「世界の是枝裕和監督」の魅力とは?
「是枝裕和」
現役の映画監督として、
現在の日本、そして世界においても知名度NO.1の人ではないだろうか
(実写の世界で)。
そして「今、日本の監督で誰が一番好き?」と聞かれると、
私がいつもあげている名前だ。
もちろん全作品観ているし、インタビュー記事なんかも結構読んでいる。
そんな中、Colosoというオンラインサイトで是枝流の映画制作を学べると知り、早速受講してみた。
その名も、「是枝監督作品を通して学ぶ映画制作への取り組み方」。
過去の作品「誰も知らない」「歩いても歩いても」「そして、父になる」「万引き家族」での制作を振り返り、そのエピソードから、創作する人に向けてのヒントを探るという。
全部受けてみて、今回初めての気づきもあったので、シェアします!
映像関係者だけでなく、誰にとっても勉強になる内容だった。全4回。
まずは「誰も知らない
柳楽優弥の衝撃的なデュー作であり、「世界の是枝」になった伝説の映画。
柳楽優弥はこの映画に出る前までは素人同然だったのに、この作品でカンヌ国際映画祭で最優秀主演男優賞を受賞するという、とんでもねー快挙w
いきなり世界の頂上まで行っちゃった、みたいな感覚なんで、
今振り返ってもすごいw
そんな「誰も知らない」。
この映画が生まれたきっかけは、一つの事件からだった。
「14歳の少年が、死んだ妹を特急レッドアロー号に乗せて、山に死体を遺棄した」
この事件に対し警察は、<死体を運ぶために特急に乗せた>と言っていたが、それに対し、是枝さんは、<違うだろう>と思ったそうだ。
是枝さんは、<妹をレッドアロー号に乗せてやりたかったんだろう>と考えた。
そこから発想を広げ、事件の背景を想像して、この物語の脚本を書き、作り上げた。是枝さんは、よく一つの新聞記事から、”想像”して映画をつくり上げてしまう。
【ある側面だけでなく、様々な側面を想像することの大切さ】
が伝わってくる。
「誰も知らない」は、初めてちゃんと自分で書いた脚本だったそうだ。
しかし、映画になるまでの道のりは、果てしなく遠いものだった。
脚本を書いてから、映画として完成するまでには、なんと13年!
の時間を要した。
色々な制作会社に持っていっても、プロデューサーから、
「暗すぎる」と言われたそう。
お金も集まらない。なかなか実現しない。
内容の改訂案なども打診されたが、どうしても変えることが出来なかった。
そのうちドキュメンタリーが面白くなってきたため、少し企画をねかせた。
だが、その間もずっと、タイミングを伺っていた。
そして、13年後、 デビュー作「幻の光」の後、満をじして「誰も知らない」の映画化が決定した。これは推測だが、「誰も知らない」をつくるためには、まずは映画監督としての<実績>と、共に生み出してくれる<人>に出会う時間が必要だったのかもしれない。
是枝さんは、やりたいことをブラさずに、常にタイミングを伺っていた。
【常に自分がやりたいことを持ち続け、そしてその存在を諦めずに公言していくこと】
それこそが実現へ道ということが、この流れからひしひしと伝わってくる。
自分自身も映画としてやりたい企画がある。
直近の1つとしては、ヤングケアラーを題材にした映画。
他にも シベリア抑留を経験し、 帰国した日本で生きた祖父の話。
不登校になり、発達障害と診断された姪っ子の話。
実現するには簡単ではないが、 粘り強く、映画を開発していきたいと思う。
最後に、是枝さんの新たな側面を発見したことがある。
それは、
【相手に合わせて、自分を変化させていく】
ということを、かなり注意して意識しているということだ。
是枝さんは自分の演出スタイル が確立され、ドキュメンタリー的な手法を用いる演出方法にこだわりがあるとばかり思っていた。
しかし、そうではなかった。
是枝さんは子役に対して台本を渡さずに、撮影現場で直接子役と会話をし、ある種の即興性を持って演出していくスタイルが有名なのだが
「それはあくまでそれに適した人であるから、そうしている」
ということだった。
これは意外で驚いたが、スタンダートな考えとして一流の監督がみんな心掛けている、「相手がどんなタイプか見極める」ということを、是枝さんもやっていたんだと知れたことはとても勇気をもらった。
何故なら、自分もそれが出来るように目指したいと素直に思えたからだ。
強い意識と努力で、何とか出来る可能性がある、と少しでも思えることがとても大きい。
是枝さんほどの人は、ある種カリスマ的な部分の演出があると神格化されていた部分が自分の中にあったが、やはり「確かな力」を是枝さんも意識していたんだなと感じた。
第2回以降にも、同様の驚きの発見があり、いかに是枝さんが、自分に固執せず、絶えず変化を恐れずに映画を作っている、生きているということがよくわかる。
自分の乏しいの想像力では想像出来なかった、 是枝監督の新たな側面を知ることができた事は、 今後の自分の創作にとっても、とても大切な時間だったと思う。
第二回目は「歩いても 歩いても」。
是枝作品の中でも、特に私が好きな映画。
その制作過程の中から、私の乏しい想像力を鍛えてくれた話をシェアしたいと思います!
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