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[ファンタジー小説]メア・イノセント~夢と瀬踏み その2

登場人物

「」お兄さん 話の主人公 昔の記憶が曖昧 彼女達の兄という訳ではない
『』フェティ   元気で活発な青肌の女の子 ミーディットとは双子
【】ミーディット おとなしめなフェティの妹
フェティにはミディちゃんと呼ばれている

あらすじ お兄さんの夢の話が好きな双子の姉妹 
     彼女達は夢を見るわけないと言い出して・・・?

ーーーーーーーーーーーーーー
『やだなぁ、おにーさん 私達が見るわけないじゃない? ねー?ミディちゃん?』

【うん・・・私も見てない・・・かな】

『あ!でも、そういえば
 ミディちゃんは小さい頃、間違って・・・もごもご』

ミーディットは慌ててフェティの口を塞ぐ

【もうっ・・・!お姉ちゃんってば・・・】

『ううん、見てない見てない』

・・・すこし怪しいけど
そんなに頻繁には夢を見ないのかも知れない

僕は、ここに来てからは
不思議と毎日夢を覚えているけど・・・

夢って、たとえ見ていても忘れたりするものだから
そういう意味で見ていない・・・なのかな?

「でもどうして、見る「わけ」ないなの?
 見てないならわかるんだけど」

【ウツツム族は基本的には夢を見ないの
 だから、お兄さんの夢・・・凄く楽しい】

そっか・・・
見ないなんて考えた事なかったから
ちょっとびっくりだ

・・・・。

『あ~、そうそう
 今日もおにーさんのごはん、持ってきたからね!』

フェティは少し大きなカバンから
何かを取り出す

『今日はね、ムルムの実だよ』

あ~・・・あの実か
お腹は膨らむんだけど・・・

【お兄さん・・・ちょっと不満そう】

「そ、そんな事ないよ?
 持ってきてもらってるだけでも感謝してるし・・・」

『でも、本当はもっと美味しいものが食べたいと』

「・・・まぁ本音を言えばね」

この部屋に来てから
あまり体調が良いとは言えなくて
彼女達の助けを借りている状態だ

『ごめんね、おにーさん
 いますぐにでも美味しいもの取ってきてあげたいけど
 今日は、天気が悪いからあんまり遠くの方行くの
 危なそうだから・・・』

【ムルムの実は簡単に取れるし・・・沢山あるから
 空腹には困らないんだけど
 同じものばっかりでも飽きてきちゃう・・・よね】

「本当なら自分で取りにいってみたいけど・・・」

外の様子がどうなっているか分からない以上
自分1人で何処かに行く勇気はまだない

・・・とはいえこの部屋と、風呂トイレ以外の場所
行ったことないな

フェティは少し悩んだ表情をした後

『ミディちゃんミディちゃん・・・』
 と2人で何かこそこそと話し始めた

・・・何を話しているんだろう?

おにーさん!もし、明日いい天気だったら、少し歩いてみない?
 それとも・・・まだ歩くの大変そうかな?』

【もし、倒れても・・・また、ちゃんとこの部屋まで
 引っ張ってあげるよ?】

2人共、なんとなくうずうずとした表情にも見える

「そういってくれるならお願いしようかな」

出来れば倒れたくはないけど・・・

やったっ!
 ・・・そうと決まれば、えーきを養う為にも
 遊ばないとね!』

【昨日はカードで遊んだよね・・・ 
 今日は何して遊ぶ・・・?お兄さん】

僕が動けない間、こうやって時間つぶしというか
遊んでくれる彼女達は本当にいい子達だなぁと思う

そして次の日・・・
2人が楽しさを隠し切れない様子で迎えに来た

続く


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