【実録】とあるデータサイエンティストの転職活動 - 転職ってむずかしいね
こんにちは。なび(@navitacion)です。
突然ですが、私、転職することになりました。めでたい!!
なんとなく始めた転職活動で、人生2回目の転職でしたが、スキルや業務経験を持ってキャリアアップを目的とした転職は初めてでした。前回は未経験での転職。今回はスキルをしっかり見られた転職。同じような転職だけれども、どこか違うそんな感じ。なかなか難しかった...
はい!ということで、今回は現在データサイエンティストとして働いている私の転職活動をまとめていこうと思います。データやAIに関わる人間がどのような過程で転職していったのか、どんなサービスを使ったのか、どれだけの評価が得られているのか、結果どうだったのか、などなど公にできることを頑張ってまとめてみました。結果、非常に長文になってしまったので覚悟してお読みください...
本記事では以下のような項目でまとめていきます。最初の方は転職時のステータスやらモチベーションをまとめています。中盤では転職活動についてどういったツールを使ったのか、時系列でやったことなど事実ベースで書いています。後半はデータサイエンティスト転職の所感、ということで、転職してみて思ったことや感じたことをまとめています。
- 転職時の職歴
- 転職を考えるきっかけ
- 転職の結果
- 使った転職サービス
- 転職活動記
- 最近のデータサイエンティスト転職の所感(ポエム)
- 転職エージェントの存在
- カジュアル面談のすゝめ
- 業務経験とスキルセット
- Kaggleなどの競プロ経験
では早速、私の転職活動について語っていきます!
最後までお付き合いいただけたら非常に嬉しく思います!
はじめに
本記事は私自身が体験した転職活動をまとめたものになります。転職というものの特性上、一人ひとりのスキルセットや性格、志向性、求人のタイミングなどなど不確定要素が非常に多いです。なので、私自身の体験は「ふーんそうなんだー」とあくまで参考程度に捉えていただければと思います。私と似たような境遇の方がいれば、もしかしたら参考になるかもしれません。
本記事に関するご質問はコメントでもいいですし、Twitter(@navitacion)のDMでもお気軽にどうぞ!もっとこういうこと知りたい!とかあれば喜んでお答えします!
転職時の職歴
まずは私の職歴から紹介します。ざっくり書くとこんな感じです。
【大学/大学院】
地球科学分野専門。フィールドワークやらなんやら。
修士の頃は独学Rでなんちゃって統計解析で論文書く。
【1社目】
独立系ITベンチャーにてデジタルマーケティング受託業務を担当。Web広告の運用やらアクセス解析を担当。
プライベートでKaggleにのめり込む。Pythonはその時に並行して勉強。
↓(転職動機:もっと高度なデータ分析をやってみたい。。。!!)
【2社目】(現職)
AI系スタートアップにてデータサイエンティストとして業務を遂行。受託によるデータ分析から機械学習のモデル構築、クライアントへのソリューション提案など幅広く担当。
↓(転職動機:自分の市場価値は? サービスのグロースに関わりたい)
【3社目】(内定先)
メガベンチャーの機械学習エンジニア。
独立系ITベンチャーに新卒で入社し、デジタルマーケティングの受託業務を行う事業部に配属されました。Webサイト制作やプロモーション企画を手掛けており、私はその中のWeb広告の運用やアクセス解析をやっていました。広告運用データやサイトアクセスから売上や会員登録といったコンバージョンの最大化や、プロモーションなどの費用対効果を最大にすることを目指していました。具体的にはGoogleやYahoo!のWeb広告配信や運用、Googleアナリティクスを使ったサイト改善提案などです。
転職理由としてはもっと未来的なこと、AIや機械学習に触れられる環境に身を置きたい!という思いが高まったためです。この頃ちょうど本格的にKaggleに参加していたこともあり、機械学習の面白さにハマっていたのです。Pythonも学生の時からやっていたわけではなく、Kaggleのコンペに参加しながら勉強をするということをやってました。なので、プログラミング歴はそこまで長くないです。
当時Kaggleの実績はあまり良くなかったものの、未経験として現職の会社に拾ってもらい、今は機械学習モデル開発やクライアントへの技術提案などを担当するデータサイエンティストっぽい働き方ができるようになりました。前職と比較してエンジニア色が強めの業務内容になり、今まで趣味でしか使ってこなかったPythonを業務でも使うようになったり、今では欠かせないGitやDockerなどの技術を「なにそれ美味しいの?」状態から、きちんと使えるようになりました。
加えて、AIや機械学習プロジェクトの実務経験を多く積むことができました。前職で培ったクライアントの折衝や、Kaggleで活きたモデル構築力とソリューションの引き出し力、それらを武器にして様々なお客さんと非常に密度の濃い経験をさせていただきました。
ちなみに、現職に勤めながらKaggleも取り組んでおり、現在はソロ銅2のCompetition ExpertとNotebook Expertを保有しています。
転職を考えるきっかけ
現職では業務内容は満足しており、素晴らしい経験ができた環境でした。
では、なんで転職をするという決断に至ったか。
実は最初の動機は「自分の今の市場価値ってどんなもんなんだろう」という単純かつ素朴な疑問でした。初めから転職してやると思ってなかったのです。
市場価値を知りたいのになぜ転職?というと、過去に読んだ『NO RULES 世界一「自由」な会社、NETFLIX』という本の一節の影響を受けたからです。下記はその本に書かれている内容で、NETFLIXで社員の給料を決める一幕です。
社員に対し、人脈を広げて、自分とチームの市場価値を常に把握しておくよう指導する。そこには他社からの誘いの電話を受けたり、面接を受けたりすることも含まれる。その結果に応じて給料を調整する。
つまり、市場価値は会社といった閉じた世界での評価ではなく、社外すなわち「外部」からの評価で初めて分かるということです。そこで社外の評価を得るために手っ取り早いのが転職活動です。なので、私自身世の中的にどれだけすごいんだろう、というのを客観的に評価するために転職活動を始めてみました。
ちなみにですが、NETFLIXも社員に積極的に採用活動しなさいと呼びかけています。すごいですねえ。(ここまで言うのはNETFLIXだからだと思いますがw)
手前味噌ですが、この本めっちゃ良かったので読書ログ書いてます。よかったらこちらもぜひ。
業務経験を色々積んできた、Kaggleでも色々遊んできた、そういった経験に値段をつけるとしたらいくら位なんだろう、と気になったのです。まあ、今より高いんだったら転職してもいいかなーくらい。少し野心が出てきたんでしょうねw
とはいえ、転職というのは自分の人生を左右するくらい重要なイベントです。なぜ職を変えようと決断したのはまた別の理由があります。
その理由は、受託ではなくサービスのグロースに関わりたい、という強い想いです。
新卒から入った会社と現職どちらも受託での業務内容でした。クライアントへの課題解決や利益をもたらすために奮闘するというのは非常にやりがいがあり、責任感も大きいです。データの観点でいうと、テーブルデータや画像、テキストなど様々な種類のデータを扱うことができました。飽き性の自分でも満足した環境でした。
ただ、様々なプロジェクトに関わっていくにあたり、「自分がやってきたことが本当にお客さんやエンドユーザーのためになっているのか」というのが見えてこないというのが気になりました。受託あるあるだと思いますが、やってきたことがよかったのか悪かったのかのフィードバックがどうしてもぼやけてしまいます。(もちろんプロジェクトが走っている場合はフィードバックありますけど、プロジェクトが終わったらその話は終わり、ってなってしまいがちです)
また、ビジネスモデルの構成上クライアントの影響力は大きいです。どんなに頑張って作ってきたモデルや要件定義などがクライアントの一声で白紙に戻ることも多々ありました。正直これは受託では避けられないものだと思っています。
そのような中、自分のアウトプットがしっかりと反映される。そしてそれがリターンとして手応えを感じられる環境で仕事がしたい。そういった思いが高まったというのが転職決断の後押しをした、と思っています。
受託をやっていると一度は事業会社に憧れますよね。私もそのクチですw
転職の結果
さて、私の現状やバックグラウンドを述べたところで、本題の転職活動結果です。
【転職活動成績】
内定:1社(メガベンチャーの機械学習エンジニアポジション)
面接お祈り/辞退:5社
書類選考お祈り:4社
カジュアル面談のみ:5社
【転職活動期間】
2021年1月上旬〜2021年4月上旬(約3ヶ月)
計15社ほどコンタクトを取り、メガベンチャーの1社から機械学習エンジニアポジションにて内定をいただき、そのままオファー承認をしました。転職期間は今年1月から始め、内定をいただいたのが4月上旬、だいたい3ヶ月くらいかかりました。
内定は1社のみとだいぶ苦戦を強いられましたが、私個人としても最もベストな転職先だったので、結果非常に満足です。仮に複数内定があったとしてもここに決めていたかなと思います。ただまあ本音言ってしまうと、もうちょっと内定取れたんじゃないかな、、と思ってたので世の中そんな甘くないんだなと感じましたw
転職活動期間について、世間的に見ると3ヶ月というのが長いのか短いのかわかりませんが、始めは転職自体に消極的であったこともあり、カジュアル面談が多めでした。人によってはもっとスムーズに進められるのかなと思います。
報酬ですが、現年収からプラス200万円となりました。このあたりは自分の経験が評価されたのか(分かりませんが)素直に嬉しかったです。
使った転職サービス
世の中数多ある転職サービスのうち、今回の転職で使ったサービスは以下の通りです。
ビズリーチ
言わずとしれたハイクラス向け転職サイト。今回最もお世話になったサービス。職務経歴を充実させ、エージェントや企業からのスカウトを待つスタイル。非常にありがたいことに数多くのスカウトをいただくことができていたため、よく利用させていただきました。他のサービスと比較して様々なエージェントとの接点を作ることができ、転職活動の幅を広げるという意味で最も効果が大きかったです。私の場合は基本プラチナスカウトのみ対応してればいいと思っているので課金せず使わせていただきました。
Wantedly
「はたらく」を面白くするビジネスSNS。もちろん転職にもしっかり活用。といってもビズリーチと同じで職務経歴を充実させた受け身の体制で利用。複数社からお声がけいただきましたが、面談にまで至らず終わってしまいました。こちらの方がエージェントとの絡みがあまりないので、企業と直接繋がりたい場合は積極利用がいいかも。今回の転職ではあまり利用できませんでした。
世界で一番有名なビジネスSNS。有名だったからとりあえず登録だけしました。同じように職務経歴を充実させた受け身の構え。意外にも結構な数のスカウトいただきました。日本に閉じていないため、外資系企業とのコンタクトが取りやすい印象がありました。外資を視野に入れているのであればLinkedinの利用はマストかと。
LAPRAS
TwitterやGitHub、Qiitaなどいろんなサービスを統合し自分だけのポートフォリオを自動作成してくれるサービス。恥ずかしいことに転職活動してから存在を知りました。。。ポートフォリオを簡単に作ることができるので、自分の技術スタックやアウトプットがまとめられるのは非常に嬉しいですね。企業からのオファーはもちろん、LAPRASの求人から「興味があることを通知する」で貴社に関心あるよ!って伝えることができます。企業はどのように見ているのか分かりませんが、興味があると通知した企業から幸いにも連絡をいただきカジュアル面談、選考に進むことができました。
ちなみにポートフォリオはこんな感じでまとめてくれます!
転職ドラフト
典型的な逆求人サービス。オファーと同時に年収が掲示されるのが特徴です。今回の転職活動で初めて利用しましたが、職務経歴が結構重め。運営側からちゃんとレビューされており、内容によっては参加すらできないそう。ある程度実績を積んだ人だと自分の市場価値がダイレクトに反映されるためやってみると面白いです。自分は1社オファーいただきましたが、その頃すでに内定を得ていたため辞退しました。
今回の転職ではいろいろなサービスを使って活動をしていました。上述しましたが、最もヘビーに使ったサービスはビズリーチです。活用した転職エージェントや内定先との接点もビズリーチ経由でした。ハイクラスを謳っていることもあり、求人やエージェントの質は比較的高い印象を受けました。特にビズリーチの回し者ではないですけど、転職を視野に入れている場合はとりあえずビズリーチ登録しておくといいかもなあと思いました。
転職活動記
さて、ここからは約3ヶ月間の転職活動について時系列でまとめていこうと思います。
転職開始時期(2021年1月)
職務経歴書を作り込んでビズリーチに登録。色々とスカウトを受ける過程で転職エージェント2社に話を聞く。比較的コンタクトを密にとったエージェント(Aとする)と、そこまで積極的にコミュニケーションとっていないエージェント(Bとする)との二大布陣で挑んだ書類選考。A経由では全通過、B経由では全落ちという明瞭な差が生まれ、転職エージェントの質はピンキリと実感。ここでBとは自然消滅し、Aとは定期的にコミュニケーションを取る仲に。
他にも企業の採用担当からの直接スカウトなどがあれば優先的に話を聞くなどを行いつつ、まずはざっくりと情報収集がメイン。カジュアル面談や書類選考がほぼ全体を占めていた。
落ち着いたタイミングで「Wantedly」や「LAPRAS」などのサービスに登録し、ビズリーチの職務経歴を流用。Googleドキュメントなどに職務経歴をまとめておいて、いつでも更新できるようにしておいた。
選考開始期(2021年2月)
1月でカジュアル面談を行い、面白そうな企業に応募、書類選考が通過した企業との選考が開始。人生初の技術課題に取り組む。技術課題は会社によって形式が大きく異なる。コーディング試験のCodilityを使用したものや、ダミーデータが渡されて予測モデルの構築や施策の効果検証をレポーティングするみたいなものなどがあり、基本はPython、Jupyterを使えることが前提。提出期限はどの会社もだいたい1週間程度。一般的なデータ分析やモデリングができるか、第三者から見てわかりやすいコードで書かれているのかなどが重視されているようであった。
初めての技術課題だったので、制限時間ギリギリまで粘って取り組んだ。そのため、他の選考に進んだり面談などはあまりできなかった時期であった。
転職活動終盤(2021年3月)
技術課題の結果も出揃い、順調に選考が進んでいく会社もチラホラ出てきた。この頃に新しくやったこととしては、求人の幅を広げるために「Linkedin」、Twitterで見つけた「転職ドラフト」それぞれに登録。
転職ドラフトは前述の通りレジュメがかなり重めだが、どの企業が自分のページを見ているのかが確認できるため面白い。まだまだ自分の実績が不十分であることを痛感。最終的に1社からオファーをいただいたが辞退。
Linkedinは英語で登録すると意外と国内外から声がかかる。2社ほどエージェントとコンタクトを取ったものの、カジュアル面談の段階でお断り。今回はしっかりと使い込めなかった。選択肢を広げるという意味でも、初めからしっかりと使って見たほうが良かったと反省。
この頃の選考状況は毎週3社くらい面接を行い、業務の合間を縫ってオンラインで会話。カジュアル面談の頃から基本的にオンラインでの面接なので、場所や時間に縛られずに受けられるのはものすごく良かった。このあたりは人によると思うけど、個人的にはお互いの人となりや空気感は十分伝わったように思えたので、なんで今までオンラインを積極的に採用しなかったのかが不思議だったくらい。下旬には内定をいただき、そのまま受諾し転職活動を終了。最初から最後までリアルで会わずに内定まで至る結果となった。
最近のデータサイエンティスト転職の所感
ここまでは事実ベースで実際にやってきたことをまとめていきました。まだまだ書ききれないことたくさんあるんですが、今回はこの辺でw
ここからは転職活動の過程で思ったこと感じたことを赤裸々に書き綴ってみます。サンプル数が1で主観モリモリなポエムなので、あくまで参考として眺めてみてください。
転職エージェントの存在
転職経験がある方のほとんどは転職エージェントと関わったことあると思います。転職をしよう!って思い立ったらまずは転職エージェント、という共通認識があるのかなと思います。今回の転職活動でも転職エージェントを利用しましたが、実際に利用してみて感じた感想は下記の通り。
転職エージェント、いらなくね?
転職エージェントのメリットは巷でもよく知られている通りで、ここで繰り返し述べてもしょうがありません。なのでなぜ、いらないと判断した理由についてフォーカスを当てます。
理由は至極単純で、こちらが想定している業務内容や職種とエージェントが推薦する業務内容に大きなズレが生じていた、からです。
より具体的に言うと、いわゆるデータ人材がごっちゃに扱われているという印象です。例えばモデル開発がしたい機械学習エンジニアや意思決定を支援するデータアナリスト、データ基盤を整えるデータエンジニアみたいな職種が同じようにレコメンドされる。これがJob Descriptionで書かれていればまだ良いのですが、面接する際に明らかになった場合は「あれ、なんで面接してるんだろう」って我に返り、ただの時間の浪費です。
特に多かったのは、モデル開発に携わりたい!って言ってるのに、BI設計やらデータ基盤構築などの業務求人が舞い込んでくることです。
確かに、データ人材の職種ってよくわからなくて、企業や人によって定義が全く違ったりします。ぶっちゃけ私もよくわからないです。業界にいる人でも意見が異なるくらいなので、転職エージェントは理解している人は全くいないと言っていいと思います。
なので、自分のやりたいことがある程度はっきりしているのであれば、初めから企業に直接アプローチする、もしくは企業からのスカウトを受けてみる方が有意義な結果になるでしょう。内定をいただいた会社も転職エージェントを通さず選考を進めました。
加えて、もうひとつ。転職エージェントの質は本当にピンキリだということ。キャリアプランを一緒に考えてくれたり、企業とのコンタクトが強かったりするエージェントだと良いのですが、とりあえず職務経歴書を要求して求人募集を受けてみましょうかと急かすエージェントもいます。これはまあよく聞く話です。
さらに、この業界特有な現象だと思いますが、書類選考時にエージェントが企業に対してしっかりと推薦できずお祈りをもらうという例が起きかねます。サポートしているはずが逆に足を引っ張っていたというパターンです。前述したデータ系の職種の分かりにくさがそれを助長しており、これはまあ正直仕方ない。私が利用した書類選考全落ちのエージェントBはおそらくこの例なのではと感じました。
もちろんこれはなんのファクトもなく、ただの妄想でしかないのですが、十分に考えられることなのではと思います。転職エージェントと直接応募の有利不利とかはいろいろな人がいろいろな視点で語られているので、情報を集めてみるといいかもしれません。
まとめると、やりたいことがある程度固まっている(データアナリスト・機械学習エンジニアなど職種でイメージがつく)場合はあえて転職エージェントを通さないことをおすすめします。理想は企業からの直接のコンタクトで、初めから企業の担当者と繋がっておいたほうが確実です。とはいえ、全くエージェントを使わないというのもまあまあ冒険なので、自分で情報を取りに行く気概がある方がいいですよ!って感じですかね。今後、データ人材の一般化が進めば、専門エージェントが誕生するかもしれませんが、現時点ではあまり期待できないです。
カジュアル面談のすゝめ
カジュアル面談とは、求職者と企業がお互いを知るために行う面談であり、選考とは関係なく一般的には応募前に行われます。ビズリーチなどのサービス経由で「まずはカジュアルに話しましょう」とお誘いいただくことが結構あります。選考とは関係ないものの、カジュアル面談を重要視していると公言する企業もあるそうです。実際にテック系企業はほとんどやっているんじゃないかなと思います。
ここで言いたいことは下記です。
カジュアル面談、めっちゃ重要!
選考受ける前には絶対やったほうが良い!!
転職開始期は情報収集がメインだったので、カジュアル面談をたくさん行いました。きっかけは転職エージェントから紹介される場合もあれば、採用担当者からのスカウトの場合もあります。今回の転職においてもカジュアル面談は非常に効果的に働き、転職活動を行う上で積極的に実施した方がいいと感じました。
カジュアル面談は何が良かったのか。
1. 企業のリアルな内情・本音が分かる
企業の担当者から直接お話を伺えるので、企業が抱いている「課題感」をヒアリングできます。企業視点で見ると、転職活動は課題解決方法の一つです。単純にリソース不足なのか、新しい事業を立ち上げるためなのか、などJob Descriptionでは見えにくい素直な声を聞くことができます。
求職者に対してどういうことを期待しているのか、それが自分のスキルセット、やりたいことの方向に近いかどうかというところをすり合わせるだけで、だいぶイメージできます。
特に職種と業務内容がよくわからない業界だとなおさらで、
「職種は機械学習エンジニアって書いてあるけど、社内外でのコミュニケーションがめっちゃ必要!」
「データサイエンティストって言われているけど、効果検証やBIツールを使った意思決定支援がメインで、機械学習などのモデル開発はほぼやらない」
というようなその会社における「職種の定義」を把握することができます。これが非常に重要だと思います。というか、これがイメージできないとカジュアル面談の意味がないと思っています。あなたが想像する「データサイエンティスト」と企業にとっての「データサイエンティスト」は必ずどこかズレていると思った方が良いです。どんなに詳細なJob Descriptionが掲示されていたとしても話を聞いてみることをおすすめします。
2. 別の部署の求人を紹介してくれる可能性がある
これは企業によるとは思いますが、カジュアル面談の場だからこそ発生するイベントだと思います。
カジュアル面談の過程で「あ、やっぱり合わないな」と思ったとしても企業側から「実はこういったポジションも募集しています」といった提案を受けることがあります。転職エージェントの提案と異なり、企業の内情を知っていて、かつ求職者のスキルに合った内容である可能性が高いため、マッチする確率が比較的高いです。加えて、こういう求人は表に出てこないこともあるため、これだけでも面談する価値はあると思います。かくいう私が内定を決めた会社もまさにこのパターンでした。
もちろん、実際の選考過程で別のポジションを紹介される場合もあるそうですが、間に追加の採用プロセスが発生したり、最悪の場合やり直しになったりすることもあるそうです。ロスを減らす意味でもカジュアル面談の段階でしっかりと固めていったほうが良いのかなと思います。
3. 書類選考を同時に走らせてくれる可能性がある
これ、実際にありました。カジュアル面談が終わったタイミングで下記のような通達があったのです。
正式に応募いただく際は書類選考免除にて対応させていただきます。
みたいなことが。
カジュアル面談を行うにあたり事前に職務経歴書や履歴書を提出するのですが、その時点で書類選考が行われていたということです。
こう書くと「カジュアル面談のくせにしっかり選考やるの!?」って思うかもしれませんが、安心してください、逆は起きません。つまり、カジュアル面談受けた後に求職者に向けて「お祈り」なんかはされません。応募する前であれば、企業から見たら求職者はまだお客様の段階なので、基本は受けてほしいのです。
つまり、カジュアル面談の時から書類選考免除ということは高い評価を受けている可能性が高いです。選考もスムーズに行く可能性が高いです。何より直接書類選考免除って直接言われたら結構嬉しいですよw
こういった棚ぼた的なものも期待できるという意味でも積極的にカジュアル面談を行っていくと良いかもしれないですね。
業務経験とスキルセット
面接時の質問や評価されるスキル・経験などから、業界的に何が必要とされているのかが何となく見えてきます。ここでは、転職活動してきた経験からどういう人材が求められているのか、ということを考えていきたいと思います。なお、私の場合はAIプロジェクトにおける業務経験がいくつかあるため、全くの未経験での転職ではないということをご留意いただければと思います。
業務経験
まずは業務経験、という視点で考えてみます。業務経験に関連した質問は以下のようなものがありました。
プロジェクトを進める上で困難だったことは?
モデルの運用フェーズで工夫したことは?
プロジェクト開始時にしっかりと抑えておくポイントは何だと思いますか?
他にも色々質問されましたが、記憶に残っているのは上記の通りです。
共通していることとしては、「モデルを作れるのは当たり前で、プロジェクトや課題に対して適切なアプローチができているかどうか」「実運用の経験があり、その困難さを理解した上で適切な行動ができるかどうか」というところです。
具体的に言うと、不均衡データに対する対策や、リテラシーが低い人に合わせたコミュニケーション、モデルの定期的なメンテナンスについてなど、実業務を意識した質問が多い印象でした。
このあたりについては、resistance0108さんの転職記事でも言及されているため、業界全体の動きなんだなあと感じました。resistance0108さんの転職物語も最近の傾向を反映した素晴らしい内容だったので、読んでない方はぜひ読んでみてください!
スキルセット
続いてスキルセットですが、選考フローにある技術面接と技術課題それぞれで見られているだろう項目をまとめてみました。
技術面接
技術的な質問を中心とした面接
業務経験をベースに展開される場合もあれば、こういうデータの場合はどう処理すべきかどうかなどのケース問題、最近のトレンドなど
技術課題
指定された課題をPythonなどのプログラミング言語で解く
期限内に解くパターンや面接しながらライブで実施するパターンもある
データが渡されてモデルを構築したり、施策の効果を評価するみたいな実践的な内容
技術面接ですが、面接フローの一つに「技術面を重点的に聞くよ」ってアナウンスがあれば十中八九それになります。もし不安ならば、選考フローについて人事の方に聞いてみるといいでしょう。多くの場合は最初の方で実施される傾向があります。質問の内容は統計や機械学習の基本的なことが多く、モデルの実装経験があれば答えられると思います。後述しますが、KaggleやSignateなどの経験をおりまぜながら話せると高い評価をいただくことが多かったです。
技術課題は(当然ですが)企業によって形式や求めていることが全く違います。なので、試験対策みたいなことはできないので、対策を考えるだけ無駄かなと思います。強いて言うなら、ただ単純に課題を解くだけではなく、第三者から見てわかりやすいコードを書けているかどうか、は重要なポイントだったように思います。
やってみると分かりますが、個人的には課題を通して企業側が見たいポイントがわかったら嬉しかったなあという印象です。
例えば上のツイート例で言えば、必要最低限の内容でまとめ、誰が見てもわかりやすい資料が求められているのか、多種多様で高度な分析を使いこなせる技術力が求められているのかでアプローチが変わりますよね。今回の課題設定だと前者のアプローチが適切のように思えるけど、技術課題で見たいのは後者の方なんじゃないか。。?なんて思ったりするので、その辺どうなんだろうなあと。
もっと大事なこと
業務経験やスキルセットはもちろんのこと、実は採用に至るまでもっと重要なことがありました。それは転職先企業のカルチャーにフィットしているかどうかです。カルチャーと言うとややわかりにくいですが、端的に言ってしまうと、
企業が掲げるミッションやバリューに共感できるか
ということです。選考フローの多くは、最初に技術周りの確認や業務経験などを見て、最終面接などでカルチャーに合うかどうかを確認する傾向が強いです。もちろん会社によって全然違うと思いますが、どの会社も組織力を強めていくにあたり意識しているはずです。
ちなみに、内定をいただいた会社はこのカルチャーフィットを非常に重視しているようで、どんなに能力が高くても、長期的に一緒に働きたいと思えないのであれば容赦なく落とす、と述べていました。
この辺が転職活動の難しいところで、恋愛に似ているというところの所以なのでしょうね。この辺の対策は難しい、というかあえて対策せずに自然体の姿とそれに合うカルチャーの会社を探したほうが幸せになれる気がします。
Kaggleなどの競プロ経験
Kaggleなどの競プロの経験が転職活動にどのように活きたかをまとめてみます。熱心な競プロerの方はKaggleやSignateなどの各種サービスにて称号を保有しているかと思います。この称号は転職でも強力に働きました。企業によってはメダルの色やソロ or チーム、現在も何かしらのコンペに参加しているか、コンペの種類(テーブル・画像・自然言語といったデータタイプ、予測分類・物体検知・生成系といったタスク)などより詳細な情報を聞かれました。
自分が受けてきた中で、特に評価されたように感じた項目は、現在も挑戦しているステータスであることと、参加したコンペの種類が豊富であるということでした。つまり、新しいことにチャレンジしているところは評価ポイントなのかなと勝手に思っています。まあGMやMasterの場合はまた違うのかもしれませんが...w
なので、称号があってもなくても競プロの実績をアピールすることはプラスに繋がることが多いです。ちなみに、最近の転職エージェント界隈でもKaggleは一般的になっているので、意外と話が通じます(Expertすごいっすねって言われましたw)。経験があれば積極的にアピールしておきましょう!
ただ、前述の通り最近の業界ニーズとしては業務経験の有無が結構強めです。書類選考や技術面接などの最初のつかみでは有効ですが、あまり過信しすぎないほうがいいのかなと。どういうソリューションでやってきたのか、コードをわかりやすく書いているのか、みたいな業務に直結しそうなことを説明できるようにすると良さげでした。
余談ですが、終わったコンペの結果をGitHubで公開しておくと、意外と採用担当者が見てくれてたりします。私の場合そこまでキレイにまとめてなかったのでプラスに働きませんでしたが、ソリューションをまとめるくせをつけておくと良いかもしれません。(自戒の念を込めて......)
まとめ
いかがだったでしょうか。今回、現役データサイエンティストが転職してみた体験記をまとめてみました。AIプロジェクトの業務経験やKaggleの実績を武器にした転職活動でしたが、非常に学びのある経験ができました。
内定は1社のみと思ったほど苦戦を強いられました。業界全体のニーズとして業務経験が重視されていることが痛いほどよく分かりました。私自身、業務経験があると言えど、プロジェクトの量や質、それを担保するための関連領域の技術スタックはまだまだ足りていなかったと思います。もちろん、全てをカバーすることはできないので、プロジェクトで得られた経験や教訓などをしっかりとまとめる癖をつけておく、そしてそれをわかりやすく説明できるようになると非常に良いと思います。転職だけでなく、実際の業務をやる上でも役に立つでしょう!また、Kaggleを始めとする日々のアウトプットの継続と、それを第三者目線でわかりやすくまとめておくことや、丁寧に説明できるようにしておくというのも重要なことだと感じました。
反省点として、選考に進んだ段階で想定していたポジションとミスマッチしていた例が非常に多かったです。カジュアル面談の大切さと、転職エージェントへの過信は良くない、ということが教訓として残りました。業界特有のわかりにくい職種体系だからこそだと思いますが、エージェントに任せた受身の姿勢よりも自分で情報を取ってくる攻めの姿勢のほうが良い結果に結びつくのではないかなと思います。次にもし転職をするってなったらTwitter転職やってみたいなあと。(結局使い物にならなかったのでw)
この記事が何らかの形でお役に立てるのであれば、非常に嬉しく思います。最後まで長文にお付き合いいただき誠にありがとうございました!ご質問などあればお気軽に連絡くださいー!(Twitter: @navitacion)
それでは!
TOP画像:Photo by Marten Bjork on Unsplash
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