忘れられない人について。
最近、悲しいことがあった。
仕事柄、普段休み中でも患者の事を思い出して、あの人熱下がったかな、無事退院できたかな、と考えることがある。
そうやっていつも通り考えながら朝出勤したらいるはずの人がいなかった。
とても優しいおじさんだった。
手術前後も元気で優しくて少し可愛らしい顔をしたおじさんだった。
私が手術の前日の夜勤、受け持ちをした時のこと、点滴のルートを入れようとしてよし、ここだ!と思ったのに見事に失敗した。
おじさんは「いいよいいよ、いくらでも刺しなさい」と笑っていた。
手術も無事終わって今度は沢山の塗り絵をしていた。見本があるらしい。
絵に見入ってると「どれかひとつ選んで持っていってもいいよ。」と。
1枚貰った。 「また次来た時までにもう1枚完成するから好きなの選びなさい」と言われて選んだのがこの絵だ。
おじさんが言った通り次来た時には既に完成していて額縁にわざわざ入れてくれていた。
最後にした会話が「コーラを買ってきて欲しい」だった。絶食中で下痢も続いていてたので、コーラはダメです。と言ったけれど、最後になると分かっていたなら飲ませてあげたかったと後悔している。
本当は4週間で帰れるはずだったのに、急なことで驚いてしまい悲しかった。
仕事でもそれ以外でもいつだって全て予想外のことが起こる。
今の私に何ができて何をしたいのか、相手は何をして欲しいのか、そう考えて面倒くさがらずに行動したらもっと後悔せずに生きられるかなあ。
一看護師だけど私にとっては忘れられない人が何人かいる。おじさんもその1人。
私はこれからも絵を見る度に思い出すでしょう。
私は今年、富士山に登る予定です。ずっと登りたかった山。
この絵と同じように綺麗な景色を見れるといいな。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?