11/21第一回漫談選手権の永田敬介さん
シアターマーキュリーで開催された第一回漫談選手権を見に行きました。
永田敬介さんはトップバッターでした。
永田さんが出囃子「ロクデナシ」で舞台に登場されるのを生で見るのは初めてでした。カッコ良かったです。漫談で人の良くないところ、恥ずかしいところを容赦なくぶった斬っていく、決して聖人ではなく、多分、ご自身にも欠落している部分がたくさんあって、どうしようもなく人間な永田さんが、「生まれたからには生きてやる」と叫ぶこの歌を、自らの象徴としていることに、強く惹かれます。
このライブは配信もなかったからでしょうか、漫談の内容は、ちゃんと人を傷つけるような悪口だと私は感じました。今まで私が見たライブの中で、最も毒が強かったように思います。でも、めちゃくちゃ笑いました。少し心が痛いと思う部分もありますが、言ってることは、筋が通り過ぎているので、それはそうだな、と納得してしまうんです。悪いこと言うなぁと思いながら、爆笑している私も、同罪だと思います。特に、片山さんの悪口は、目の前に本人がいるのに、あれだけ言えるのは勇敢だなと、ちょっと感心してしまいました。
多くの人は、日々、自分の足りなさに苦しんだり、他人の足りなさに苛立ったりするものだと思います。永田さんは、そんな人間のどうしょうもないところや、世の不条理に、真摯に向き合います。そして、キャッチーな言葉に逃げずに正直に喋りまくります。そして、ここがすごいところだと思うのですが、それが、全部、笑えるものになっているのです。聞いていて、嫌な気持ちにならないし、なんなら、永田さんに斬られることで、人も世界もゆるされているような気がしてくることもあったりします。
私は、永田さんの正直な言葉を浴びていると、いつも、人間が生きていく上で、色んな欲望とか、良くない気持ちがあるのは、当たり前のことなんだなと思います。それは、「ありのままの君でいたらいいんだよ」なんていう優しい言葉よりもずっと、私の顔を上げさせ、この肉体と精神を抱えて、このどうしようもない世界を生きていくしかないんだ、という前向きさを与えてくれています。
かつてインタビュー記事で、永田さんは「お笑いを好きになったきっかけ」として、こんな話をされています。
・自分をよく見せようとしない。
・引かれることを恐れない。
・汚い部分を見せることで温かい気持ちになる。
これらは皆、今、私が永田さんに対して感じて憧れていることに近いなと思います。永田さん自身の憧れやブレない思いが、今の永田さんを作り上げてきたこと。そして、そんな永田さんが、客の心を同じように震わせていること。まるで、親から子へ、子から孫へと遺伝子が引き継がれていくように。そんなことを想像させられます。
シアターマーキュリーの呟きによると、永田さんのネタ時間は16分59秒93だったそうです。ずっと面白くて、あっという間に終わったように感じたので、こんなに長くやってくださってたとは思いませんでした。もっと聞いていたかったくらいなのに。改めて観に来て良かったなと思いました。
エンディングでも、永田さんはまだ言うか?というほど、毒を吐いていましたが、布ちゃんさんと、お互いディズニー好きで会話が盛り上がったという話をしている時は、身体から出ているオーラの色が、一気に明るいものに変化したように感じました。「障がいのある方にもディズニーはやさしい。だから入場料も高い。」と、とても嬉しそうに語る永田さんが生き生きして見えました。好きなものを好き、良いものを良いと、まっすぐに嘘なく語れるのも、永田さんの美点だと思います。
ライブ終わりの集合写真。
永田さんはおへそのあたりで控えめな裏ピースをして写っていました。この控えめなポージングが、じわじわと面白くて、永田さんの、ちょっとかわいらしい人柄を感じます。