場させられるため、「バギー」「クロコダイル」「ジュラキュール・ミホーク」のクロスギルドのトリニティを盤面に揃えることが現実的に強い行動になりました。
制約がいい
7「バギー」の効果は3,4コストのキャラクターへの攻撃制限と《クロスギルド》の踏み倒しだけではありません。
”アタックできない。”も立派な効果です。
『バギー』は「クロコダイル」を出すことしかやることがなく、「クロコダイル」を2回出せば盤面には7000のキャラクターが4体。
ドンを振り分けて攻撃すればそのまま勝ってしまいます。
10コストの「バギー」は完全にオーバーキルなカードで真面目に勝つためには、採用する意味がほとんどないカードとなっていました。
しかし、7「バギー」はアタックができないため、盤面を埋めたとしても攻撃回数は少なくなってしまいます。
そのため10「バギー」をフィニッシャーとして採用する理由が正当化されます。
この10「バギー」の採用が正当化される恩恵というのはとても大きく、「クロコダイル」で囲んで棒で叩いているうちは、最速で「クロコダイル」を登場させることにリソースを割かれていました。
リーダー効果の使用先に10「バギー」がいれば、リーダー効果を使用する機会がいつでもあるためその部分が自由になるということでもあります。
つまり7「バギー」の登場によって
・デッキとして手の出しづらかったキャラクターへの対処手段の獲得。
・採用理由の希薄だった「ミホーク」「バギー」の正当化。
・リーダー効果の使用先の確保と自由度の増加。
と一気に改善され、『バギー』というデッキは「クロコダイル」でオラつくビートデッキから、正真正銘の《クロスギルド》に生まれ変わることができるのです。
実際に環境で戦えるパワーがあるのかどうかはその変化を見守る必要がありますが、ただのメタカードではないということが分かっていただけると幸いです。
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