動揺のくまさん
男:今の自分は「もりのくまさん」なんです。
女:「もりのくまさん」
男:そう。
女:童謡の、くまさん
男:そう。童謡のもりのくまさん。
男:あの歌詞、なんかへんでしょう。
あーるーひ、もりのーなか、くまさーんに であーった
はなさーく もーりーのーみーちー くまさーんにー
でーあーぁーったー
ここまでは普通なんですよ
女:はい
男:ここからだ。
くまさーんの いうこーとにゃ おじょおーさん
おにげーなさい。はい、ここからだ。
女:はい。
男:歌うのは割愛しますが、くまは逃げろと言って、追いかけて
イヤリングを渡してらららーな?意味わからなくないですか?
女:はぁ、つまり。
男:今の私は、出会いが欲しいけどとても制限された状態で
素敵な相手と偶然出会えたとしても、遠ざけるおえない。
でもそんな素敵な人には親切でありたい。愛は負けても
親切は勝つって言いますでしょう。
女:んー。浮気したいがリスクが怖くぼんやりと良いひとを
演じている自分が熊のような存在である、と。
男:1行でまとめましたね。私はアカペラまで歌ったのに。
女:はもります?
男:けっこうです。
女:んー。じゃあお嬢さんを分析してみましょう。
このお嬢さんは森のなかで熊に遭ってもまぁ動じない。
死んだふりもしないし目つぶしもしない。
あ、目つぶしで熊を撃退したお爺さんのニュース見たんですよ。
男:はぁ。
女:お逃げなさい、という熊の忠告も受け入れる。素直。
イヤリング落としちゃうところは動揺してるかもと思いきや、
イヤリングなど装飾品を落とすというのは色恋沙汰において策のある
女の常套手段。
男:ん?
女:ワイルドで紳士的な熊に興味があるのかも。
男:ん?
女:熊はお嬢さんの策にはまり、イヤリングを渡しに追いかける。
男:あー。
女:まんまと熊が来たなーと思いつつ、まずは踊って様子見だな、と。
男:踊って様子見。ん、あれ?歌うんですよ。踊らない。ほら。
女:お。ほんとだ。んー、じゃあはもります?
男:わぁあ。