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佐渡に金山を見にいかない。その②

前回の記事はこちらです。

 その土地に伝わる伝統芸能。同じ名前でも地区によって舞い方・衣装が変わってくることが本当に面白い。今回はさらに二つの「つぶろさし」を紹介していきたい。


二人の鬼が舞う! 鬼舞つぶろさし・草刈神社


鬼舞つぶろさしが奉納される草刈神社

 13時50分からは村山地区に伝わる「鬼舞つぶろさし」の登場だ。
こちらは文禄のころ村山の藤七という人物が京都へ赴き祇園祭で習得して来たという。こちらは「草刈神社」に奉納される。またこの草刈神社には「県指定有形民俗文化財」の「能舞台」がある。毎年6月15日の夜には薪能が行なわれているそうだ。

草刈神社は牛頭天王を祀っており、しだいに農耕神としての性質を帯びるようになった。その神社の前では各地域が出し物を持って集まり様々な演目が披露されたらしい。そのときに村山地区が行ったのがこの「鬼舞つぶろさし」だ。

当時は棚に桜の花の幕をはり、役行者の人形を飾りその前で踊ったという。
前段では役行者が鬼を従えて踊り、後段ではつぶろさしが笛と太鼓に合わせて踊っていたようだ。

金棒で悪魔を払う青鬼と、チラシ棒で邪気を払う赤鬼が軽快に舞う。

まずは青鬼と赤鬼が登場する。悪魔と邪気を払い、舞う場所を清浄な場所へとしてくれる。「鬼」と聞くと荒々しい踊りなのかと想像していたが、軽快かつコミカルで稲の成長を踊りで表しているかのようであった。鬼たちが豊作を祈り田畑を駆けめぐっている景色が今にも浮かびそうだ。今回役行者の人形は残念ながら見つからなかったが、この二人の鬼は「前鬼・後鬼」だろうか。

つぶろさしとササラすり。銭太鼓は登場しない。

鬼たちが役目を終えるといよいよつぶろさしの登場である。
しかしながらこちらには「銭太鼓」は登場しないササラすりとの一対一の純愛?である。

 さらにこちらは太神楽つぶろさしのお面と比べると表情が分かりやすい。そしてこちらの方がおそらく太い。ふたつのつぶろさしに言えることはやはりササラすりの重要度だろうか。主役はもちろんつぶろさしなのだが、ササラすりの仕草を見ていると動きって大切だなと実感させられる。ササラの擦り方もそうだが、特に「いやんいやん」の動き(?)だ。肘を折りまげて細かく上下する動きなのだが共に高まっていっているのか! とこっちで勝手に想像しながら見てみるのも面白い。またこちらは演舞の終了後、首に巻かれた長いマフラーのようなもので「後始末」をしてすべてが終了となる。

猿田彦が登場! 妹背神楽つぶろさし・度津神社


最初は猿田彦の舞から。

妹背神楽つぶろさしは最初に猿田彦が登場する。あちらを向いてしまっているが猿田彦である。この「妹背神楽つぶろさし」は「渡津神社」への奉納だ。2012年に復活した飯岡集落のつぶろさし。様々なものが消えて行く中で復活させるというのはかなりの労力があっただろう。この土地の人々がそれだけつぶろさしを大事に思っていることが伝わってくる。

この「妹背神楽つぶろさし」は「太神楽」と「鬼舞」を合わせたような感じである。


左からササラすり・つぶろさし・銭太鼓

 つぶろさしとササラすりはもちろんのこと銭太鼓と獅子も登場する。お面や衣裳も比較的新しく、ササラすりははっきり「おかめ」のお面となっている。さらにこちらは他の二つが徐々に徐々に高まっていくのに対し、いきなり乱射している。もう序盤から飛ばしまくりだ。太鼓と笛の合間合間に発射するのである。豊作を祈るものだから種は確かに重要ではあるが些か飛ばしすぎでは!?と心配になるほど飛ばしてくる。そして途中で獅子が動きだし、銭太鼓はフェードアウト。ササラすりと二人になるところは「鬼舞」と同じである。

 それぞれ意味を持って舞っているこのつぶろさし。私は断然「銭太鼓」の舞が力強くキレがあって好きだったのだが、お金と色気に釣られてしまったということだろうか。動画で見ても面白いとは思うが、生で見るとやはり迫力が違うので行って見て欲しい。

町中を歩く! 大獅子舞と猿田彦


こちらは大獅子舞。

獅子舞でさえ最近めっきり見なくなったがこちらは大獅子舞。3~4メートルほどの胴体の獅子舞が横に揺れ縦に揺れながら歩き回る。もちろん人にも噛み噛みしてくれるのだが、メインはおそらく門付。店や家を中心に回っていた。しかしながら全く発見できない! 大獅子舞は菅原神社・草刈神社ともに8時から行っているのだがまったく遭遇できないのである! 警備員の人や実行委員の人に聞いてみるものの、一足遅く、既に去ってしまった後だった。いたるところで「カツンカツン」という音がしているのだが悲しい。結局商工会前広場で待っていたら大獅子舞はやってきてくれた。その一場面である。


猿田彦が通ると道が割れる。

 こちらは天狗の原形ともなったと言われる「猿田彦神」だ。邇邇芸尊らを先導しようと迎えにきた国津神である。商工会前でつぶろさしを見ていたところ、スタッフの人から「今から神様通るので道を開けて下さい!」との声で道が割れたところを馬に乗り過ぎ去る場面だ。御輿渡御の際に先導する猿田彦は結構あるみたいだが、猿田彦神単独では結構珍しいのではないだろうか。猿田彦も草刈神社・菅原神社からほぼ同じ時刻に出立しているが、どちらの神社から出立した猿田彦であるかは不明。ちなみに途中、ジープに乗った猿田彦神にも出会ったのだが、写真を撮る間もなく過ぎ去ってしまった。無念。

その③はこちら


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乃木ひかり
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