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ザ・シンフォニーホールへ〜日本センチュリー交響楽団第273回定期演奏会〜

出かける前から…

今回のコンサートに向けて、すべてのプログラムの曲を前もって予習しようと、ちょっとApple Musicで音楽鑑賞を。

まずは、務川慧悟さんが演奏するプロコフィエフ作曲ピアノ協奏曲第2番♪
前回務川さんの演奏会に行った時には、あまり他の演奏を聴かずにいたのですが、今回はにわか勉強でもいいから予習したかったのです。
このコンサートに際して、務川さんがSNSで「やったる!」といった意気込みを示してくれていたので、聴く方としてもそれに少しでも応えたい、という私の気持ちでもあります。

アレクサンダー・ガブリリュク(1984年〜ウクライナのピアニスト)+ウラディーミル・アシュケナージ(1937年〜ソビエト連邦出身のピアニストであり指揮者)+シドニー交響楽団の演奏は、アシュケナージ先生指揮でアレクサンダー・ガブリリュクさんの詩的なプロコ♪

プロコフィエフは他の演奏者のものもいくつか聴いて、当日の別の曲「イベール作曲:ディベルティメント」「ドヴォルザーク作曲:交響曲第6番」も、さらっと聴いて準備はOK。

当日は、仕事を終えてから最寄駅に車を停めて電車に。
大阪まで一本で行けるとはいえ、去年までは遠のいていたお出かけ。
シンフォニーホールは環状線福島駅が最寄かな、とは思ったのですが、大阪駅で軽い食事をとっている時に調べたら徒歩15分程度で行ける、ということがわかったので、天気も良く歩くことに。
夕方の大阪は、さらっと風が吹いて気持ちが良かったです。
うめきたの開発工事を眺め、スカートを翻しながら歩いて行くと都会の中に木々が…ザ・シンフォニーホールに到着です。

チケットを当日渡しにしていたので入り口で申し出て受け取りました。
これが、ちゃんと手書きで「OOOO様」って書いてある包みに入れて渡してくださるシンフォニーホールのスタッフの方、ステキです!感激しました。

さぁ、さてさて。
気分だけはお姫様で、おすまししてホールの中へ。
客席は1階席も、すべての客席が階段またはエレベーターで上がっていくので、いつものスニーカーではないから気をつけながら歩いて、たどりつきました。

2階席。
このホールは観客がぐるりと囲む構造になっているから、務川さんを横からではなく後ろから「どのような姿勢で演奏しているかな?」と、鑑賞&観察できる場所にしたのです。
正確には、イベールの時のピアノ奏者の真後ろ、プロコの時には務川さんの斜め左後ろでした。


イベール作曲:ディベルティメント♪ 音の玉手箱や〜!!

初めにホールに入った時に舞台にはオケの楽器だけでなくピアノとチェレスタがあって、何だか面白そうな予感がしました。

実際にはチェレスタで演奏する部分というのは、少しだったのですが、この演奏者の楽譜の使い方がとても勉強になりました。
というのは、(おそらくコピーして捲りやすくした)楽譜を並べるだけではなく、そこにさらにタブレットを並べることによって、譜めくりのヘルプなしに演奏できる方法を実現されていたからなんです。
伴奏や連弾で譜めくりの煩わしい手間を考えると、何か良い方法は?と思ってしまいますが、実際に演奏している姿を見せてもらうことで、とても納得しました。

そして…このディベルティメント…どこかで聴いたことがあるホンワカパッパー♪が聞こえてくるんですよ。土曜の午後にテレビをつけたら…のアレ(メロディーじゃなくて、音色です)。

そう!管楽器がミュートを付けて演奏しているので、とってもコミカルな音色がホールいっぱいに広がっていたのです。
この管楽器のミュートについては、帰宅して吹奏楽経験者の長女に話したら
「ミュートには種類が色々あるで〜。それはワウワウミュートって言うねん。」と解説してくれました。

麦わら帽子を求めてあちこち走り回る主人公の花婿と、勘違いしたまま彼の後ろをついてまわる結婚式の招待客

コンサートパンフレットより

音色だけでもかなりコミカルなのですが、曲の内容もこんな様子なので、全部で6曲、全てが喜劇チックでずっと惹きつけられていました。
こんなにもコミカルに演奏するには、確かなテクニックや、演奏者同士の厚い信頼がないと成立しません。
指揮者の出口さん、とってもお茶目&ヤンチャなお方で、とても魅力的でした。
演奏が終わると、観客からの拍手が鳴り止みません!
私もそうだけれど、他の人も「初めからこんなにオモロくていいの?」と思ったのではないでしょうか?
とっても楽しい演奏でした。


務川さんのプロコフィエフ♪ なんでこんなに…

先ほどの演奏で高揚した気分のまま、舞台の構成が変化していくのを眺めて。
ピアノもチェンジ。
舞台の前方ギリギリまでピアノが移動して行ったのを見ながら、プロコフィエフの出だしのメロディーを思い浮かべて待ち焦がれていました。

務川さんが登場。
 第一楽章が始まります。
この曲は冒頭のApple Musicでもわかるように、すぐにピアノの演奏が始まります。
この音が聴こえると同時に、私は音楽の中に連れて行かれてしまいました。
テーマが、ピアノから木管へ引き継がれながら、互いに惹かれ合うように奏でられる頃には、もう。
沼だ。。。
目が、耳が、離せないんです。
テーマが甘く切ないのかと思えば、誘惑するかのように聴こえ、この世から突き放されるような気持ちになってしまったり。
演奏前の対談(Twitter)で指揮者の出口さんと「悪魔感出していこうかと。」みたいなことをお話ししていたのを演奏後に見て納得しました。
悪魔だったんだ。
 疾走する第二楽章に呆気に取られながら、この務川さんと共に演奏するオーケストラの皆さんの、指揮者出口マエストロの、カッコよさに惚れ惚れしたのでした。
 第三楽章に、曲の冒頭が前も聴いたことある感だったのは、前回聴いた務川さんのコンサートでセンチュリーが演奏した『ロメオとジュリエット』(同じくプロコフィエフ作曲)の一部分が似ていたからだったようです。
いろんな曲を知るって楽しい!
 第四楽章も初めから激しい、務川さんリードで進んでいきます。
このコンチェルト全体の中でのピアノ独奏部分に入る時、出口マエストロはじめオーケストラメンバーは全員耳を傾けている姿に感動してしまいました。
共に演奏する時も、互いの音楽を大切にしている様子は、コンチェルト-協奏曲を共演しているから当たり前なのかもしれませんが、本当に「協奏」していると感じました。
それと…務川さんのブッ飛ばした演奏にはあまりにもびっくりして、マスクの中でニヤニヤしてしまいました。
この演奏は本当に悪魔だったのかも?
この演奏が終わらずにずっと続いていてくれたならば…そんな願いも虚しく、終わってしまいました。
務川さんは出口マエストロとハイタッチやハグで喜びを表していました。

素晴らしい演奏に、ブラボーやスタンディングオベーション✨
もう感極まってしまって、正面に着席していたマダム達はスタンディングだけでなく務川さんに手を振っていましたよー!
私も手を振りたかったなぁ。
務川さんは、客席のあらゆる方向に向かってお辞儀をしてくれました。こちら側にも。嬉しいな。

アンコールで独奏も。
ラヴェル作曲:「鏡」より第2曲『悲しい鳥たち』 でした。
座ってすぐに演奏を始めて、初めの一音で水面が目の前に浮かびました。
なんて静かな、それからひんやりとした風景が広がりました。
先ほどの拍手で満たされた空間とは思えないくらい。
本当に、聴くことができてよかった。
ありがとう、務川さん。


ドヴォルザーク作曲:交響曲第6番♪爽やかな

休憩を挟んで、ちょっとクールダウンできたのかな?
爽やかな響きのこの交響曲は、クラシックの王道な感じがしました。
私的には、第三楽章の曲の感じが同じくドヴォルザークのスラブ舞曲を連想させるような、リズムに特徴のあるのがとっても気に入りました。
長い演奏時間にも関わらず、楽団の皆さんは疲れを見せる事なくスーパープレイを披露してくださり、ずっと楽しく聴いていました。
クラリネットの超〜〜〜長いロングトーンは、循環呼吸だったのでしょうか?あれだけはすごく気になります。

バスに乗るために、まだ拍手の鳴り止まないホールを後にして、ながーい階段を12時の鐘がなりそうになるのを急いで駆け抜けるシンデレラのように(気持ち!気持ち大事)降りてホールを出たのでした。
9時半に演奏が終了したのですが、もう駅まで歩いて帰るエネルギーが無かったので、アナウンスで案内された通りに運行されたホールのバスに乗せてもらい大阪駅まで帰ってきました。

帰宅してからも、まだまだ家族に公演の素晴らしかったことを話し、それでも話し足りないから、noteに書きました。

音楽ってやっぱり楽しい!

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