ベーシック・レポート・アワード2019 【イベントレポート】
こんにちは。note編集チームです。
2019年10月6日、東京理科大学神楽坂キャンパスにて「ベーシック・レポート・アワード2019」が開催され、当アワードの発起人メンバーの一人である弊社CIO奥野が表彰式、およびパネルディスカッションに登壇しました。
本日はその内容をレポートしたいと思います。
(佐渡島さんの講義続編を楽しみにされている方は申し訳ございません。次回以降の更新にご期待ください)
アワードの趣旨
「リサーチの力を日本の価値創造に活かしたい」という想いから、株式会社バリュークリエイト佐藤氏の呼びかけで始まった「ベーシック・レポート・アワード」は、昨年に続き今回で2回目の開催となりました。
当アワードの運営・審査は、発起人メンバーである佐藤氏、みさき投資の槙野氏、東京理科大大学院の若林教授、奥野の4名により実施され、「長期的な視点から業界や企業を分析し、投資家に洞察を与えるレポート(=ベーシック・レポート」を作成したアナリストを表彰します。
短期志向の投資家が多くいるためか、アナリストレポートの多くは、四半期ごとの決算速報等の短期的な業績動向にフォーカスしたものになっていると感じます。一方で、今回表彰されたレポートのように、企業の歴史から経営理念、産業構造、競合環境といった観点から洞察に富むレポートを作成するアナリストもいます。
我々としても、このような長期的な視点でレポートを作成するアナリストを表彰し、応援することは、日本に長期投資を根付かせる一助になるのではとの想いがあります。
表彰結果
今回表彰されたアナリストは以下の通りです。
期間限定(2020年1月6日まで)ではありますが、以下のリンクからどなたでも受賞したレポートを閲覧することができますので、ぜひご覧ください。
【優秀賞】
山田幹也、山本義継、堀雄介
「5G投資の論点整理:ミリ波5Gの普及で本当に『世界が変わる』のは『まだ先』」
佐々木翼
「ダイキン工業:ダイキン工業は砕けない。特許分析からみる強さと経営課題」
【特別賞】
佐藤和佳子
「トイレタリー・化粧品セクター:ワカコの兵法~七計で日本の美に投資せよ」
菊地正俊
「日本企業の資本コスト意識は高まったか?:改訂コーポレートガバナンス・コードのコンプライ状況の分析」
【奨励賞】
楠木秀憲
「総合商社の投資戦略:資源・非資源の問題ではなく、競争力を活かし存在意義を示せる会社を評価」
※レポートの閲覧はこちらから
事業を見る目
また、後半のパネルディスカッションでは、当アワード運営メンバー4名と今回受賞したアナリスト数名に加え、レオスキャピタルワークスの藤野氏、みずほ証券エクイティ調査部長の渡辺氏を交えてパネルディスカッションを行いました。
我々は、プロフェッショナルなアナリストが持つ「事業の経済性を見極める能力」は、自分自身が所属している組織がセルサイド(※1)なのか、バイサイド(※2)なのか、事業会社なのか、或いは自分自身が経営者なのか、従業員なのかということとは関係なく必要とされる能力であり、このような能力を持つ人材はどのような組織に属していたとしても価値を生み出すことができると考えています。
そして、このような人材が能力を存分に発揮するために組織に求められるのは、イノベーティブな製品を世に送り続けている米国3M社の「15%カルチャー(※3)」のように、能力を持った人材の邪魔をせず、応援する仕組みを持つことではないかと考えています。
※1:証券会社の仲介部門のように顧客に株式等を推奨し買ってもらう立場。
※2:運用会社のように自身の判断で株式等を買う立場。
※3:3Mの技術者は自分の時間のうち15%は自分の好きな研究に使うことができ、上司に報告する必要がありません。このような仕組みの下で醸成される技術者の創意が次々とイノベーションを生み、結果として当社の売上高に占める5年以内新製品比率は30%以上にのぼります。