新婚住宅一次取得RTA ②購入理由、物件選びの基準、入居までの諸々
一昨年、新婚でいきなり新築マンションを一次取得しました。昨年秋に、きっかけと購入の大まかな流れについて投稿しました。ずいぶん間が空いてしまいましたが、今回は詳細を書いていきたいと思います。
※カバー画像は、AIで生成した「新婚とともに新築マンションを購入し、今後の明るい人生を思い描く夫婦のイラスト」です。
属性(再掲)
アラサー新婚共働き(購入当時、新卒6年目)
23区郊外に新築マンション(3LDK、70㎡弱)を購入
在宅勤務の日が割とあることと、将来の子育てを両方見据えたもの
婚約時点でペアローンで契約、新婚で即入居
購入に至った理由
購入のきっかけは前回も書いたとおり、「結婚に伴う同居開始をきっかけに情報収集したところ、気に入った物件に出会うことができた」ことでした。とはいえどうして購入に踏み切れたのか、ここではもう少し理由を掘り下げておこうと思います。
分譲を選択肢として考えたのは、「賃貸の家賃・更新料は掛け捨てになるが、分譲であれば一定の資産価値は残るから」でした。
建物の価値は築年数が経過すると下落していくし、修繕費はかかります(経年劣化に伴って修繕費が上がっていく側面もあるでしょう)が、それでも土地の価値は一定程度残ることを意識しました。
賃貸の場合、高齢になると入居しにくくなるだろうという思いもありました。20代で考えることではないかもしれないですけど。
「今」買おうと思いきれたのは、「分譲物件の相場がどんどん上がっていることがよくわかったから」でした。
前回も書いたとおり、我が家が購入したのはいわゆる「売れ残り住戸」でした。言い換えれば、1~2年前の相場で購入できたということでもありました。周辺の後発物件を見ると大幅に相場が上がっていることがわかり(同スペックで駅徒歩が2倍なのに価格が同じとか)、少なくとも今後2~3年は相場が下がらないのだろうなと感じました。
5年10年待てば相場が下がるかもしれませんが、待っている間も家賃は出ていく(都内の家族向け物件の家賃がざっくり月20万として、5年で1,200万、10年経つと2,400万が掛け捨てで出ていく計算になる)し、だからといって相場が下がるとも限らない。しかも、相場が下がる要因として考えられるのは金利上昇か経済危機ぐらいのような気がしますが、金利が上がると物件額が下がっても支払額は変わらないとも思いました。
加えて、実際にモデルルーム等も見てまわることで、賃貸物件と比較したときの分譲物件の建物性能・設備仕様の高品質ぶりを理解できたことも、購入を後押ししたように思います。(これは、分譲賃貸への入居でも得られた点かもしれませんが)
「中古ではダメだったのか?」と言われるとそこそこ難しいですが、(住みかえる選択肢も捨てないものの)長く住み続ける視点も必要と感じており、築年数が浅い状態でスタートできるのが望ましいという思いがありました。築20~30年になればしっかりと価格が下がるものの、どうしても見えない部分の劣化が進んでいる部分もあるのではないかと。まあでもここは、新築or中古を深く考えたというより、なんとなく新築物件を見始めているうちにそのまま決めてしまった側面もあるかもしれません。
なにより、「上記のような点について夫婦の認識が一致した」ことは重要でした。我が家の場合、私以上に妻の方がマンションが好きだし、上記のようなリテラシーも持っているように思います。ペアローン前提であれば特に、どちらか片方の意向で突っ走るのは難しく、丁寧に合意形成を図ることが重要だと思います。
物件選びの基準
スーモカウンター訪問から物件申込まで2週間というスピード意思決定の中で、5物件ほどMRを訪問しました。竣工済の現地MRに訪問する機会もあり、感覚を掴むことに役立ちました。
MR訪問を通じて、我が家なりの物件選びの基準・選好がわかってきました。ざっと書き出すと以下のような感じ。最後にこうした基準にマッチする物件に出会うことができ、購入に踏み切りました。
立地について
資産性を考えれば、予算の限界はある(わかりやすく言えば、億ションは無理)中で「狭くてもいいから都心部で買う(子どもが増えて限界が来たら郊外に住みかえる)」が1つの解になりそうですが、一定の広さが欲しかったので、郊外部に居を構えることにしました(とはいえ、通勤時間が長すぎるとしんどいので23区内に)。一人暮らしのうちから都心住まいではなかったし、実家との位置関係を考慮した部分もあります。
なお結果的に、ローン限度額からはわりと余裕がある物件を選びました。金利上昇にも無難に対応できそうだし、教育費や余暇に使えるお金も十分確保できそうと思っています。
駅から遠いのはしんどい。夫婦ともに帰宅が深夜になることが多々ある中で、バス便はNGだし、暗い・狭い道や急な坂道があるのも厳しいと感じました。これは、当初はそこまで重要視していませんでした(バス便でなければいいや程度でした)が、駅まで徒歩10分以上の物件をいくつか回る中で、改めて実感できたことでした。
駅遠を許容できるなら戸建でいい、というのもあるかも。
まだ20代なので、今後の状況しだいでは住み替えが必要になっても不思議ではありません。そのときに身動きが取れるように、資産性全捨てとはいかない、という側面もありました。
やっぱり、買い物環境はある程度あってほしい。深夜に帰宅したときにも行けるスーパーがあってほしい。また、わりと外食がちなので、飲食店も充実した地域がよいとも考えていました。
ハザードマップに色がつかないエリアがよい。先述のとおり、実家との位置関係も考慮して西側志向だった側面もありますが、それに限らず、災害リスク対策の視点は夫婦そろってわりと重視していました。武蔵小杉のタワマン浸水みたいな話はやっぱりしんどいなぁと。
同じようなエリアであっても、坂の上にあるのか下にあるのかでハザードマップに色がつくかは変わるし、地盤が強い・弱いもあります(=西側なら安全、みたいな話でもない)。各地域のハザードマップやJ-SHIS地震ハザードカルテ(下記)など、幅広く見ておくと安心感は得られると思います。
物件について
世間の常識に逆行する観点からいくと、大規模物件は夫婦ともにあまりハマらないと感じていました。似たような世代の人がたくさん集まってきて住むのはなんだか偏るなあという思いがあり、元々の地域コミュニティがある中に建てられた小規模物件のほうが自分たちにはなじみやすいと感じていました。維持管理における合意形成も、大規模だと大変そうという印象もあり。この辺はあまりうまく言語化できてませんが、夫婦ともに似たようなことを言っています。
1Fは避けたい(害虫・害獣対策もあり)。
日照はそこまでこだわらない。隣地建物とこんにちはでなければよいという程度。
ナロースパンとワイドスパンを比べてしまうと、やはりワイドスパンが素敵。
入居までの諸々
大まかな流れは前回記事でも書きましたが、各ステップについて一通り書いていきたいと思います。
MR見学
5物件程度のMRを訪問し、先述した物件選びの基準が見えてきました。いくつか見ていった中で最後に、我が家の基準にドンピシャの物件についてMR見学を行いました。
前回も記載したとおり、最終N戸で先着順となっていた「売れ残り住戸」のうち、モデルルームと同一条件の住戸で、下がり天井がないなど、条件は良い住戸がありました。また、先述のとおり、周辺の後発物件を見ると、大幅に相場が上がってきていることもわかりました。条件がよい住戸を掴めるのなら掴んだ方がよいと感じるに至りました。
申込~契約
上記を受けて申込をしました。この段階で結婚前ということもあり、まずは両実家への相談をしました。ハイスピードな意思決定でしたが、両実家にも納得いただくことができ、申込に至りました。
申込と同時に、ひとまずローン事前審査を通しました。婚約(未婚)でもペアローンの事前審査を通せる金融機関があってよかったです。
上記を受けて契約に至りました。手付金が必要だったわけですが、手持ちの現金で支払える金額に抑えていただけました。この辺りは、売れ残り住戸=デベロッパー的にもなるべく早く売りたいがゆえに進めやすかった側面もあったかもしれません。
なお、夫婦で収入に大きな差がないことから、持分は夫婦いずれも1/2ずつとしました。もし今後万が一離婚した場合には、基本的には売却する前提です(残債割れは生じない物件選びをしたつもり)。入籍前に契約するにあたっては、この辺りの話をドライにやれる関係性は必要かもしれません。
住宅ローン検討
契約にかかり事前審査を通しましたが、本審査に向けて改めて検討する必要がありました。ちょうど、途中にFP相談もありました(本当は契約前にやるべきなんでしょうけど、先述のとおり限度額にも余裕があったし、このタイミングでいいやということに)。
以下のような観点で検討しました。物件選び以上に悩んだ覚えがあります。無事に本審査も通過し、融資決定・(ローンの)契約となりました。
当初はリスクを抑えたい観点から固定金利を考えていましたが、最終的には変動金利にしました。
真面目に金利シミュレーションを行なってみると、変動金利の低金利が続いている(固定金利と変動金利で1.5%近い金利差があった)ことから、変動金利にして早めに元本を減らしておくほうが効果的なことがわかりました。
金利上昇時の影響もシミュレーションしてみると、バブル期を超えるような相当な金利上昇がなければ破綻しないように思われました。固定金利で高い利子を払い続けるよりも、その分をきちんと貯蓄・運用しておいて、金利上昇時に繰り上げ返済をして影響を抑制する方が望ましいのだと、自分で数字をいじって理解することができました。
FPからは「日銀短プラは1995年からほぼ変動がないし、2009年以降は一定。今の社会でこれを引き上げることも、説明がつかないし混乱が大きいので難しいだろう。そのリスクを気にして固定金利にするのではなく、変動金利にして万が一の金利引き上げに備えておくくらいでよい」という意見がありました。この意見を全面的に信用するのも危険だと思いますが、まあエビデンスに基づく意見という意味では一理あります。
"変動"金利といっても、基準金利からの優遇幅(引き下げ幅)は満期まで変更されないという点は大きいと感じました。金融機関同士の競争の中で引き下げ幅が非常に大きくなっており、大きな引き下げ幅を引いておくのはメリットがあるという話です。
あれこれ条件を変えてシミュレーションするには、住宅金融支援機構の住宅ローンシミュレーションが便利でした。
金融機関選びにあたっては、婚約(未婚)で通せるローンが限られていた側面はありましたが、メガバンク・ネット銀行いずれも選ぶことができました。最終的に、auじぶん銀行で組みました。
auじぶん銀行では金利上乗せなしでがん50%保障団信を付帯させることができました。まだ20代ということで、がん団信のために金利上乗せしようとは当時思いませんでしたが(今思えばやってもよかったかもしれませんが)、少なくとも金利上乗せなしでがん団信を付帯させられることはメリットと感じました。
三菱UFJ銀行も選択肢に入りましたが、auじぶん銀行をはじめとする多くの金融機関では金利見直しタイミングが半年に1回(4/1, 10/1)となっている一方、三菱UFJ銀行の場合は毎月となっています。日銀短プラがいよいよ上がるなどの変化があった場合に、すぐに金利に反映されるか多少は猶予があるかは重要と感じました(多少でも猶予があれば、繰り上げ返済なり借り換えなりの選択を取れるかもしれないので)。ここは1つの判断理由になりました。
auじぶん銀行のデメリットとして、日銀短プラに連動していないため、基準金利が変動するリスクは相対的に高そうです。ここはちょっと、状況を注視しておきたいと思っています。
内覧会 → 確認会
契約から1か月も経たないうちに内覧会となりました。図面に加えて、ネット上でいくつかの企業が公表されている「チェックリスト」も印刷して持参し、状況確認を行いました。「チェックリスト」はググって出てくるものを持参すればよいと思います。いくつか気になる箇所(手すり等の傾き、床や壁紙等の欠けなど)があったので、修正を依頼しました。真面目にやるなら、専門家に立会い同行を依頼してもよいのでしょうね。数万円でできるようです。
また、家具・家電購入のために、メジャーを持参して、ありとあらゆる場所の寸法を計測しました。縦・横・高さ、すべての箇所を測っておくのが重要と思います。下がり天井の位置や、窓の高さなども重要ですね。
2週間程度経った頃に確認会があり、内覧会で指摘した事項がいずれも修正されたことを確認できました。安心。
家具・家電等の調達
内覧会で確認した住戸内の寸法をもとに、あらゆる家具・家電を調達してまわりました。売れ残り住戸で竣工までに時間がなかったことからオプションのオーダーはできず、こちらで調達する必要がありました。まあでも、特に苦にはならなかったし、それはそれで全然良かったかなと思っています。
カップボードをオプションで入れられなかったのは若干痛かったですが、LIXILで別途オーダーしました。こちらは、入居後にある程度落ち着いてから行いました(それまでの間は、ニトリで買った仮の棚でしのいだ)。
融資実行・残代金決済 → 引渡し
あらかじめ決まっていた引渡し日当日、融資が実行され、そのまま残代金が決済されました。n千万円が一瞬だけ自分の口座に振り込まれ、そのままデベロッパーに自動で振り込まれていったのは、なかなか壮観でした。
その様子を見たうえでモデルルームに伺い、鍵の引き渡しを受け、お礼の御挨拶をしました。
引っ越しは鍵引渡しの2週間後としていました。ひとまずこの日は、一応物件に足を運び、直近のエアコン工事にかかる申請書を提出しておしまい。
入籍、引っ越し
鍵引渡しの数日後に入籍届を提出しました。めでたいことです。新居を本籍地として設定しました。
そしてその1週間ちょっと後に引っ越しました。引っ越し業者には夫婦それぞれが一人暮らししていた旧居をスタンプラリーしていただき、新居にて合流しました。これにて無事に、購入した新築マンションでの新婚生活を始めることができました。
住民票移動、登記手続き
引っ越し翌日、新居の自治体に住民票を移動しました。これ自体はまあよし。
で、住民票を移したことで、登記手続きが行なえることになりました。ただし以下のとおり、直前に入籍したことによる影響がいくつかありました。普通に考えれば、契約から入居・登記完了までの間に入籍するのは避けた方が無難なのでしょうけれど、問題なく対応できた事例ということで(※おそらく対応いただいた司法書士事務所の御厚意もあってのことなので、積極的に推奨はしません)。
契約時点から妻の苗字が変わった(我が家は夫側の姓とした)
→ 今後の齟齬を防ぐべく、新姓での登記を提案いただけた。新姓での実印を作成して登記した。役所内部で入籍の情報が反映されるまでに時間を要した。
→ 住民票の発行までに若干時間を要したが、上記の実印作成と併せて少々時間をいただいてクリアできた。
完走した感想(改めて)
こうして振り返ると、それなりの手続きをこなしたものだなと思います。「買ってよかった」と引き続き思っていますが、これを入籍前にこなすには、価値観がある程度一致している必要があったし、起こり得る状況を(うっかり「離婚したらどうする?」も含め)幅広く検討して決断する必要があるので、万人におすすめできる選択ではないかもしれません。
とはいえ、先送りにすることのメリットもそんなにないので、ある程度目線が合っているのなら検討する価値があるだろうと思います。「夫婦として人生を送っていくための最初のポジションをどうセットするか?」ということでもあるので。お互いが思い描く生活についてすり合わせる機会にもなるし、一緒に背負えるものを一緒に背負ってスタートラインに立つということでもあるのかなーと。
同様の状況にある人に、この記事が何か参考になればと思います。