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白波の狭間で プロローグ


左腕に冷たいものが当たった。
目が覚めるととても寒く、全身が痛い。
見渡すとそこはザーザーと力強くも弱々しく潮がうごめく砂浜だ。
さすがに冷たいと朧気ながらに起き上がるとしょっぱい液体が口に入る。
それは海水なのか涙なのかは定かではない。さらに血にまみれ、切り刻まれたかのようにボロボロのTシャツがべったりと肌に張り付いていたがそれには不快感もせず、ただ爽快感というのだろうか。悲壮感とでも言うのだろうか。なんとも表現し難い感情が僕の心に深く根が張っていた。

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