『死神天使』について
『死神天使』という140字のフリー台本について、作者なりに解釈致します。
該当台本はこちら▶︎140字フリー台本『死神天使』
興味のある方は、ぜひぜひ最後までお付き合い下さい。
始めに
140字台本を書くのが下手くそなので、上手く伝えきれなかった部分が多くあります。
作者個人の考えを知りたい、という方はぜひ読んでみてください。
今から紹介するものは、一つの意見にすぎませんので、好きなように読んで欲しいなぁ、と少しわがまま……
いってらっしゃいませ。
【人間】
気持ち
「生きてる意味ってあるのかな……」
私の心から零れ落ちた一言。
私はブラック企業で働いています。最近は特に酷く、お昼時なのに、たった今退社したところです。
家に帰る暇などなく、ただ働くだけの毎日。
思い詰めてしまったので、気分転換に……と屋上に出たはいいものの「自分自身の存在の小ささ」を実感しました。
その瞬間背中を押されるような感覚が……
ここは屋上、しかもあと一歩踏み出せば空中。
ここには私しか居なかったはずです。誰が押したのか、ただの風なのか……
屋上から投げ出された私にはもう、判断できるものではありませんでした。
あぁ、鳥のように、このまま空を飛べたなら良かったのに……
少しの後悔とともに、こんな生活から解き放たれたという解放感も感じます。
飛ぶのってこんなに簡単なんですね。
宙に浮くというのはこんなに心地良いものなのですね。
羽があるって、きっとこんな感じなのですね。
解釈
人間視点では、今まで抱えていた悩みから解放された、ということだけが起きています。
死神の存在なんて知らないし、天使なんて存在も知らない。
何かの偶然で、踏み出してしまった一歩。
その足取りは思っていたよりも軽く、解放への道であった、と。
屋上に向かっていた時よりも、空へと歩みを進めた時の方が、軽やかな一歩だったのです。
【悪魔と天使】
僕には羽がある
あなたには……ある?
さぁ、おいで
┈┈┈
こちらの部分は悪魔と天使です。
よく自分の中で葛藤する思いを悪魔と天使として表現すると思います。それのイメージです。
天使
「僕には羽がある あなたには……ある?」
これは天使。
屋上に来てしまった人間(あなた)。屋上の縁まで止まらない歩みを見て、尋ねます。
羽のない人間、一歩間違えれば死んでしまうのに……本当に飛んでしまうのか、と。
悪魔
「さぁ、おいで」
これは悪魔。
無意識に迷う人間(あなた)に手を差し伸べます。こっちにおいで、と。
お話のイメージを掴んで欲しいな、と思って書いた部分です。
【死神天使】
こちらから本文となっています。
気持ち
これで何度目だろう。
死を無意識に望んでいる人間を見かけるのは。
試しに声を掛けてみるが、思っていた通り届かない。
生きる意味……
お前たち人間は、今まで死んでいった人間たちをどれくらい知っている?
お前たちの人生など、結局はそこまで。
思い詰めるほどの意味なんてないのに……
少しだけ、導いてあげよう。
そう思って背中を押してやる。
人間には羽がない。飛ぶことも出来ない。
そのまま落ちていくのを見守る。
お前の人生もここで終わり、そんなもんだよ。
でも、この瞬間くらいは寂しさを忘れさせてあげるから大丈夫。最期の瞬間を共にするのが仕事なんだ。
解釈
本当は天使なんです。
自分のことを死神だと思い込んでいる天使です。
人の死を見守り過ぎました。
最期くらい、寂しさを忘れさせてあげたい、という優しさのせいです。
いつからか、自分のことを死神だと思い込むようになりました。
場面の初めの方では、少しチャラい感じの明るさを纏っています。まだ、救えるかもしれないという儚い希望を抱えているのです。
だんだんと、何が人間にとっての救いになるのか、わからなくなっていきます。
そして最後は、人間を後押しすることつまり、死を見守ることで救い出そうとするのです。
人間を死に導く事で救いを与える、という意味で『死神天使』となっております。
恐らく、この子の中でも葛藤が起こっているはず。
お前の人生、小さいものだよ。他の人間たちと同じように。
死ぬ以外の道で、逃げて暮らせばいいじゃないか……
なのにどうして……
助けてあげなければ……
きっとこんな感じ……たぶん。
最後に
いかがだったでしょうか。
作者、とても気分屋なので、書いた時とは解釈が違うかもしれませんが、今のところの大本命の解釈はこちらです。
しかし、読んだ方がたくさん考えて解釈してくださるのが嬉しいので、好きなように読んで解釈してもらえれば、と思います。