ウェルシュ菌とネットのマウントについて
以前お仕事で2日目以降のカレーライスについての記事を書いたんですよ。
そしたら、はてブでマウントを受けたのね。
曰く「カレーを冷蔵しないでいたらウェルシュ菌が繁殖するので捨てる一択、筆者はバカ」とのこと。
はてなブックマークのコメントはマウントを取る人が多くて殺伐としているものなんだけど、マウント取る割にウェルシュ菌について無知なのにびっくりでさ。
無知というか、半可通なんだよね。たぶんネットで話題になった記事の見出しまでしか読んでねえんだよね。
半端な知識でマウント取るマンは、はてブというかネット全体でよくあることなんだろうと思うので書くことにした。
ネットでウェルシュ菌が有名になったのは「100℃でも死なない菌がいる。翌日のカレーはおいしいと言うけど食中毒に注意」という趣旨の記事からだと思う。
こりゃ意外だし、怖いのでバズるよね。
でもウェルシュ菌は人間の大腸にも常在しているし、それに、食中毒としては程度が軽い。2日ほどで治まる軽い腹痛と下痢が症状なのね。
僕の記事にマウントかけてきた人たちは「カレーを作ったらその日のうちに食べなきゃいけない、残したら捨てなきゃいけない、マジヤバイ、死んじゃう」と思ってる。
たぶん、O-157とかのベロ毒素系の致死性食中毒のニュースが目立つから食中毒にそういう強めのイメージを持っているんだと思うんだけど、ウェルシュ菌はカレーや肉じゃが、豚汁の中にすでに存在してて、大繁殖しない限りは食える程度のバクテリアなんすね。
芽胞を作って熱に耐えるウェルシュ菌だけど、(冷蔵してたカレーを)再加熱すれば弱体化して、まあ食えるわけ。
・熱で死なないウェルシュ菌
・二日目のカレー
・食中毒=ベロ毒素イメージ
ネットでマウントかけたい人はこのネタ握ってマウントかけるチャンスを待ってたかもしれないけど、知識がハンパなのね。ハンパな知識で周りの人たちのQOLを下げてるのね。
さらに厄介なマウントがあって。
この元カレー屋さん。ウェルシュ菌についてふたつ大きな誤解をしてて、心配なのよね。
「落としラップでフタする」って言ってるけど、ウェルシュ菌は嫌気性菌なので、むしろ空気がない環境を好むのね。
「ウェルシュ菌シャットアウト」って言ってるけど、ウェルシュ菌は土中にいる菌なので玉ねぎや人参やじゃがいもなどのカレー材料にすでに付いているわけ。空気中から鍋の中に混入するんじゃないのよ。シャタウトできないのよ。
この人だけでなく、世のカレー屋さんたちもこんなふうに食中毒を起こす菌についてあまり知らないんだろうかと想像できて、ちょっと怖いよね。
ウェルシュ菌のヤベえところがあるとすれば、材料にあらかじめくっついているというところなんですよ。怖くねえけど、避けられないってこと。
まとめる。
翌日以降のカレーはおいしいので、ウェルシュ菌が繁殖する30℃〜40℃の状態の時間を短くするために冷蔵保存、食べるときはしっかり再加熱しよう。
ネットでマウント取りたがる人は多いけど、多くはハンパな知識で断言しがちなので、間違ってて危険な情報を広めたり、危険じゃないのに過剰な自衛を促して世間のQOLを下げたりする事が多い、多すぎる。
以上です。まあ、恥かかないようにお互い注意していこうな。