子供に魚の釣り方を教えよう~お年玉から始める投資教育 パート1~【イベントレポート】
皆さん、こんにちは。NVIC note編集チームです。
弊社では昨年12月にオフィスを移転し、装いも新たに運用に情報発信にと取り組んでいるところです。
新オフィスには狭いながらもイベントスペースも設け、「長期投資の学び場」として、ファンド受益者様から投資初心者さんまで、様々な形で皆さんとの接点を作っていきたいと考えています。
去る1月、第一回として、お子さんをお持ちの主婦の皆様を中心にお集りいただき、お年玉をきっかけに投資について考えていただく企画を開催しました。
外部講師として、自身も3人のお子さんを育てながら、親子や子供向けの金融教育に取り組まれているファイナンシャルプランナーの田端沙織さんにもご登壇いただきました。
今回から4回に分けて、このイベントの模様をお届けしたいと思います。
なお、田端さんとは先日奥野が登壇させていただいたこちらのイベントに参加していただいたことをきっかけに知り合いました。長期投資の普及という同じ志を持つ皆様とのご縁に、この場を借りて感謝申し上げます。
自己紹介
皆さんこんにちは。今日はお越し頂きありがとうございます。
ファイナンシャルプランナーと、子供と親子向けの金融教育の講師をしております田端沙織と申します。どうぞ宜しくお願いします。本日のテーマですが、1月ということで「お年玉の有効活用術~子供と考えるお年玉の使い方~」についてお話をさせて頂きます。
まず簡単に自己紹介ですが、私、元々は証券会社に長く勤めていました。あと運用会社にも少し。10年以上、営業やお客様の対応業務をしてきました。現在はファイナンシャルプランナーとしてFPサテライトという会社に所属しております。ここは保険や金融商品などを販売しない中立的な立場の会社で、お客様の家計相談に乗ったり、お金に関する記事を執筆したりしています。
もう一つ「キッズ・マネー・ステーション」って聞いたことある方いらっしゃいますか?いらっしゃらないですかね。これは10年以上前から親子向けの金融教育をしている団体で、キッザニアオープンの際は金融教育パビリオンのアドバイザー業務などを行った所です。この団体の認定講師として小学生中心にお金との正しい付き合い方や、お小遣いを親子で話し合って会議して決めてみようとか、投資教育などもしています。
私は鎌倉市の出身で今は隣の逗子に住んでいますが、皆さんと同じ子育て中の母親です。今、小1と年中と1歳の3人の子供を、普段すごいバタバタと、仕事をしながら育児もしています。自分も子供達を通じて、色々とお金についての実験じゃないですけど、子供たちとお金について話しながら、普段の金融教育の仕事にも実体験を活かしているような状態になります。
子供に「魚の釣り方」を教えよう
早速本題ですが、お年玉の活用方法についてお話します。最初に結論から言うと、子供のうちからお金の使い方、特に投資という使い方を理解するのはすごく重要です。
なぜかというと、子供の頃からそうやって投資という働く以外にお金を得るという方法も知っていると、選択肢が増えますし、投資をすることによって会社や世の中のことに興味を持ったりします。
普段目にする、例えばお菓子の会社などに注目し、なんでこの商品はすごく売れているのだろうとか。街ですごく人気で行列ができているお店があるけどなんで流行っているのかな?という風に、経済やビジネスに興味を持つきっかけになるんですね。
あと今ちょうど1月でお年玉の時期ですよね。皆さんのお子さんでももらった子が多いと思いますが、大きなお金であるお年玉について、たぶん皆さん全部好きに使っていいよっていう風にはならないですよね。なので、お金とその使い方について、子供と一緒に考えてみる。その一部を投資という使い方もあるからそれについて考えてみましょう。すごく良いきっかけになります。
親にとって子供に投資を教えることは、例えると魚を与えるのではなくて魚の釣り方を教えることなのではないかな、と思います。お金を与えて使ってしまったら終わりですけれど、お金の増やし方である魚の釣り方を教えることは、子供たちが大人になったときにすごく大事です。
お金の4つの使い方
今日ブタの貯金箱を持ってきました。これは私の長男が実際に使っているものですが、ピギーちゃんといいます。これには4つの投入口があって中に仕切りがあります。4本の足もそれぞれ入り口に対応してお金が出るようになっています。これはそれぞれ「お金の4つの使い方」を表しています。
1つ目が将来のために「ためる」、2つ目は今欲しい物を買うために「つかう」、3つめの「ゆずる」というのは、例えばおじいちゃんおばあちゃんに何かプレゼントを買ってあげるなどです。人のために使うお金です。最後の仕切りは今回の話の大きなテーマ、投資をして「ふやす」。
ピギーちゃんはもともとアメリカ生まれで、アメリカではこの4つのお金の使い方という考え方が広く理解されているようです。でも日本だと、貯金箱もそうですし、たぶん皆さんの銀行口座なんかを考えてもらっても、このうちの「ためる」と「つかう」がごっちゃになった入り口が1つあるだけですよね。
お年玉は金額が大きくてお金の使い方について考える良い機会なので、是非この4つの使い方についてお子さんと一緒に考えてみて頂ければと思います。もちろん普段のお小遣いでもいいです。
『他にも「ゆずる」もあるし「ふやす」っていう使い方もあるよ。今回、お年玉を全部で2万円もらったけど、どこにどれくらい入れるか一緒に考えようか』という感じで活用して頂けたらと思います。
日本ではお金について学ぶ機会が少ない
日本でお金の教育はほとんどされていません。他の国の例を見てみると、イギリスだとすでに2014年から小学校で義務教育として行われています。日本でも義務教育とまではいかないですが、もうちょっとお金に関する授業が増えたらいいなと願っています。
アメリカは義務教育ではないですが、NPO団体が主に講師を学校に派遣して経済や金融に関する情報を提供しています。また、アメリカ人は基本的に投資経験が豊富な親御さんが多いので、家庭で子供にお金について教えるのは当たり前で、きちんと家庭内教育がされているみたいです。
では、日本はどうか。日本もそろそろ政府がこのままではマズイと思っているようで、2022年から高校の家庭科の授業で投資信託に関する授業が行われる予定になっています。
これは何を表しているかというと、結局は自助努力、特にこれからの高校生には必要ですよね。益々長生きになる中で年金がたぶん減ることはあっても増えることはないと予想されますし、早いうちから資産形成に取り組むことが大事なので、まずは投資信託の授業が始まるようです。まだどれぐらいの授業数でどの程度やるのかについては決まっていません。
また、子供だけでなく、私アラフォーなんですが、私達世代も結構投資して自助努力するなり何かしら考えて対策をしないと、将来困った状況になるので、皆さんも是非お子さんと一緒に、もし投資を始められてない方がいたら選択肢の一つとして考えて頂けたらなと思います。
【スピーカー紹介】
田端 沙織氏
FP サテライト株式会社 ファイナンシャル・プランナー
鎌倉市出身、逗子市在住。2男1女を育児中。
大学を卒業後、FP2 級を取得した際、資産運用の楽しさに開眼し証券会社に勤務。10 年以上お客様にまごころ込めて対応していたが、会社とお客様の向いている方向が違う事にモヤモヤを感じる。
現在は、お客様と自分が同じ方向を向くことでお金や将来の不安が少しでも減るよう、中立的な立場のFP として活動中。また、「キッズ・マネー・ステーション認定講師」として子供、親子向け金銭教育講座を開催している。