『フィリピンの子どもは笑う』 (NWU session vol.3)
登場人物
yokushiryoku (26) ラッパー。無職。東京在住。
hisanori Ito (25) マルチクリエイター。無職。
hidelberq (28) プログラマー。ラッパー。
grandcolline (27) プログラマー。ヘッダー画像を書いた。
概要
この会話は 2019年4月13日 23:00時頃 Skype のグループ通話でされたものです。yokushiryoku は東京、hisanori Ito は静岡、 hidelberq は千葉から参加しています。
本編 「フィリピンの子供は笑う」
・・・軽い雑談を経て・・・
yokushiryoku: hisanori は物理系の学部出身で hidelberq は数学系でしょ?
そういう人からすればさ、そういう概念( テレ)は論理的じゃないってことで、憚られると思うんだけど、あえてそれを言うのがすごい。例えばさ、結婚する時に「俺とあなたはテレっていう因子によって出会ったんだよ」って言える?俺たちの言葉なら共鳴って言葉になるのかな。
※ 「テレ」とは、精神科医ジェイコブ・レビィ・モレノ(1889-1974)によって提唱された概念。「人と人とが引き合う因子」を意味する。
彼が考案した精神療法の手段「サイコドラマ」でグループを作る時に、ある問題意識を持ったものが仲間を選んだ時、その仲間も共通の問題意識を持っていたことを観察して「テレ」を提唱した。
モレノの意図は「出会いは必然性を秘めている」ということだ。論理的ではないかもしれないが、それを概念化する勇気を讃えたい。(注釈 yokushiryoku)
hisanori: でも物理も数学も「神秘的」って思う領域はあるよ。そういう人知を越えたものっていうのは存在すると思う。
yokushiryoku: hidel ?第三の男やっているの?(発言しないhidelberq に対して)
※ 第三の男・・・the third manとは・・・議論をする時に、必ず発生する、二名が話している時に腕を組んで黙考し結論部分だけを述べる「アイツ」のこと。美味しいところだけ頂く「アイツ」のことだ!(注釈 yokushiryoku)
yokushiryoku: あ、そういえばトライアル落ちたわ。悔しいよ。人生かけてたのに…。
※トライアルとは、ハローワークのトライヤル雇用制度のこと。採用された後3ヶ月の契約社員期間を設け、期間中に適正があると企業から判断された場合に正社員として採用される。正社員として採用された場合企業には一定の助成金が国から与えれる。Trial(試用)の言葉通り、未経験でも採用されやすいのが売りなのだが・・・(注釈 yokushiryoku)
hidelberq: そこまで考えてたの?
yokushiryoku: 昼に通知来たんだけど、落ちてた…。正直落ち込んだよ。
hisanori: 人ってどんな時に気持ちが落ちるんだろうね?
yokushiryoku: 拒絶された時落ちるんだと思うよ。
hisanori: ああ、わかるなぁ。
hidelberq: hisanoriくんは最近そういう経験あった?
hisanori: 音楽仲間になれそうな人にメールを送ったんですが、結局返ってこなくて悲しかったです。拒絶されることはどんなに経験しても慣れませんね。
hidelberq: 話戻すけど、結局「トライアル」って言葉の意味ないじゃん。
hisanori: 裏返すと今はそういう仕事をしない時期ってことかもしれない。
yokushiryoku: 空求人の可能性もあるんだよね。求人を出すことでそれを広告みたいにしていることも有るらしい。会社の知名度を上げるためにね。
yokushiryoku: 悪魔の呪いか神からの啓示に感じるよ。
hidelberq: いや、どっちでもないでしょ。人生の平凡な一ページに過ぎないよw
yokushiryoku: 人によっては、就活で200社受けた人もいるんだよね。
hidelberq: それはそれで絞りきれてない気がするんだよね。自己分析の結果と合いそうな業界を探しきれていなかったんじゃないかな?
yokushiryoku: 俺は、自分の経験、経歴を踏まえた上でトライアルなら受かると思ったんだけどな
yokushiryoku:肩書きとしての”正社員”を目指してるだけで、どこか本気じゃないんだろうなぁ。
hidelberq: いや、本気じゃないのかもなっていう風に言われちゃうと、こっちは何も言うことはないよ。それに、本気でやってなくても受かる人はいるし。
hisanori: なんで人手が足りないって言っているのに蹴るんだろうね。
hidelberq: 本当は何をしたいの?
yokushiryoku: いや、わかんないんだけど、たまに思うんだよ。一回社会から認められたいってさ。正社員になったことないからね。
hisanori: 正社員になる=社会から認められるってこと?
hidelberq: 非正規じゃダメっていう考えはどこからくるの?
hisanori: それみんな思ってるよね、多様化のことを考えれば固定観念だよ。見えないヒエラルキーみたい。
hidelberq: 橘玲の 「働き方2.0vs4.0」 って本で読んだけど、正社員と非正社員の違いは「イエ社会」の文化の名残で、身分制度に近いんだよね。一方、アメリカは人種差別をなくす動きから同一労働同一賃金が徹底している。現在の日本ではみんなが上の階級の正社員になっていて、正社員から正社員へは転職しやすくても、非正規から正規は難しかったりする。でも、正社員になれることで人を釣る「やりがい搾取」もあるから注意しないといけない。
hidelberq: 落とされた身としてはその理由をフィードバックしてほしいよね。
聞きに行くことを考えてもいいんじゃない?
yokushiryoku: そうだね。。
hisanori: 大事なのは肩書きじゃない。
yokushiryoku:小説家の沢木耕太郎って知ってる?国立大学出て銀行に入行したんだけど、通勤途中の信号待ちで「辞めよう」って決心したんだって。それってすごいよね。
hisanori: その人はゼロから始めたの?辞めてから?それだったらすごいね。
yokushiryoku: 父親が落ちたことを知ったからか、マイナビの情報くれるんだよ。しかもエロ系グラビア雑誌の求人 笑。俺のことわかってきたな 笑。
hisanori: やっぱり就職=社会に必要とされているってことなのかな?
hidelberq: いや、利益を上げている会社でも社会にとって悪影響な会社もあるから、そこに就職したからと言って社会が必要としたかというのは別問題だと思うんだよね。もう一度確認したいんだけど、目指してる仕事は好きな仕事?やれる仕事?
yokushiryoku: どうなんだろう。いや、分析はしているつもりなんだけどさ。
hidelberq: ちゃんとハローワークの人には見せている?
hisanori: yokushiryokuはさ、音楽を続ける為の仕事探しなのに、回り道になっている感じしない?
yokushiryoku:下積み時代は正社員やってた人多いよね?アジカンとかも、最初は正社員やりながらだったんでしょ?
hisanori: 不安定が怖い?
yokushiryoku: 前の職場の、俺と一緒に非正規雇用だった先輩がさ、35歳過ぎたら正社員の仕事が無くなるって言っていたんだよね。あと「俺はここが限界なんだな」って言っていたんだよ…。俺にとっては師匠みたいな人でさ。ステーキおごってくれたりして。
hidelberq: 働くことに自己実現を求めているのか、それとも最低限働くこととだけやって他に自己実現を求めてるのかで変わってくる。働く場所にこだわりが無いのに、あわよくば自己実現も目指しちゃっている気がする。そんなにこだわらずに、「やれそうなこと」という軸で仕事を探しても良いかもしれないよ。
hisanori: 人生の辿り方ってわからないよね。きっと一人ずつ違う道が用意されてるんだよ。
hisanori: 前、雑誌でさ、フィリピンの子供はゴミ捨て場でゴミをあさって暮らしていても、家族と一緒にいられれば幸せだって笑っていたんだよね。こういう考え方って社会によって違うんだよね。こういう社会観念って誰が決めているんだろうね?
hidelberq: 先進国は停滞していく一方だよ。でも、「国 = 僕たち」ではない。日本にいてもうまくいっている人はいっぱいいるわけだから。だから年齢制限なんて関係なくて歳をとったとしても「面白いこと」をやっていれば見てもらえるんだと思うよ。
yokushiryoku: 音楽業界っていうのは年齢制限かなり低いと思うんだよ。早ければ20歳とか。もちろん押尾コータローみたいに34歳とかでメジャーデビューした人もいるし。
hisanori: 創るものに関しては歳取ったほうが円熟味が出るのにね。
yokushiryoku:その年齢制限のせいで多くの才能がある人が辞めていっている気がする。
hisanori: 日本は芸術家が生きていく土壌ができてないのかもしれない。
yokushiryoku: 小説家とかはまた違うんじゃない?例えば西村健太なら40越えてからデビューしたりしているし。
hisanori: なんで日本の大衆音楽ってアイドル的な側面がでかいのかな?
yokushiryoku: ああ、アイドル的なね。
hisanori: アイドルだったら若い人が多いしね。作曲者と演者が違うことも影響してるのかな。
yokushiryoku: それは関係ないと思うけど、なんだろうねぇ。
yokushiryoku: あ、話変わるけど俺がslack で延々と書いていたドームの話。すごい狭いところをずっと見ているなって思って。他の奴らもそういうの見ているんだろうなと思う。
※ 出口のない、ドームの天井の真ん中が裂けている
草が雑然と生えているグラウンドに座り込み一年を過ごす
気付いたことは、太陽の動きにより照射される場所が現れる
既にグラウンドのほとんどを知り尽くしている。(注釈 4/13のslackでのyokushiryokuの投稿より)
hisanori: 他に出口がないんだよね。
yokushiryoku: そうそう。結局ドームの裂け目を超えられなかった時に皆諦めるんだよ。
hidelberq: hisanori くんさ、2週間毎に東京都静岡を行き来しているんだよね。2拠点生活は続けていくの?
hisanori: 続けていきますよ。けど、発表の場は東京に重きを置いた方が良いのかなって。
hidelberq: 業界の知り合いとか増えると良いね
hisanori: そうですね。生業として音楽家を目指す生活は2年で区切ろうと思います。
hidelberq: 2年はあっという間だよ。。
hisanori: 本気出そう。。
yokushiryoku
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