見出し画像

ヒッチャー


ロバート・ハーモン監督の『ヒッチャー』

シネマート新宿とアップリンク渋谷で実に計3回観て来ました。

ニューマスター版。

上映されたのは実に35年ぶりだそうで。


いやぁ良い時代に生まれたなぁ........................................。


夜明け前の雨降りしきるハイウェイ、

輸送のアルバイトでシカゴに車を届けようとしている青年、ジム(C・トーマス・ハウエル)は、長時間のドライヴで疲労困憊。あわや衝突事故を起こしかける。

危機一髪の状況を直前で回避。

心臓バクバクの状態でハンドルを握り直し顔を上げると、暗闇の中、道の端で1人の男が親指を立てていることに気が付く。

「ママなら素通りだ」

なんて言いながら快く車に乗せてしまったヒッチハイカー、ジョン・ライダー(ルトガー・ハウアー)。

この邂逅から物語は始まっていくわけです...


夜明けに運命的に出会ってストーリーが展開していくなんて、

まぁなんっってロマンチックなんでしょ!!!


ジャンルとしてはサイコ・スリラーになると思います。


いや、もうここまで来たらざっくり言ってしまおう。


なんだか妖しい雰囲気の魅力的な外見をしたサイコパスが、

これまたイケメンなジム(演じたトーマス・ハウエルは当時アイドル的な人気を誇っていました)を殺そうとしたり逆に生かしたりしながら、

ずーーーーーっと追いかけてくるって話です。


最初に観たときは、

「え???これってそういう...あれ、え??????」

って思ったものを、2回3回観て確信に変えてきました。


実際ご覧になると「どうやらただのスリラー映画じゃないぞ」ということにみなさんすぐ思い当たると思います。

ところどころに「クサい」シーンが点在しているので。


ただ、本作の2人をBLの対象として見なしたくないんですよね。

もちろん好きなんてそんなこと言いませんし、

親愛もありませんし、惹かれ合うっていうのともちょっと違う気がするし。


『趣味の問題』というフランス映画がありまして。

それは1人の男が全くの他人だった若い男性を、「完璧なもう1人の自分」にしようとする話なんですけども。

ジョンはジムはそういう、肉体とは別の「共依存」的な関係にあるわけでもないんだな〜


彼らの関係をわたし如きが言葉にするとどうしても陳腐になってしまうんですが、

ジムとジョンの場合は魂の共鳴というか、精神の結合というか、

目には見えない心の深く深くで、何をどうしようとも切り離せないほど分かち難く結びついている、高次的な関係にあるように思うんですね。

2つの存在が共にあることは当たり前、とでも言いましょうか。


ナイフを突きつけられたジムがジョンに、

「何が望みだ?」と問うシーンがあります。

そしてそれに対してジョンはたった1言、こう答えます。

「俺を止めてくれ」


これが全てなんですよね。


物語の最後の最後、

ジムがそのジョンの想いに応えるシーンで映画は終わるのですが、

もしご覧になる際は、直前のジョンの行動に是非とも注目してもらいたいです。



普通にホラーが好きな方も、ジムとジョンの関係に興味が湧いて

「自分の目で確かめたい!」って思った方も、そうじゃない方も、

み〜〜〜〜んな観て下さいね!!!



[ 公式サイト ]


[ Blu-rayが発売になりましたよ〜 ]



"The Hitcher" 2021.1.13

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?