[ファンタジー小説]メア・イノセント~夢と瀬踏み その5
登場人物
ウツツム族 青い肌の種族 夢を見ないらしい 晴れの日が苦手
あらすじ お出かけ中に生き物が少ない事に気づくお兄さん
それには〈瀬踏み〉が関係しているらしい
〈瀬踏み〉とは・・・?
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『瀬踏みっていうのはね?
私達が許可するしない・・・みたいなカンジだよ』
・・・全然よく分からない
僕の疑問を感じ取ったのか
ミーディットが補足を入れる
【この辺りにいる動物とかは・・・
私達が"ウツツム族以外の"誰かから聞いた夢の話から
瀬踏み・・・っていう行動をして
許可された生き物だけがいるんだよ・・・】
『ね?私達、凄いでしょ』
得意げな表情をするフェティ
瀬踏みに対しては、まだいまいち理解出来てはいないが
彼女達の、他人の夢に対する異常な程の興味は
もしかすると、ここからきているのかもしれない
『あと、一応先に言っとくけど、おにーさんは
瀬踏みでうまれたんじゃないからね?ね?ミディちゃん?』
彼女は、少しわざとらしくミーディットに目線を送る
【うん・・・そういう訳じゃないよ・・・】
決して声が大きい訳じゃないミーディットだけど
いつにも増して小さく聞こえた気がした
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その後、家の方に帰りながらも食べれそうな物を探しながら
僕はさっきの出来事を考えていた
言いにくそうな感じがあったから・・・
何か2人には秘密があるのかも知れないけど
秘密くらい、誰にだってあると思う
あまり気にしないようにしよう
そう思いながら歩いていると
ミーディットが話しかけてきた
【お兄さん・・・あのね・・・
もしよかったらだけど
一緒に瀬踏み・・・してみない?】
『あー!それ私が言おうと思ってたのにー!』
大袈裟な感じで言うフェティ
「・・・えっと
僕も瀬踏み・・・出来るの?」
てっきりウツツム族の秘法みたいのだと思ってたんだけど・・・
【うん・・・多分一緒になら
出来ると思うよ・・・
3人でなら、きっと楽しいよ?】
一体どんな事をするのか想像もつかないけど
僕は、彼女達の事、ウツツム族の事を
知らなすぎるように感じていた
それに・・・もしかしたら、
僕の記憶にも、何か関係があるかも知れない
「分かった、やってみよう!」
『わ~い!やったぁ!!』
【・・・ありがとう・・・お兄さん】
笑みがこぼれる2人を見て
実は、自分の記憶云々は建前で
本音は、彼女達の、この表情が見たかったのかもしれない
「それで・・・瀬踏みってどうやってするの?」
あまり難しい事じゃなければいいんだけど
『それはね~、まずお布団にはいってー
目をつぶってー・・・寝る!』
「えっと・・・普通に眠るって事でいいの?」
【うん・・・眠った状態じゃないと
はじめられない・・・】
・・・言われてみれば夢に関連する事だし
そんなに、変な事でもないのかな
ちょっと拍子抜けだけど・・・
『まあそういう事だから
明日はおにーさんの所でお泊り会ね?
あ~楽しみだなぁ・・・♪』
【おかしとか・・・ゲームとか
たくさんもっていくね・・・♪】
どうやら2人はもう行く気満々らしい
僕も、彼女達の雰囲気に呑まれるように
気分が高揚したせいか
それとも、謎の瀬踏みに不安を持っていたせいか
その日はなかなか寝付けなかった