[ファンタジー小説]メア・イノセント~夢と瀬踏み その3
登場人物
あらすじ お兄さんの夢の話が好きなウツツム族の
双子の姉妹と外に出ることに・・・
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外の空気はとてもすがすがしく感じた
辺りにはたくさんの木と水の流れる音
・・・もしかしたら
僕が倒れていたのってこの近くだったのかもしれない
『天気もよくて
今日は絶好の散歩日和って感じだね!』
日の光は何ひとつ
差してないように思えるけど・・・
「えーっと・・・なんていうか・・・めちゃくちゃ曇ってるけど
・・・かえって散歩はしやすそうだね」
フェティは、きょとんとした表情でこちらを見ている
【あ・・・お兄さんはヒトだから
私達と、いい天気の基準とか・・・違うのかも?】
『あれ?そうなの?
ヒトからしたら雨の方がいい天気だったりする?』
正直、昔の記憶がはっきりとしてない以上
絶対な自信はないんだけど・・・
「雲が無くて太陽が見えてるような時が
いい天気って言われやすいかな」
『わー・・・じゃあおにーさん的には
昨日がいい天気だったんだね・・・』
え・・・?!どういう事だ?
【私達・・・太陽の光にあんまり強くないから・・・】
つまり、ウツツム族からしたら
晴れはよくない天気、って事か
・・・あらためて思うと
僕は彼女達の事を何も知らない事に気づかされる
【昨日もお兄さんの所に来るの・・・結構大変だったんだよ】
『まぁ、おにーさんの夢の話が聞けるなら
毎日でも頑張っちゃうけどね、えへへ』
【今日も・・・おおきなねこさんのはなし
楽しかったし・・・ふふ】
そうか・・・
改めて考えると
この子達は、大変な思いをしてまで
僕の話を聞きに来てくれていた事になるのか
「なんていうか・・・本当にいつもありがとう」
『や、やだなぁ、おにーさん
私達はただ、ものみゆーざん※してるだけだよ?
※実際には物見遊山←ものみゆさん
ね?ミディちゃん?』
少し恥ずかしそうな表情でミーディットに話をふる
【うん・・・それにお兄さんに、ちゃんとご飯持っていかないと
かわいそうだし・・・】
・・・彼女達はもしかしたら、愛玩動物を飼うくらいの感覚なのかも
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僕達は、ある程度整備された森の中の道を使って歩いていく
目的地があるのかないのかは、分からない
『今日はおにーさんの体調も考えて
ちかくにするけど、出来れば
美味しいもの探したいよね』
【ムルムの実だったら・・・
すぐ目に入るような場所にもあるんだけど・・・】
そういってミーディットが指をさす方向には
たくさんムルムの実がなっている
ムルムって低木だったんだな
確かにこれなら簡単に取りやすそうだ
【お兄さんの背だったら
あの実・・・とれるかも】
『あ~!あの実っ!・・・名前わかんないけど
確か美味しかったような?』
何処までも曖昧だな・・・
僕達は少し移動して”あの実”の場所に行くことに